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2012年9月17日 (月)

【ボードゲームレビュー】パンデミック ★★★★

Pandemic_1

評価:★★★★[4/4満点!](2人プレイでの評価です)

プレイ人数:2人~4人

プレイ時間:40分ぐらい

ボードゲームには珍しい協力型ゲーム。拡大する病原菌をプレイヤー全員で協力して特効薬を作り上げるというゲーム。何と闘っているのか不思議に思ってしまう不思議なボードゲーム。


簡単なゲームの流れ

  1. プレイヤーは世界に広まった病原菌を退治するために、世界各地を巡る。
  2. 1回の行動を終えるごとに特効薬を作る為のカードを得る。
  3. 5枚の同じ種類のカードを集めると、特効薬を作成できる。
  4. 4種類の特効薬を作り上げた時点でプレイヤー全員の勝利。
  5. 山札のカードがなくなったり、病原菌の連鎖拡大が一定数以上起きたら、プレイヤー全員の敗北。


ゲームの総評

相談をしながら最適な行動を探り合うこと自体がこのゲームの面白み。対戦ゲームではないため、プレイヤー間の相談自体がゲームの大部分を占める。同じ程度のスキルや経験を持ったプレイヤーでないと、悶々とした不満を抱えてしまうかもしれない。主に面白さを感じるのは、以下の2点だ。


1点目は、感染が連鎖的に拡大していく時の焦燥感だ。病原菌は木製のキューブを用いて表現するのだが、世界地図を示すボード上にこのキューブがたくさん埋まってくることで、否応なしに焦りを感じる。このワクワク感は、プレイヤー同士の共闘感を高めてくれる。ボードゲームなのに「この世界を救ってやるぞ!!」という熱い想いを感じさせてくれる。

2点目は、病原菌という見えない敵を、カードを引くというシステムに昇華させている点だ。このゲームは対戦ゲームではないため、戦う相手はゲームのシステム自体だ。いわゆるテレビゲームの感覚に近い。CPUが処理を行うわけではないため、実態はプレイヤー自身がCPUを演じる。感染を阻止するプレイヤーが、感染を拡大させるCPUを演じているという奇妙な仕組み。しかしその奇妙さをあまり感じさせない。これが凄い。
細かいシステムの説明は省くが、感染拡大(TVゲームならCPUのふるまいに相当)は、プレイヤーの「カードを引く」という行動によって実施される。この時プレイヤーはいいカードを引ければ、感染の拡大を最小限にすることができる。だからプレイヤーは感染を阻止するプレイヤーとしての動機を維持したままシステム側(CPU側)の行動を実施できる。テレビゲームであれば、「CPU自身が絶対に振る舞うことになる行動」をCPUのないボードゲーム上では、「プレイヤー自身が演じなければならない」という制約。しかしその制約を逆手にとって、とんでもないことを引き起こしてしまったという焦りを感じさせる演出へと昇華させている点に、このゲームのシステムの見事さがある。

敵がドラゴンや化け物であれば、その役割を主人公を演じつつ、敵役もプレイヤー自身が演じることは、きっと一種の違和感のようなものを感じると思う。しかし「目に見えない病原菌の拡大」という敵として設定したことで、その違和感は、限りなく小さくなったのではないか。違和感を感じさせない仕組みが設定により支えられており、見事だと思う。そして、違和感を感じさせないことは、ゲームに熱中させることにプラスに働いているはずだ。ややもすると協力型ゲームは、「何やってんだろ、おれたち」のような冷めた思いになりかねない。それを上手く回避していると思う。

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