【海外レビュー記事翻訳】スペースアラート - 異なる次元のゲーム
話題になっている「スペースアラート日本語版」。溢れる期待感やワクワク感に刺激されて、BGGに投稿されていたあるレビュー記事を翻訳しました。実際はかなり長いレビューで、コンポーネントやルール内容についても記述があるのですが、前半の「ルール(RULES)」に対する感想と、後半の「評価(EVALUATION)」以降の部分を訳しました。
ルールの内容説明は、できれば、本物のルールを見ていただくのがいいかなあ、と思ったので、省略しました。(ウソです。訳すの面倒だっただけです、すみません)
協力型ゲームが大好きな自分としては、若干キワモノっぽいこのCDを使う仕組みが気になってしょうがありません。なによりも協力型ゲームにおける奉行ソロ問題を、「忙しさ」によって解決しているというところに期待を持っています。
原文はこちらの記事"Space Alert - a different game dimension"書かれているのは、Paolo Ciardulliさんという方です。
元記事のレビュアーの方は、いわゆる重量級ゲームが大好きだと自認しています。そんなレビュアーがめちゃくちゃ面白かった、と言っているところが大変興味深い。
記事の最後で、「もしリプレイ性に問題があったら、10点満点から9点に点数を下げるかもしれない」とレビュアーは言っています。果して4年たった2012年現在、彼の評点は下がっているのでしょうか。実際にそれはBGGのこちらのページでご確認いただければと思います。(合わせて、このレビュアーがどんなゲームを好んでいるのか、と言う点も見ていただければと。)
さて、毎度ですが、何かしら間違いがあったら、教えてください。目標はクリアしたようですが、さらに多くの人がプレオーダーしてもらえることを祈って。
以下、記事本文です。
スペースアラート - 異なる次元のゲーム
~(略)~
■ルール
多分このゲームは、"重量級"のゲームだと思われるだろう。でも、実際にプレイしてみると、そんな感じを受けない。ルールブックは、とてもよくできていて、段階的に理解していくことができるし、新たなルールや別の難易度を始めたりするのにも、とてもいい。ルールブックには"レッスン"というのがあって、舞台となる宇宙船がどういうものか説明するためのものもあれば、プレイヤー(いや、失礼、クルー)がその宇宙船で何ができるかを知るためのものもある。それから、訓練用のミッションもある(これは、危険な宇宙空間でクルーが体験することになるミッションを、コンピュータ上でシミュレーションしている、という設定だ)。いずれにしても、これはファミリーゲームじゃない。ゲーマーのためのゲームだ。少なくとも、僕はゲーマーとプレイした。面倒な非ゲーマーやおじいちゃんとかに、なんとか説明して理解してもらえる自信はないし、そうしようとも思わない。(けど、絶対無理だって言いたいわけじゃない、うまく行かないだろうって思うだけだ)
ここで、詳細なルールまで説明をするつもりはない。もし興味があるなら、ここ(訳注※1)からルールブック(それとCD音声も)がダウンロードできるし、他のコンポーネントも一緒に見ることができる。(ぜひ、ルールブックを読んでほしい。強くおすすめする、というか、このゲームをプレイするつもりがなくても、読んだ方がいい。押しつけがましくて申し訳ない。でも、ホントに面白いから)
※1・・・リンク先がNotFoundになっていたため、この翻訳記事ではリンクを貼っていません。
あと、僕もいくつかレビューを読んだけど、このゲームの感想を読むのが、ルールを読むより更にずっと楽しい。レビュアーたちの感じたこと、そういう感想に僕は飢えている。...そう、君にも僕のようになってほしいんだ。
~(中略)~
■評価
スペースアラートは、"普通"のゲームじゃない。これは異なる次元のゲームだ。つまり、独創的で、先駆的なんだ。先駆的というのは、今までにない新しいメカニクスやアイデアを使っている、とか、以前からあるメカニクスやアイデアを新しい方法でうまく利用している、ということだ。僕は先駆的という言葉で、読者も良く知っているケイラスのような、ある種のゲームの代表になるってことを言いたい。
ケイラスは、ワーカープレイスメントゲームだ。ケイラスより前にも、同じようなメカニクスを持ったゲームがあったという事をどこかで読んだことがある。けれど、その使い方の見事さで、ケイラスは先駆者となった。このメカニクスを見事に活用して、素晴らしいゲームとなったんだ。だからこそ、ケイラス以降、多くの他のゲームがケイラスが切り開いた道をたどろうとした。(あの有名なアグリコラもそうだ)。しかし、ケイラスこそ、このメカニクス(を見事に利用したゲーム)の原型と言える。僕から見れば、スペースアラートも全く同じだ。スペースアラートは他のゲームからアイデアを頂いている、とか色々と書かれているのも読んだ。個々のアイデアが、独創的であろうとなかろうと、協力型ゲームに時間制限を付けるとか、イベントの到来をCDを使って伝える、とか、こういうすべてが、単に寄せ集めでなく、全体としてちゃんと統合されている。オリジナルじゃないというだけで、これは素晴らしいゲームなんだ。このゲームで、プレイヤーはこれまでに味わったことがない全く新しいゲームプレイを体験するんだ。今こうしてレビューを書いているときにも、仲間の一人が、僕と同じように10点満点をこのゲームに付けてコメントしている。そこには「つまりは、今までとは違う何か!!!」って書いてある。そう、そうなんだ。僕らの趣味は、常にこれまでと違う方向に向かっていくことを求めている。そういう意味で、このゲームは、まさしく、それをしてくれているんだ。
プレイ人数について。今のところ、僕は5人プレイしかやっていない。実際に体験していないから推測になるけれど、このゲームが最適なのは4人か5人だと思う。3人や2人そもそも1人でも、プレイすることはできる(3人以下のときは、アンドロイドのクルーを使う。自分のキャラクターに加え、ロボットに命令をするような感じだ)
けれど、人数が少なくなると、複数のプレイヤー間のやりとりが更に失われてしまう。そして、このやりとりこそがこのゲームを傑作に押し上げている要素だから、3人ならまだOKだろう。でも、このゲームを協力型ゲームとして本当に楽しもうと思ったら、僕は2人以下ではやらないだろう。(複数プレイヤーの協力型ゲームでは、テーマをうまくシミュレーションするというのは、あくまで手段であって、目的じゃない)
プレイヤー間の絡みについて。このゲームは純粋に絡みのゲームだ。これほど、プレイヤー間で絡みあうゲームを僕は他に知らない。絡みといっても、他のプレイヤーを攻撃するというのではなく、助けたり、助けられたりするんだ。このゲームでは、必ず他人の助けが必要になるし、一人では勝つことができない。完璧なプランを立てている時間はないから、(他の協力型ゲームで起こるような)他プレイヤーをおとなしく従わせるようなこともできない。説明して、他人に耳を傾けて、直面する個々の問題に対処していく必要がある。絡みと言う要素については、10点満点以上の点数をあげたい。
面白さの要因....。うーん。ここまで忍耐強く僕のレビューを読んでくれている人には明らかだろうけど、僕は、このゲームがとにかく楽しいと思っている。これは面白くて、面白くて、とにかく面白いんだ!じゃあ、質問だ。洗練されたリソース管理ゲームが好きなゲーマーは、どういう理由でスペースアラートのようなゲームをするんだろうか?僕には分からない。けれど、僕はこのゲームが、全てにおいて大好きだし、それは面白いからなんだ。
スペースアラートは、あらゆる場面で、僕が好きなタイプの面白い選択、自分たちが自由に使える資源を如何に最適に使うか、というような選択を迫ってくるんだ。(たいていは、最適な道を選んでいるような時間も平穏さもないけどね)
プレイ時間は、30分以下だ。ちょっとした合間にこのゲームをやることもできる。
.....いや、合間になんて無理だ!このゲームは1回だけやってそれで終わりなんて、僕には想像できない。どんどん時間を使ってしまう!いずれにせよ、通常シナリオの上級用ルールもある。同じ宇宙船だけど、部分的に繰り返しダメージをくらった宇宙船をそのルールでは使うんだ。(これは90分以上かかる。僕はまだやってないんだ)
.....いや、合間になんて無理だ!このゲームは1回だけやってそれで終わりなんて、僕には想像できない。どんどん時間を使ってしまう!いずれにせよ、通常シナリオの上級用ルールもある。同じ宇宙船だけど、部分的に繰り返しダメージをくらった宇宙船をそのルールでは使うんだ。(これは90分以上かかる。僕はまだやってないんだ)
リプレイ性。この部分だけは、このレビューでカバーしきれない部分だ。僕もこの点に意見できるほど、プレイを重ねていない。確かなのは、色んなミッションがいっぱいあるってこと。CDには、かなりたくさんのトラックがあって(多分実際にプレイされる以上にはある)、でも、同じトラックを何度も使ったとしても、発生する脅威はランダムだし、他にもバリエーション(軌道、アクションカード、ダメージ、など)がたくさんある。だから、それぞれのミッションは、常に他と違うものになるはずだ。僕の関心は、むしろプレイ自体にある。チームが同じ行動パターンを取り始めたら、それは、しばらくすると機械的な行動となってしまうだろう。しかし、僕はそういうことが起こらないんじゃないか、と思っている。ただし、注意してほしいのは、僕がこうしたことは起こらないって確信を持てるほどにはプレイしていないってことだ(僕は楽観的にそうならないだろうと思っている)。いずれにしても、例えそういう事が起こったとしても、多分、チーム(もしくはチームの一部)を変えたりすれば、また新鮮にこのゲームを楽しめるんじゃないかと思う。
■最後に
僕はこのゲームが大好きだ。あらゆるゲーマーにお勧めする。これをやらないのは、ゲーム界における1つの節目を知らないことになる。僕はスペースアラートに10点をつける。リプレイ性に問題があると分かったりすれば、9点に落ちるかもしれない。けれど今は、これが一番遊びたいゲームなんだ!
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