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2012年11月

2012年11月30日 (金)

【ボードゲームレビュー】ミスターX ★★★☆

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評価:★★★☆[3/4]

プレイ人数:2~5人

プレイ時間:60分ぐらい(ただし短い時は短い)


このゲーム、とにかく楽しい!ところで、「ホワイトチャペル」と「ミスターX」は、同じ製作者さんのようだが、同じコンセプトで、似たような作品を何本も作るというのは、どういう気分なのだろう。

★便宜上、"「ミスターX」"と括弧付で表現した場合は、ゲーム自体を指し、"ミスターX"と括弧無しで表現した場合は、ゲーム内における犯人役を指します。

簡単なゲームの流れ

  • ①ミスターX役は、スタート地点を決めて、誰にも見えないようにその場所をシートに記載する。
  • ②追跡者役は、ミスターXがいる場所を予測して、自分のコマを動かす。
  • ③ミスターXはいつ、どの移動手段(3色に分けられている)を使ったか、という情報を追跡者役に伝える。
  • ④ミスターXがかつて4回移動前までにいた場所に、追跡者役のコマが移動したら、その場所にいつの時点でミスターXがいたかをミスターXは申告しなければならない。
  • ⑤追跡者のコマがミスターXのコマに重なれば、追跡者側の勝利。追跡者につかまらず、ゴールマスまで到達すれば、ミスターXの勝利。

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ゲームの総評

自分は、オリジナルと言える「スコットランドヤード」はプレイしていない。「ホワイトチャペル」と本作「ミスターX」をプレイしたのみだ。本作購入の動機は、「ホワイトチャペル」をプレイしたからだ。これがえらく楽しかった。この手のゲームが初体験だった自分には、ゲームの核となるアイデアが新鮮で、素晴らしく、感動してしまった。しかし、家族でプレイするには「ホワイトチャペル」は少し重い。調べてみたところ、若干プレイ感が軽そうな「ミスターX」の存在を知った。

「ホワイトチャペル」と比べると、「ミスターX」は少し軽くてプレイしやすい。けれども、がっつりと追いかけっこも楽しめる。犯人役であるミスターXも、結構ゴールにたどり着くことができる。「ホワイトチャペル」に比べても、両者間のバランスは、すごくいいんじゃないかと思う。

どうしてもオリジナルである「スコットランドヤード」の知名度が高すぎることと、ゲームのメカニクスの根幹が全く同じことから、「ミスターX」の流通量は世界的にも少ないように思う。

BGGの評価数も、「スコットランドヤード」が6246、「ミスターX」が124だ(2012年11月30日時点)。その差は、ざっと50倍。一方で「ホワイトチャペル」が1800。こう考えると「ホワイトチャペル」の評価数の多さは、逆に興味深い。やはりテーマがウケた、ということだろうか。

いずれにしろ「ミスターX」は、あまり遊ばれていないのかもしれないが、凄く出来がいいと思う。あの有名なボードゲームレビューサイトである「浅く潜れ」の記事にもあるように、システムとしての洗練度が高い(その分、ロマンは少なめ)。

そして、「スコットランドヤード」よりも犯人役が勝利しやすいようなので、少人数で何回かプレイするには「ミスターX」の方が良いのではないだろうか。
逆に、多人数で、テーマの好みが合う仲間がいるならば、「ホワイトチャペル」の方が魅力的になるだろう。

自分のように2人でプレイすることが多い場合は、「ミスターX」の方が適しているような気がする。バランスが良ければ、それだけ、犯人役と警官役の立場を変えて、繰り返しプレイしやすいからだ。

いずれにせよ、このタイプのゲームは1つは持っていても損はない。いい買い物をしたなあと思う。

似たゲームであるホワイトチャペルの記事はコチラ

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↑ミスターXは、自らの移動に使ったチケットを写真のように並べて示していく。ちなみに探索者役は、使ったチケットをミスターXに渡したりはしない。ミスターXも探索者も使ったチケット枚数分を毎回補充できる。この点はスコットランドヤードと大きく違うかな。


※ルールについて

ミスターX(犯人役)が目的地に到着したら、その時点でミスターXの勝利なのだろうか?常に、ミスターX⇒探索者の順番でプレイするため、ミスターXが到着して終わりだと、あくまで気持ち的な問題だが、尻切れトンボな感じがしてしまう。

日本語訳のルールブックを読むと、「到着すれば終了」のようだ。

そこで、自分は、ミスターXと探索者の両者の行動が終了した上で、目的地に探索者がいなかったら、ミスターXの勝利、というルールにしてみた。「到着すれば終了」ではなくて、一回分、探索者の行動を待つ、ということ。

最後の目的地である駅で、最後の最後に警官に囲まれるミスターX、というのも劇的だろうと思い、そうしたルールにしてみた。

対戦相手と事前にその辺りのルールは、認識合わせしておいた方がいいだろう。

※戦略(?)について

ミスターX(犯人役)の特殊アクションには、「隠密行動」と「連続行動」の2つがある。移動ルートを特定されない「隠密行動」の方が効果的じゃないか、と最初、自分は思っていた。

しかし、「ミスターX」では、「連続行動」の効果が非常に高い。なぜなら、「ミスターX」では、4回前まで自分のいた位置を表明しなければならない可能性があるからだ。(4回前までにミスターXがいた場所に探索者が移動したら、ミスターXはいつの時点でそこにいたかを申告しなければならない)

重要なのは、表明しなければならないのは、「4ターン前」ではなく、「4回前の行動」である点だ。

そのため、例えば、2ターン連続して「連続行動」を行えば、一気に「4回移動する」ことになる。つまり、相手に与える可能性のある情報量を一気に圧縮できるのだ。これは、ミスターX(犯人役)にとっては、非常に精神的に楽になる。特に、場所がバレそうになったときには、「隠密行動」よりも、この「連続行動」が良いような気がする。

【ボードゲームレビュー】ラパヌイ ★☆☆☆

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プレイ人数:2~4人

プレイ時間:30分ぐらい


あのカルカソンヌの作者のゲームとのこと。テーマとプレイ感の適合度が妙に高く、全体的に不思議なかわいさがある。

簡単なゲームの流れ

  • ①4列×4枚の計16枚のカードが、中央の場に置かれる。
  • ②手札を自分のスペースに出し、中央の16枚のカードから1枚を取得。これを各プレイヤーが出番ごとに繰り返す。
  • ③中央のカードを取ると、その下に置いてあるカードに対応した資源がプレイヤーに配られる。
  • ④モアイのカードを自分のスペースに出すと供物フェイズ。このフェイズでは持っている資源のうち1つを供物エリアにささげる。
  • ⑤最後に、供物として捧げられた量に従い、自分が持つ資源が勝利点になる。最も勝利点がある人が勝ち。

ゲームの総評

イースター島を舞台にしたカードゲーム。モアイを建造すると、供物タイムが始まるのが、ほのぼのしていて素敵。

メインとなるジレンマの仕組みはこうだ。供物として捧げられている資源ほど、最後の得点計算で資源としての価値が高くなる(=高い勝利点になる)。だけど、供物として捧げてしまうと、最後の得点計算の時に持っている量が減ってしまう。実に分かりやすい。

しかし、ルールとしてあまり納得がいかない部分もあった。例えば、同じ勝利点が全てのプレイヤーに入るシステムって変な気がする。同じ点数なら、誰にも入れない方が、後で点数計算が楽になると思うのだが。(ダメかな?)このルールであっていたのか、若干不安だ。

いろんな要素がありながらも、生産力がそれほど伸びないのもあって、爽快感が薄い。

しかし、やっかいなことに、この牧歌的なプレイ感や雰囲気がテーマに合いすぎていて、妙にゲームとしてのトータルな印象がいい。

プレイ中にもちょこちょこと点数が入りつつ、最後に大量の得点が得られるという流れ自体は好きだ。しかし魅力の焦点がどこに合っているのか分かりづらいゲームではある。しかし、あまり批判する気になれない。のどかで平和な気分になる。ふ、ふしぎ。不思議なゲームだ。こういうゲームが何回かプレイするうちに、すごく好きになってしまったりするから、侮れない。

2012年11月29日 (木)

【海外レビュー記事翻訳】スペースアラート - 異なる次元のゲーム

話題になっている「スペースアラート日本語版」。溢れる期待感やワクワク感に刺激されて、BGGに投稿されていたあるレビュー記事を翻訳しました。実際はかなり長いレビューで、コンポーネントやルール内容についても記述があるのですが、前半の「ルール(RULES)」に対する感想と、後半の「評価(EVALUATION)」以降の部分を訳しました。

ルールの内容説明は、できれば、本物のルールを見ていただくのがいいかなあ、と思ったので、省略しました。(ウソです。訳すの面倒だっただけです、すみません)

協力型ゲームが大好きな自分としては、若干キワモノっぽいこのCDを使う仕組みが気になってしょうがありません。なによりも協力型ゲームにおける奉行ソロ問題を、「忙しさ」によって解決しているというところに期待を持っています。

原文はこちらの記事"Space Alert - a different game dimension"書かれているのは、Paolo Ciardulliさんという方です。

元記事のレビュアーの方は、いわゆる重量級ゲームが大好きだと自認しています。そんなレビュアーがめちゃくちゃ面白かった、と言っているところが大変興味深い。

記事の最後で、「もしリプレイ性に問題があったら、10点満点から9点に点数を下げるかもしれない」とレビュアーは言っています。果して4年たった2012年現在、彼の評点は下がっているのでしょうか。実際にそれはBGGのこちらのページでご確認いただければと思います。(合わせて、このレビュアーがどんなゲームを好んでいるのか、と言う点も見ていただければと。)

さて、毎度ですが、何かしら間違いがあったら、教えてください。目標はクリアしたようですが、さらに多くの人がプレオーダーしてもらえることを祈って。

以下、記事本文です。

スペースアラート - 異なる次元のゲーム


~(略)~

■ルール

多分このゲームは、"重量級"のゲームだと思われるだろう。でも、実際にプレイしてみると、そんな感じを受けない。ルールブックは、とてもよくできていて、段階的に理解していくことができるし、新たなルールや別の難易度を始めたりするのにも、とてもいい。ルールブックには"レッスン"というのがあって、舞台となる宇宙船がどういうものか説明するためのものもあれば、プレイヤー(いや、失礼、クルー)がその宇宙船で何ができるかを知るためのものもある。それから、訓練用のミッションもある(これは、危険な宇宙空間でクルーが体験することになるミッションを、コンピュータ上でシミュレーションしている、という設定だ)。いずれにしても、これはファミリーゲームじゃない。ゲーマーのためのゲームだ。少なくとも、僕はゲーマーとプレイした。面倒な非ゲーマーやおじいちゃんとかに、なんとか説明して理解してもらえる自信はないし、そうしようとも思わない。(けど、絶対無理だって言いたいわけじゃない、うまく行かないだろうって思うだけだ)

ここで、詳細なルールまで説明をするつもりはない。もし興味があるなら、ここ(訳注※1)からルールブック(それとCD音声も)がダウンロードできるし、他のコンポーネントも一緒に見ることができる。(ぜひ、ルールブックを読んでほしい。強くおすすめする、というか、このゲームをプレイするつもりがなくても、読んだ方がいい。押しつけがましくて申し訳ない。でも、ホントに面白いから)

※1・・・リンク先がNotFoundになっていたため、この翻訳記事ではリンクを貼っていません。

あと、僕もいくつかレビューを読んだけど、このゲームの感想を読むのが、ルールを読むより更にずっと楽しい。レビュアーたちの感じたこと、そういう感想に僕は飢えている。...そう、君にも僕のようになってほしいんだ。

~(中略)~

■評価

スペースアラートは、"普通"のゲームじゃない。これは異なる次元のゲームだ。つまり、独創的で、先駆的なんだ。先駆的というのは、今までにない新しいメカニクスやアイデアを使っている、とか、以前からあるメカニクスやアイデアを新しい方法でうまく利用している、ということだ。僕は先駆的という言葉で、読者も良く知っているケイラスのような、ある種のゲームの代表になるってことを言いたい。

ケイラスは、ワーカープレイスメントゲームだ。ケイラスより前にも、同じようなメカニクスを持ったゲームがあったという事をどこかで読んだことがある。けれど、その使い方の見事さで、ケイラスは先駆者となった。このメカニクスを見事に活用して、素晴らしいゲームとなったんだ。だからこそ、ケイラス以降、多くの他のゲームがケイラスが切り開いた道をたどろうとした。(あの有名なアグリコラもそうだ)。しかし、ケイラスこそ、このメカニクス(を見事に利用したゲーム)の原型と言える。僕から見れば、スペースアラートも全く同じだ。スペースアラートは他のゲームからアイデアを頂いている、とか色々と書かれているのも読んだ。個々のアイデアが、独創的であろうとなかろうと、協力型ゲームに時間制限を付けるとか、イベントの到来をCDを使って伝える、とか、こういうすべてが、単に寄せ集めでなく、全体としてちゃんと統合されている。オリジナルじゃないというだけで、これは素晴らしいゲームなんだ。このゲームで、プレイヤーはこれまでに味わったことがない全く新しいゲームプレイを体験するんだ。今こうしてレビューを書いているときにも、仲間の一人が、僕と同じように10点満点をこのゲームに付けてコメントしている。そこには「つまりは、今までとは違う何か!!!」って書いてある。そう、そうなんだ。僕らの趣味は、常にこれまでと違う方向に向かっていくことを求めている。そういう意味で、このゲームは、まさしく、それをしてくれているんだ。

プレイ人数について。今のところ、僕は5人プレイしかやっていない。実際に体験していないから推測になるけれど、このゲームが最適なのは4人か5人だと思う。3人や2人そもそも1人でも、プレイすることはできる(3人以下のときは、アンドロイドのクルーを使う。自分のキャラクターに加え、ロボットに命令をするような感じだ)

けれど、人数が少なくなると、複数のプレイヤー間のやりとりが更に失われてしまう。そして、このやりとりこそがこのゲームを傑作に押し上げている要素だから、3人ならまだOKだろう。でも、このゲームを協力型ゲームとして本当に楽しもうと思ったら、僕は2人以下ではやらないだろう。(複数プレイヤーの協力型ゲームでは、テーマをうまくシミュレーションするというのは、あくまで手段であって、目的じゃない)

プレイヤー間の絡みについて。このゲームは純粋に絡みのゲームだ。これほど、プレイヤー間で絡みあうゲームを僕は他に知らない。絡みといっても、他のプレイヤーを攻撃するというのではなく、助けたり、助けられたりするんだ。このゲームでは、必ず他人の助けが必要になるし、一人では勝つことができない。完璧なプランを立てている時間はないから、(他の協力型ゲームで起こるような)他プレイヤーをおとなしく従わせるようなこともできない。説明して、他人に耳を傾けて、直面する個々の問題に対処していく必要がある。絡みと言う要素については、10点満点以上の点数をあげたい。

面白さの要因....。うーん。ここまで忍耐強く僕のレビューを読んでくれている人には明らかだろうけど、僕は、このゲームがとにかく楽しいと思っている。これは面白くて、面白くて、とにかく面白いんだ!じゃあ、質問だ。洗練されたリソース管理ゲームが好きなゲーマーは、どういう理由でスペースアラートのようなゲームをするんだろうか?僕には分からない。けれど、僕はこのゲームが、全てにおいて大好きだし、それは面白いからなんだ。

スペースアラートは、あらゆる場面で、僕が好きなタイプの面白い選択、自分たちが自由に使える資源を如何に最適に使うか、というような選択を迫ってくるんだ。(たいていは、最適な道を選んでいるような時間も平穏さもないけどね)

プレイ時間は、30分以下だ。ちょっとした合間にこのゲームをやることもできる。
.....いや、合間になんて無理だ!このゲームは1回だけやってそれで終わりなんて、僕には想像できない。どんどん時間を使ってしまう!いずれにせよ、通常シナリオの上級用ルールもある。同じ宇宙船だけど、部分的に繰り返しダメージをくらった宇宙船をそのルールでは使うんだ。(これは90分以上かかる。僕はまだやってないんだ)

リプレイ性。この部分だけは、このレビューでカバーしきれない部分だ。僕もこの点に意見できるほど、プレイを重ねていない。確かなのは、色んなミッションがいっぱいあるってこと。CDには、かなりたくさんのトラックがあって(多分実際にプレイされる以上にはある)、でも、同じトラックを何度も使ったとしても、発生する脅威はランダムだし、他にもバリエーション(軌道、アクションカード、ダメージ、など)がたくさんある。だから、それぞれのミッションは、常に他と違うものになるはずだ。僕の関心は、むしろプレイ自体にある。チームが同じ行動パターンを取り始めたら、それは、しばらくすると機械的な行動となってしまうだろう。しかし、僕はそういうことが起こらないんじゃないか、と思っている。ただし、注意してほしいのは、僕がこうしたことは起こらないって確信を持てるほどにはプレイしていないってことだ(僕は楽観的にそうならないだろうと思っている)。いずれにしても、例えそういう事が起こったとしても、多分、チーム(もしくはチームの一部)を変えたりすれば、また新鮮にこのゲームを楽しめるんじゃないかと思う。

■最後に

僕はこのゲームが大好きだ。あらゆるゲーマーにお勧めする。これをやらないのは、ゲーム界における1つの節目を知らないことになる。僕はスペースアラートに10点をつける。リプレイ性に問題があると分かったりすれば、9点に落ちるかもしれない。けれど今は、これが一番遊びたいゲームなんだ!

2012年11月28日 (水)

【ボードゲームレビュー】おばけキャッチ ★★☆☆

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評価:★★☆☆[2/4]

プレイ人数:2~8人

プレイ時間:20分ぐらい


反射神経ゲーム。コンポーネントのかわいさが素敵。こういうアクションゲームというのは、きっとゲームとしての息が長いだろうな。

簡単なゲームの流れ

  • ①カードの山札と5つのフィギュアをプレイヤー全員の前に置く。
  • ②1枚カードをめくる。
  • ③カードには2つの物体が描かれている。
  • ④カードの絵の中に、5つのフィギュアのうち同じ色、同じ形のものがあれば、早い者勝ちでそのフィギュアを取る。
  • ⑤同じ色、同じ形の物体がなければ、色も形も合致しないフィギュアを早い者勝ちで取る。多く取れた人が勝ち。

ゲームの総評

後だしジャンケンで、必ず負けないといけない、みたいなゲームだと最初思った。視覚情報を分析して、適合するものを誰よりも早く手に取る。よく考えるとクアルトの裏返しのようなゲームだ。

これ、最高のファミリーゲームじゃないかな。子供が夢中になっていたら、平和な気分になりそうだ。そして、大人が夢中になっていても微笑ましい。すばらしいゲームだ。

おばけキャッチ2も全く同じゲームで、フィギュアとカードだけ異なる感じなのね。混ぜて遊ぶとバリエーションが増える、ということらしい。なるほどー。

【ボードゲームレビュー】クアルト!★★☆☆

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評価:★★☆☆[2/4]

プレイ人数:2人

プレイ時間:10分ぐらい


デパートや少し大きめの本屋に行くと置いてあるギガミックシリーズ。存在は知っていたが、「おしゃれだけど、それほど面白いくないのでは」と思っていた。その偏見が打ち砕かれた。

簡単なゲームの流れ

  • ①相手に置いてほしいコマを1つ選ぶ
  • ②対戦相手は、それを盤面上の好きなマスに置く。
  • ③コマにはいくつかの特徴がある。背が高いとか、低いとか、穴があいてるとか、茶色だ、とか。
  • ④どんな特徴でもいいので、共通する特徴を盤面上に4つ並べたら勝利。
  • ⑤一方で、なるべく相手にコマを渡す時には、共通しない特徴のコマを渡すようにする。

ゲームの総評

これ、面白い。しかもおしゃれ。オブジェとして置いても素敵なのがいい。

いわゆる4目並べなのだけど、コマの形がポイント。1つのコマは、複数の特徴を持っている(背が高いとか、白いとか、穴が空いてるとか)。その特徴のうち、どの特徴でもいいから同じ特徴を4つ並べたら勝利。ただし、コマを選べるのは、自分じゃなくて、対戦相手。自分はコマの「置く場所」を選べるのみ。

待ち時間なしの超展開。相手がコマを選んでいるときは「置く場所」を思考し、相手がコマを置いているときは、相手から渡される次の「コマ」を予想する。

あまり長考しないで次々と置いていくペースが大切なのかな。その辺のペースを合わせられる人とのプレイが重要だと思う。

おしゃれすぎて、気負ってしまう。このゲームを前にして、「剣と魔法」とか「勝利ポイント」とか「ワーカープレイスメント」とか言ったら、「だせえ」って言われてしまいそうで、怖い。でも、モノとしては欲しいな。

カラオケ店とかに置いてあればいいと思う。待ち時間に。いい商品だと思う。

2012年11月20日 (火)

【ボードゲームレビュー】髑髏と薔薇 ★★★★

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評価:★★★★[4/4満点!](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:3人~6人

プレイ時間:15分ぐらい


これ考えた人が羨ましくてしょうがない。すごい。感動した。欲しい。すごい。ていうか、羨ましい。


簡単なゲームの流れ

  • ①各プレイヤーは、4枚のカードを持つ。そのうち1枚には髑髏が描かれている。他は薔薇が描かれている。
  • ②4枚のうち、1枚を全プレイヤーが裏にして出す。
  • ③スタートプレイヤーから順番に、更に重ねてカードを出すか、チャレンジするかを選択する。
  • ④チャレンジした場合、場に出されたカードの枚数を上限にめくる枚数を宣言する。他のプレイヤーが受けて立つときは、宣言された数より大きい数を宣言する。
  • ⑤宣言した枚数分、髑髏を出さずにカードをめくれたらチャレンジ成功。2回チャレンジ成功した人が勝利。

ゲームの総評

昔、ゲンコツを2つ作って、胸の前に出し、「いっせーのーで、1」とかやった遊びを思い出した。あの遊びに、とても似ている。2回勝つと、勝利、というのもそんなことを想わせた。(Wikipediaによると、「拳遊び」と言うらしい。"いっせーのーで/いっせーのーせ"は、その中でも数拳に分類されるのかな)


ルールを説明するのは野暮だろう。これはとにかくやってみるべき。大人なら何かを賭けてもいいだろう。お酒が入っていても全く問題ない。笑顔と苦悩と疑念の楽しいロンドだ。すごいなあ、ほんと。


ちなみに、黒箱と赤箱の違いはカードの裏面のデザインの違いだけのようだ。


自分の好きなテーマで、自作しても楽しそう。あと2人でできるバリアントルールがあるといいなあ。誰か、そういうの考えてないかしら。ネットを少し探したけど見つからなかったんだよな。でもまあ、これは4人以上で遊びたいゲームではある。傑作。


【コラム】初プレイの人にボードゲームのルール説明(インスト)をすることの難しさは、一体どこにあるのか?(2)

注:この記事は、インストのための方法論を書いたものではないです。インストのための方法論をいくつか読んで、そこに共通するものについて書いた記事です。前回の記事内には、そうした素晴らしい「インストのためのガイド」へのリンクがあるので、具体的な方法論については、そちらのサイトを参照願います。



前回は、ボードゲームのインストのコツとして、「大きなことから小さいこと」というトップダウン志向のインスト方法論が共通して語られている、という現状について言及した。しかし、一方で、詳細からゲーム全体を理解する志向もあるのではないか、と新しい言語を学ぶ時のアナロジーから問題提起を行った。

今回は、その新しい言語を学ぶ時の話をもう少し進めてみたい。

■体系を理解する2つの側面

新しい言語を理解するというのは、参考書を読んだり、文法を覚えたりするような「トップダウン」志向だけで学ぶわけではない。書いたり、話したり、といった実践的な「ボトムアップ」志向で学ぶことで、段々と理解してくる、という経験は多くの人がしている。

これはなぜか、と考えてみよう。

自然言語の場合を例に挙げる。1つの言葉というのは、単独でその言葉として存在しているのではなくて、他の言葉との関係の中で存在している。

たとえば、「みかん」と「Orange」では、それぞれ指す対象が異なるだろうか?多くの人が、「厳密には違うのだろう」と思っている。しかし、なぜ異なる対象を指すのだろう。
先ほど、1つの言葉は、「他の言葉との関係の中で存在している」と言っているのは、「みかん」と「Orange」では、違う言葉だから違う対象を指す、というわけではない!ということだ。(ここ重要!)

異なる言語体系の中で、「みかん」という単語のポジションと「Orange」という単語のポジションがあくまで相対的に存在している。これは、中空に各単語が浮かんで、蜘蛛の巣のような見えない網に他の単語と一緒に捉えられているイメージだ。そして、他の単語との位置関係が似ていると、同じようなものを指す(みかんとオレンジは同じものだ)。でも全く同じ位置関係ではないから、異なるものを指す場合もある(みかんとオレンジは違うものだ)。両方が成り立つのだ。

だから、「みかん」という単語、「Orange」という単語だけを取り出して、それぞれが同じものを指している、違うものを指している、と語ることにあまり意味はない。

そして、ある言語を理解するには、トップダウンからその言葉のあるべき姿を理解するだけではなく、具体的で詳細な一つ一つの単語の実際の使われ方を理解していき、他の単語との相対的な位置関係の中から、ようやくその1つ1つの意味が見えてくるようになる。

「みかん」を理解するとき、「みかん」という単語単独で、理解するのではなく、「りんご」や「なし」や「牛肉」や「黄色」や「絵日記」やいろいろな単語を理解したその関係性の中で、ボトムアップ的に「みかん」を理解するのだ。

実はボードゲームのルールも同じだと思う。

説明(インスト)する側は、すでに体系を理解している。トップとボトムの両方からこのゲームという言語を理解している。そして、初プレイの人には、なるべく短い時間で理解してもらえるように、トップダウンで大まかな概要やテーマから話をしようとする。

これは、義務教育が英語を基礎文法から教えようとしているのと同じ。おそらく論理的には、この教え方が最も正しい。抽象性の高いルールを理解することで、きわめて汎用性の高い正しい理解が得られるからだ。しかし、実際に話したり、書いたりしないことには、なかなか言語は「身につか」ない。これは、ボードゲームも同じことだ。

誤解しないでほしいのは、そうしたトップダウンで大まかな説明から実施する方法が良いとか悪いとか、そういう話では全くないってことだ。基礎文法から教えるべきだ、とか。とにかく話しまくれば外国語を学べる、とか。そういう議論が宗教戦争になるのと同じように、どちらが正しい、間違い、ということではない。体系を理解するには、トップとボトムの両面、どちらも必要なのだ。

そして、どちらも必要でありながら、ボードゲームを「トップダウン」志向で教えることの優位性は、こう考えることで際立つ。つまり、そのゲームを知らない人は、細かなルールを聞いても他の細かなルールとの相対的な位置関係を築くことができない。だから、大まかな説明から実施する。「他のルールとの相対的な位置関係を築くことができない」というのは、そのルールを自分のプレイにどう適用していいか分からない、使い方が分からない、と解してもらえればいい。

そして、一方で、練習試合としてチュートリアルゲームをするインスト方法の有効性も同時に見えてくる。これは、大まかな説明から実施するインスト方法と全く逆の方向性でありながら、なぜ有効であるか?それは、ゲームに(仮に)参加させることで、細かなルールを一挙に提供し、その相対的な位置関係を自ら築くように促すからだ。使い方を分からせるところから始めるのだ。

特にボードゲームにおける文法、ルールというのは、ゲームとしての娯楽の基盤であるから、これをないがしろにすると、楽しさまで奪われてしまうことにもなりかねない。大まかな説明から詳細へと向かう説明は、正しいルールでプレイすることの意義を強く感じる人が、採用したくなるインスト方法だとも言える。

一方で、ほとんど説明することなく、いきなりゲームをスタートするようでは、そもそもゲームを楽しめない。だから、練習試合にしたりして、説明用の試合と本番の試合とを区別するわけだ。しかしこの方法の大きな欠点は、時間が余計に掛かってしまうところだ。結構これは致命的だ。多くの人にとって、分かりやすいインストは、短い時間で理解してもらえるインスト、とほぼ同義だからだ。

前回、リンクさせてもらった記事のいくつかは、そうしたルール説明(インスト)におけるボトムとトップの二面性を具体的にどのように解消しようとするか、という苦闘の足跡であると思う。


ここまでくれば、記事タイトルに挙げた『インストの難しさはどこにあるか』という問いに、ある程度答えることができるだろう。

ゲームを理解することは、「体系」を理解することであり、それはつまり、個のルールの相対的な位置関係を把握することである。難しさは3つの場所にある。

1つ目。「トップダウン」志向のインストでは位置関係の構築として十分だと言える量に、到達できないのではないか、という不安。その不安が難しさの1つ目の場所だ。そしてその不安は、決して見えない他人のココロに起因しているため、インストを何度も経験しないと、根本的には解消されない。そして、インストの成功体験を重ねることで、他人のココロが見えるような気分になった時に、自然と以前は感じていたはずの「難しさ」が消滅しているだろう。

2つ目。それは、おおまかな説明的インストをせずに、練習試合から始めてしまう方法を取れない、というジレンマ。時間のない社会人であればなおのこと、1回目のプレーから楽しんで貰えるようにしたいと思う。同じゲームを2回もやらせるのは申し訳ない。その手法が十分に有効なことは知っている。しかしその「ボトムアップ」志向の手法はなかなか全面的に採用できない。その苦しみに2つ目の難しさがある。しかし、練習試合が短く終わるゲームであれば、それを採用することでこの「難しさ」は解消することができるだろう。

そして、3つ目。上記に挙げた2つの手法、そのうちどちらの手法をどれだけ採用するべきか、どれだけ混合させるか、というところに根本的な3つ目の「難しさ」が存在している。


次回は、最後に、インストからボードゲームだけが持つ特有性について話を発展させます)



2012年11月18日 (日)

ゲームマーケット2012秋に行ってきました!

本日、2012年11月18日。天候は、晴れ。昨日の雨もカラッとあがり、よかった。浅草で開催された『ゲームマーケット2012秋』に行ってきました。


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入手したゲームは以下の3つ。

  • フレスコ(完全日本語版)
  • ロビンソン漂流記(完全日本語版)
  • 藪の中(新装版)

やっぱり昼近くに到着したのですが、話題作は売り切れまくってましたね。主な会場は4Fと5F。4Fには、同人ゲーム、5Fには、店舗系のお店が並んでいました。あまり同人ゲームには詳しくないので、「安く欲しいボードゲームが手に入ったらいいなあ」ぐらいの目的で行きました。

いやあ、ちょっと気になっていた『フレスコ』が安く手に入れることができて幸せでした。まあ、これが安いのかどうか、よく分からないのですが、入手経路が主にアマゾンな自分には、十分安かったので、満足です。(駿河屋がほとんど変わらない値段だって?アー、アー聞こえない)

あと、気になっていた『ロビンソン漂流記』も手に入れてきました。で、本当に欲しい方のロビンソンである『ロビンソン・クルーソー:呪われた島の冒険』はテンデイズゲームズさんのブースに置いてあるのを見て、拝んで帰ってきました。「和訳なし」では、さすがに手が出ない。

ボードゲーム界の一大イベントなわけで、その熱気に触れることができたのは、純粋に楽しかったです。

買ったものも、ほとんどこの会場で手に入れなければならないものではないのですが、なんというか熱気を感じたくて、買ってしまったような感じですね。いずれにしても、次回もまた行きたいと思います。ふー。

最後に、買ったゲームの一言レビュー。

『藪の中』・・・これ、楽しい。本当に。でも、ネットを見ると昔は2~4人用だったようですが、今回の新装版では、箱に書いてあるのも、公式サイトでも、3~4人用になってますね。でもまあ、2人でやっても楽しかったですよ。ブラフゲームいいですね。

『ロビンソン漂流記』・・・全4ステージをすべてクリアできるかどうか1人用デッキ構築ゲーム。結構たのしい。初回プレイは1時間半ぐらいかけて説明書見ながらやりました。ラスボスの2体目でゲームオーバー。むむむむ。最低難易度でもクリアできなかった。次リベンジするぜ。

『フレスコ』・・・未開封。疲れたので寝る。

2012年11月17日 (土)

【ボードゲームレビュー】呪いのミイラ ★★☆☆

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評価:★★☆☆[2/4](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:2人~5人

プレイ時間:40分ぐらい


ミイラと探検隊の追っかけっこ。ミイラが探検家を捕まえた瞬間、パチッという音ともに、探検家が吸い込まれる。この磁石のギミックが素晴らしい。


簡単なゲームの流れ

  • ①探検家は、財宝の書かれた3枚のカードを手札として持ってスタート。
  • ②探検家は、複数のサイコロを振って、そのうち一つのサイコロの出目の分だけ移動できる。
  • ③一方、ミイラは1つのサイコロしか振れない。しかし、探検家が振ったサイコロでミイラの出目が出たら、そのサイコロを奪い取れる。
  • ④探検家は、手札にある財宝をすべて獲得するのが目的。最初にすべての財宝を取った人が勝利。
  • ⑤ミイラは、すべての探検家を捕まえれば勝利。

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ゲームの総評

「ホワイトチャペル」から連続して追っかけっこゲームをプレイ。以前からずっと気になっていたゲームなだけに、やる前からワクワク。立体感のあるコンポーネントも期待をそそる。


今回は探検家をプレイしたが、ミイラ役も面白そうだ。うまく探検家を捕まえられなくとも、いや、むしろミイラ役としては、その方が逆に良いかもしれない。(ふらふらと迷宮を彷徨うミイラ。テーマ的にGOODだ)。


各プレイヤーは、大量のサイコロを毎回振るのだが、なんと何度でも振り直しが可能。最初、このルールにびっくりしたが、探検家にとっては、サイコロを振ること自体にデメリットがある。


特定の目が出るとミイラ側にサイコロが取られてしまうのだ。しかも大量に振ったサイコロのうち、プレイに適用できるのは1つだけ。だから、探検家にとっては、「大量のサイコロを振れば、欲しい目が大抵1つは出る」から「振る回数は少ない方がいい」ということになる。


実に秀逸なルールだと感動した。


探検家同士も仲間にならず、相手を嵌めるための策を打つことになるのも面白い。


ミイラに取られてしまったサイコロは、取り返すことができるが、この取り返すタイミングが強烈なプレイヤー間のインタラクションになっている。「取り返し」を行うとミイラのターンになる。そのため、他の探検隊がミイラの近くにいるようなタイミングで「取り返し」を行えば、そのプレイヤーが喰われる可能性が高くなる・・・・。他のプレイヤーを生贄に、悠々と財宝を集めるなどのプレイが実に楽しい。


HPが0になってしまったプレイヤーは「負け抜け」になってしまうので、手持無沙汰になるという問題は確かに難しい問題だ。


また、ゲーム全体の展開が多少単調かもしれない。しかし、追っかけること、逃げること自体が面白いので、プレイ中は超夢中になってしまうが。


もう少し複雑さをなくして、5、6歳の子供でも遊べるようになっていたら、ファミリーゲームとして確かなポジションを確立できたんじゃないだろうか。磁石によるギミックは本当にきもちいい。親子で無邪気に遊んでみたいが、5、6歳の子供には少し難しい。逆に、このゲームを楽しめる年齢の子供であれば、他にやりたいゲームが出てきてしまいそう。
うーむ、難しい。


【コラム】初プレイの人にボードゲームのルール説明(インスト)をすることの難しさは、一体どこにあるのか?(1)

注:この記事は、インストのための方法論を書いたものではないです。インストのための方法論をいくつか読んで、そこに共通するものについて書いた記事です。記事内には、そうした素晴らしい「インストのためのガイド」へのリンクがあるので、具体的な方法論については、そちらのサイトを参照願います。



自分は、ボードゲームにおけるルール説明が下手だ。本当にこれは難しい。だれか、コツのようなものを解説していないだろうか、と思いネットを調べると、実に色々と書かれている。どれを読んでも、なるほどなー、と感動する。

・まず、目的を説明して、後で、詳細を説明する
・その後、おおまかな手順、やれることを説明する

このあたりがポイントのようで、実際にそのとおりだと思う。そして、こうした記事をいくつか読んでいて、自分は既視感を感じたのだ。

実は、ボードゲーム以外でも、同じような経験をこれまでに何度もしていることに気付いた。例えば、新しい外国語を覚える時。新しいプログラミング言語を覚える時。仕事でこれまでと違う専門分野について勉強し始めた時。全て、似たような経験がある。そこで思ったのだ。
「新しいボードゲームを理解するのは、新しい言語を学ぶことに似ている」と。

この発想を元に、ボードゲームのルール説明(インスト)の難しさを、少しだけ考えてみたいと思った。

まだ、ボードゲームの経験が浅く、初心者の気持ちが分かるうちに(?)、自分用のメモとして記しておきたい。

まあ、とにかく書いてみよう。

■インストのコツに通底する考え方

以下の4つの記事はどれもボードゲームのインストについて書かれた有名な記事やPodcastだ。


ここに共通しているのは、「大まかなことから詳細へ」という流れの大事さだ。これはその通りだ。いきなり詳細を語られてしまうと、初プレイの人はひどく置いてけぼりにされたと感じてしまう。一番まずいパターンだ。

しかし、新しい外国語を学ぶ時やプログラミング言語を学ぶ場面を振り返った時、こうした「上から下へ」のトップダウン的な学び方だけで、言語を習得しているわけではない。むしろ、自分で外国語を話したり、書いたり。とても簡単なプログラムを書いてみたり。簡単でいいから、最も詳細なこと、個別的なことを実施することからも少しずつ学んでいったのだ。


次回は、言葉を学ぶ時のアナロジーについてもう少し書きます)

【海外フォーラム記事翻訳】なぜ、協力型ゲームはクソなのか?奉行問題があるからだよ!

協力型ゲームで、経験豊富な1人のプレイヤーによりすべてが仕切られてしまう状態。いわゆる奉行(ソロ)問題。これって海外ではどのように語られているのだろうかと思い、BGGで調べていて見つけたのが、この記事です。原題は"Why co-ops suck? Leader problem, man!"書いているのは、『ロビンソン・クルーソー:呪われた島の冒険※』のデザイナーである"Ignacy Trzewiczek"さんです。この記事へのリンクもあるIgnacyさんのWebサイトはこちら

※・・・原題は"Robinson Crusoe: Adventure on the Cursed Island"

このゲーム自体、今年の新作の中でも、特に期待しています。し、しかし、言語依存度が高いそうで、日本語版が出てくれないと、自分のような英語が未熟な人間には楽しめなさそう・・・

ただ、日本語版の発売をひたすらに待つのも寂しいので、このワクワクを原動力に、またまた英語の勉強がてら、本記事を訳してみました。うーむ。最後の一文だけ、どうしてもよく分からなかったのですが、とりあえずアップしてしまえ。えいっ!

何かお気づきの点があったら、ぜひ教えてください。では、以下から記事の本文になります。


『なぜ、協力型ゲームはクソなのか?奉行問題があるからだよ!』


この前、「自分が勝てない問題」について話したけど、それは小さな問題だ。問題と言っていいのかさえ怪しい。じゃあ、大きい問題って?協力型ゲームにおける大きな問題とは?それは、奉行問題!そう、これ。多くの人が協力型ゲームで遊びたがらないのは、これが理由だ。

奉行問題

奉行問題とは、協力型ゲームを遊んでいるときに、1人のプレイヤー(これを仮にジョンとしよう)が、他のプレイヤーにどう動くべきか指示するようなる状況になることだ。みんな勝ちたいし、全力を出すし、こうすべき、というアイデアがあるはずなんだ。でも、ジョンは、他の人たちに、自分のやり方が一番だってことを説得しようとする。みんなが彼の計画に従って、彼に耳を傾けるべきだと主張する。自分のやり方を押し付けようとするんだ。

これはムカつくし、イライラする。欲求不満と怒りを感じるし、楽しくとも何ともない。終わった後、もう二度とジョンと遊ぼうと思わないだろし、このゲームで遊ぼうとも思わない。そして、協力型ゲームも金輪際お断りだと思うだろう。

場合によっては、ジョンに問題があるのかもしれない。でもこれは、そもそもそういう問題なんだろうか?ジョンは確かにクソ野郎だ。彼がゲームを台無しにした。他人の意見を無視して、みんなに自分のやり方を押し付けた。ジョンは、身勝手なバカだからね。このゲームの出版社がゲームの箱の中に銃を入れておいてくれないから、こういうジョンみたいな奴をなんとかしないといけないし、問題を解決することもできないんだ。

だけど・・・

ほとんどの場合、ジョンが悪いわけじゃない。彼がクソ野郎だから、こういうことになってるわけじゃあないんだ。これは、協力型ゲームがクソだからだ。そういう単純な話なんだ。

三目並べ

じゃあ、実際に例を挙げてみようか。僕らは今、三目並べを遊んでいる。まだゲームの途中だ。僕らのチームは、○担当だ。以下の図に示すような状態だとする。

Tic_01

僕は、今までたくさん三目並べをしてきたけど、今日は、メチャすごい事を思いついた。「ここに○を置いたらどう?。これすごくない。見てよ!」って、僕は、3つ目の○を置きたい場所を以下のように示す。

Tic_02

けど、チームメイトのアンは納得しない。彼女は、別のアイデアを持ってる。以下のように、3つ目の○を置いて、逆向きになったLみたいな、クールな形にしたいからだ。

Tic_03

ジョンが僕らを見つめている。今聞いたことが信じられないようだ。「おまえら、トチ狂ってんのか?」僕とアンに向かって怒鳴り始めた。「ここに○を置くしかないだろうが!ここ!でないと、負けるだろ!そうだろ!?」と言って、彼は、以下のように、3つ目の○を置くべき場所を指した。

Tic_04

僕とアンは、しばらくブツブツ言っていた。ジョンのことをバカだと僕らは思ったけど、最終的に僕らは賛成した。彼が正しいと分かったからね。ったく、クソが。

ここで、問題だ。ジョンがアホなのか、それとも三目並べが単に協力型ゲームじゃないってことなのか?

三目並べは、答えが1つに決まっているゲームだ。相談や議論をする余地が全然ない。協力したり、互いに素晴らしい方策を探し出したりする機会はない。答えが決まってるんだ。たった一つの最適解があって、他の案は全部ゴミ箱行きだ。

だから、協力型ゲームはクソなんだ。だから奉行問題が起こるんだ。奉行 - ジョンは、正しい答えを知っている。彼は、何回もプレイしてて、経験もある。彼が、ボードを見れば、それは、三目並べのように見えるんだ。だから、自分のやり方を押し付ける。彼が、身勝手野郎だからじゃない。彼が答えを知ってるからだ。協力型ゲームは、答えが決まっているからなんだ。三目並べに比べたら、そりゃあ、協力型ボードゲームには、立派なイラストとか、面白そうなテーマとか、洗練されたルールとかあるかもしれないけど、結局は同じなんだ。

根本は、三目並べと同じ。単なるパズルなんだ。

だから・・・

僕には、「ロビンソン・クルーソー」の箱に、この問題を解決するために、銃を入れておく勇気はなかった。正直なところ、以前から奉行問題は全くジョンのせいじゃあないと確信していた。今は、協力型ゲームは答えが決まってる、ってとこに問題があるのだと信じている。

そして、僕がロビンソン・クルーソーの仕事に取り掛かったことを知ってるだろうから・・・・
[続く]

2012年11月16日 (金)

奉行問題とロビンソンと呪われた島と

今年のエッセン新作も、だんだんと評価が集まってきたようだ。まあ、他人の評価なんてものは、目安にしかならないし、実際に面白いゲームが順位が高いわけではないのだが。


個人的に気になるのは、"Robinson Crusoe: Adventure on the Cursed Island"(ロビンソン・クルーソー:呪われた島の冒険)だ。

これとは別に、つい最近、人気デザイナー、フリーゼのロビンソン・クルーソーもの『ロビンソン漂流記 完全日本語版』※が発売されたばかり。フリーゼのこのゲームは、デッキ構築型ゲームみたいだ。値段が手ごろなので、こっちもちょっと欲しい。何より1人で遊べるし。

※・・・『ロビンソン漂流記 完全日本語版』の僕のレビューはこちら

しかし、『呪われた島』のロビンソンは、いかにもごちゃごちゃしている。「ゲームマーケット2012秋」でも取り扱われるようだが、言語依存度が高そうなので、日本語版じゃないと楽しめなさそうだ。

このゲーム、エッセンの某ランキングでも、段々と順位を上げてきてるんだよなー。うー。気になる。どこか日本語化しないかな。

最近、奉行問題って海外では、なんて言うんだろう?と気になって調べていた。そこで見つけた記事『協力型ゲームはなぜクソか?奉行問題があるからだよ!』の投稿者って、この『呪われた島の冒険』のデザイナーだよね。そして、『呪われた島』は協力型ゲームのようだ。(※当該記事の翻訳をこちらにアップしました)

奉行問題って、英語では、"leader issue" とか "dumb player issue"と言うんだね。他には"dominat player (problem)"、"alpha player issue"なんて言い方がされたりもしているみたい。果たして、この『呪われた島の冒険』はこの問題に打ち勝っているのかどうか。注目したい。

2012年11月15日 (木)

【コラム】なぜ、ボードゲームは下らなくないのか?

ふとした瞬間、ボードゲームをプレイしている自分が滑稽に思えてくることがないだろうか。一体いい大人になって、何を自分はしているのか、とふと思うことはないだろうか。正直言うと、自分はある。陣取りだ、戦争だ、町の建設だ、競りだ、鉄道だ・・・。あまりにも卑下しすぎかもしれないが、ちょっとなあ、と自分で思う時がある。

でも、大好きなんだけどね。本当に大好き。好きでしょうがない。それは、そう。そこに嘘はない。けれど、ふとした瞬間にそういう「くらーい闇」のような気持に襲われる時がある。これは、きっと狭隘な偏見のなせる業なのだと思う。

好きなんだから、堂々と好きであればいいじゃない、と言うかもしれない。もちろんそうだ。堂々と好きだ。ああ、大声で言えるとも。言ってやるさ。大好きだと。でも、初対面の人から「ご趣味は?」と聞かれたら、「あ、映画鑑賞です」と言ってしまうかもしれない。でも好きな気持ちは本当だよ。うん。ホント。それはマジで本当なんだ。

「趣味は、テニスです。」
「冬はスキー、夏はスキューバダイビングを趣味にしてます。」
「バイオリンが趣味です。」
「旅行ですね。この前も海外に行ってきましたよ。はははは。」

なんと耳触りがいいのか。「素敵なご趣味ですわね。おほほほほほ。」聞いているうちに卒倒しそうだ。

「趣味はボードゲームです。ケイラスというゲームがあってですね。いわゆるこれはワーカー・・・」ヤバい。難しい。言葉を重ねれば重ねるほどに、伝わらない。会いたくて会いたくて、会えないほどに伝わらない。

「他人がどう思おうといいじゃないか」というのは、本当だ。確かにそうだ。犯罪でもない限り、何も悪いことじゃない。でも、誘惑に駆られないか?「最近は、ボードゲームを子供と遊んでいますね。へへへ。」なんて言うことに。なんか普通の人に見せかけようと思ってない?

別にいいけどさ。俺は一人でアグリコラやるから。まじで60点目指すからさ。本気よ。マジで。脳がすり減るぐらい考えるよ。え?何?うんうん、詰将棋でもやったらどうかって?あー、なるほどね。いいね。詰将棋。歴史もあるしね。でもさ、それ牛とか羊とか飼育したりできないじゃん。子供作ったりとかさ。野菜育てたりとか。乳母を連れてきたりとか、毒見役を居候させたりできないでしょ?だからそれはいいわ。ノーサンキュー。うん。もしかしたら、いつかやるかもしれないけど、今はいい。マジで。

アグリコラやってみる?・・・あ、そう。いいですか。まあね。ちょっとややこしいしね。うん。それでいいと思う。うん?何?・・・・もし?もし、人様に言える立派な趣味を持てるなら持ちたいかって?あー、なんかいいね。それもね。

・・・何?立派な趣味を持てるのと、エッセンの新作「テラミスティカ」(和訳付)をGM2012で1000円で買えるのと、神龍に頼むならどっちにするかって?



うーん・・・、テラミスティカ(即答)。

2012年11月14日 (水)

【ボードゲームレビュー】ホワイトチャペル ★★☆☆

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評価:★★☆☆[2/4](6人プレイでの評価です)

プレイ人数:2人~6人

プレイ時間:30分ぐらい(通常は60分~120分ぐらい?)


あの切り裂きジャックをテーマにしたゲーム、と聞いただけで少し楽しくなってしまう。警察とジャック、双方の推理と思惑が交錯する硬派な追いかけっこゲーム。


簡単なゲームの流れ

  • ①プレイヤーはジャック側と警察側に分かれる。
  • ②警察側は、ロンドンの街の中に警官を5人配置する。ジャックはコマを置かず、スタートポイント(殺害現場)を決める。
  • ③見えないジャックは1ターンごとに行き先を決めて、手元のシートに誰にも見えないように記入する。警官は移動しながら調査を実施する。調査された場所が、既にジャックが通ったことがあれば、ジャック側は既に通った事を申告しなければならない
  • ④ジャックがアジトに到着する前に、警官がジャックに追いつき、逮捕できれば、警察側の勝利。
  • ⑤4ラウンドに渡って、アジトに帰ることができれば、ジャック側の勝利。

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ゲームの総評

自分は名作「スコットランドヤード」をプレイしたことがない。なので、今回のホワイトチャペルで初めて、「これ系」のゲームをプレイしたわけだが・・・。た、楽しい。これいいね。逃げるのも、追うのも、こりゃあ楽しい。


今回初プレイで残念だったのが、すぐに(第一夜で)ジャックが捕まってしまった点だ。この後の展開では、さらにジャック側が辛くなって、追い詰められていくらしいのだが、そこまで楽しみたかった。


しかし、このゲーム、大変気に入ってしまった。だってこれ、2人でもプレイできそうだし。多人数でも楽しそうだし。推理合戦なんて、かつてのミステリー好きとしては心躍ってしょうがない。


また、個人的に、プレイヤー間の非対称性に自分は惹かれる。各プレイヤーが対等な立場になって対戦する、というのも素敵だが、非対称的な関係でやりあう、という設定が好きなのだ。それだけで、ドラマが生まれるような気がする。(パンデミックの隠れた魅力は、そうしたプレイヤーごとに異なるROLEにあると思う)


ボードゲームにおける、相手を「叩く行為」と「だます行為」。どちらも魅力的だが、ボードゲームでは、「他者へのネガティブ要素」というのは、なかなか取扱いが難しい。(カタンの盗賊ですら、扱いが難しい)


しかし、このゲームでは、その「たたき行為」と「だまし行為」が立場によって完全に分かれ、お互いがそれらを中心に実行し続ける。これぞ模倣遊びの真骨頂という感じがする。


ちなみに切り裂きジャックというのは映画やゲームや漫画など、あらゆるエンタテイメントメディアで扱われる人気キャラクターだ。正直言うと、それほど好きなモチーフではない。というのも、ジャックというキャラクター自体に確固とした印象がなく、魅力をあまり感じないからだ。

しかし以前から、このキャラに纏う空気や雰囲気には、そこはかとない魅力を感じていた。


今回「ホワイトチャペル」をプレイしてみて気づいたのだが、「19世紀末のロンドン」という舞台に自分は魅力を感じていたようだ。変な言い方だが、映画やTVゲームよりも、ボードゲームというアナログな装置こそ、この「19世紀末ロンドン」と「切り裂きジャック」というテーマにピタリと嵌っているのではないかと思った。


後で調べてみて、このタイプのゲームにも色々とあることが分かった。「ホワイトチャペル」は少々複雑で、重い印象があったので、プレイ感が軽いとの評判の「ミスターX」を購入してしまった。いずれレビューしたい。


ミスターXのレビュー記事はコチラ


追記(2014.9.27)……やはりミスターXと比べると重い。まったく個人的な趣味として、ホワイトチャペルはなかなかプレイする気持ちを持つのが難しいと感じる(もちろん、こちらの方が好きという人もいると思う)。有用性の観点から、★を1つ落として、★2評価とすることとした。

2012年11月12日 (月)

【ボードゲームレビュー】イスファハン ★★☆☆

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評価:★★☆☆[2/4](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:3人~4人

プレイ時間:40分ぐらい


様々な要素を絡めつつも、展開が早い。この気楽さは素敵だ。それでいて、ルールは極めてボードゲームらしいボードゲームと言える。プレイヤー間のバランスもいい。適度な複雑さが心地よさを感じさせるゲームだ。


簡単なゲームの流れ

  • ①9個のサイコロを振り、6つに区切られたアクション欄に、出目ごとにサイコロを配置する。
  • ②各アクションに配置されたサイコロの数に従って、アクションをプレイヤーが時計回りに実行する。
  • ③基本的には街にある商店に、サイコロの数だけ商品をおける。
  • ④商品を街に置いたり、キャラバン隊に商品を出したりして勝利点を稼ぐ。
  • ⑤最後に、最も勝利点を持っている人が勝ち。

ゲームの総評

「イスファハン」と言われても、多くの日本人はイメージを持てないだろう。アラビア的なエキゾチックさ、中東の地名であるということ、そのぐらいだろうか。しかもパッケージはラクダに砂漠。どんなゲーム体験になるか分かりづらく、その点がこのゲームの普及を阻んでしまいそうだ。


しかし、素晴らしいゲームだ。なんといっても大量のダイス。これを毎回振ることができる。わくわくしっぱなしである。基本的には、商品(キューブ)を街の商店に置いていくことで勝利点を稼いでいく。それ以外にも、特殊効果を持つ建造物を建てたり、キャラバン隊を使ったりとやれることは幅広い。このあたりが若干まとまりがないように思う人もいるだろうが、初心者に対して「プレイのしやすさ」という効果も上げている。


初回プレイでも、適度に迷うことができ、でも決断しやすい選択肢も存在している。どの選択を選んでも、効果がすぐに現れるため気持ちがいい。楽しい。

(反面、ルール説明するのは難しいかもしれない。要素が多いけど、そのつながりがシステマチックなので、全体感みたいなものが掴みづらい)


特殊な建造物を建てると、レベルアップしたように生産性がグッと上がる。このあたりの気持ちよさもいい感じだ。


総じてプレイ感が軽く、1手1手を楽しくプレイできてしまう点が素晴らしい。「はやくサイコロふらせろー」となる。


テーマ的な分かりづらさ、馴染みのなさが辛いところだ。「イスファハン」はイランの都市だ。イランでは3番目に大きな都市だそうで、17世紀には首都として繁栄を極めたらしい。うーむ、そうかあ、としか言いようがない。


素晴らしいゲームなだけに、中東的イメージに豊かさを感じにくい自分の先入観が「もったいないなあ」とつくづく感じた。

2012年11月 9日 (金)

【ボードゲームレビュー】K2 ★★★☆

評価:★★★☆[3/4](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:1人~5人

プレイ時間:40分ぐらい


登山。過酷なイメージがここまで強い娯楽もそうはない。この過酷な環境との戦いというのは、非常に面白いテーマだ。しかし、あまり採用されていない気がする。ある意味、戦争よりも「リアルに」過酷すぎるイメージがあるのかもしれない。


簡単なゲームの流れ

  • ①自分の手札から、移動カードや体力回復カードを出す。
  • ②出した移動力の分、山を登ったり、下りたり、休憩して体力を回復したりする。
  • ③高度が高くなるにつれ、多くの移動力が必要になり、その場にいるだけで体力を多く失うようになる。
  • ④高く登れば登るほど、勝利点を稼げる。
  • ⑤規定ラウンドを過ぎて、最後に、最も勝利点を持っている人が勝ち。

ゲームの総評

このK2は、登山の息苦しさや辛さを見事に表現したゲームだ。基本はレース。頂上に近いほど高い勝利点を得られる。しかしせっかく登頂しても、下山途中で死亡してしまうと、獲得した点数はすべて失ってしまう。このあたりのジレンマが面白い。
特に、頂上アタックはハイリスク、ハイリターンであり、頂上制覇の過酷さと達成感が見事にシステムに消化されている。


ちなみに、1人のプレイヤーが2人の登山家コマを操作するシステム。1つのコマをサポート役にして頂上付近でテントを張らせて、もう1つの登山家コマで頂上アタックをしかける。というような戦略が採れる。ハイリスクだが、2人の登山家とも頂上を狙わせる戦略を採ることも、もちろん可能だ。


今回初プレイでは、最も難易度の低いパターン(夏山・良天候)でプレイした。おそらく、高難易度になればなるほど、面白くなるような気がする。誰も登頂できずに終わる、みたいな展開になれば、勝負とは関係なく、プレイ自体が一つの壮大なドラマになりそうだ。


個人的には、行動を決定するためのカードの枚数がなぜこの枚数になったのか、という点に興味がある。若干少ないような気がするのだ。そのため、山札がなくなると、再度捨て札をシャッフルして再利用するシステムになっている。ここに意図があるのだろうか。(初プレイでもどんなカードがあるか、その量や内容の全容を知らせる意図がある?)
1プレイでちょうど1デック使うぐらいの枚数を用意してもよいような気がするが、どうなのだろうか。


いずれにしても、天候、ルート、ビバーグ、アタックという登山要素を見事に成立させている点において素晴らしい作品だと思う。

2012年11月 8日 (木)

【ボードゲームレビュー】iPhone版 カタン ★★★☆

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評価:★★★☆[3/4](COMとの4人プレイでの評価です)

プレイ人数:3人~4人(COMとの対戦で1人プレイ可)

プレイ時間:20分ぐらい

値段:450円(2012.11.08時点。拡張は別料金)


iPhone版のカタンです。やっぱり面白いし、AIもちゃんとしていると思う。自分のレベルが低いので、自信ないけど。ゲーム自体のレビューはこちらの記事で。


ゲームの総評

このアプリいい!!手軽にカタンがプレイできる。結構AIも強いと思う。

まずは、キャラクター選択画面。

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キャラ選択とCOM/人の選択から行う。キャラクターごとに性格付けがされており、特有のセリフをしゃべったりする。(全部英語)


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ゲーム開始前の設定画面。注目すべきは、"Dice mode"の項目。"Stock"を選ぶと、確率の正規分布に近いかたちでサイコロの目が出るようになる。なので、「今回やたら10の出現回数が多かった。きーっ!!」と思う人は、"Stock"を選ぶと、自分の実力に近い結果が出せるのではないだろうか。


なお、"Robber mode"には、初期の町しか持っていない人は盗賊の対象から外れる"Friendly"という設定がある。人によっては、これはいいかも。(補足:8枚以上持っている場合カードの半分を捨てるのは、初期の町しかない人も対象になる。)



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ゲームの最後には、このようにサイコロの目の統計が出る。これは"Stock"設定でゲームした時の統計結果。人によっては、この統計を見ることで、ゲーム結果に納得できるのかも。



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メイン画面がこちら。iPhoneだと若干タッチがしにくい。ただしダブルタップすれば、簡単に拡大できるので、あまり問題はない。




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上の画面が、交渉時のもの。「羊1つをあげる代わりに、木を1つ欲しい」と言われている場面。この画面が若干操作がしづらいかも。



こんな感じで、iPhone版のカタンは、なかなかいい感じ。結構、敵AIも賢いので、ダレないし、何よりもサクッと始まって、サクッと終わる。これが450円なら、お得だと思う。また、単に拡大するだけになるが、iPadの方が画面が大きい分、プレイしやすい。


2012年11月 6日 (火)

【ボードゲームレビュー】カタンの開拓者たち ★★★★

評価:★★★★[4/4](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:3人~4人

プレイ時間:40分ぐらい


名作だ。このメカニクスを実現したとき、デザイナーは何を思っただろうか。歓喜か、達成感か、はたまた苦しみか。驚き、に近いものだったかもしれない。これは、ルールを聞いただけでも感動する。それは、プレイしてみて更に深まる。全てのプレイヤーが休むことなく参加し続ける展開。運と戦略の適度な混ざり具合。プレイするうちに、プレイヤー側に蓄積していく経験値。あらゆる面で絶妙なこの作品の存在は、ドイツゲームに入るための門として、おそらくこれからも偉大な存在であり続けるだろう。(おおげさ)


簡単なゲームの流れ

  1. 開拓地コマ2つと街道コマ2つを順番に各プレイヤーがカタン島に配置する。
  2. サイコロを振って、出た目に応じて、資源を取得できる。
  3. 資源を使って、道を伸ばしたり、新たに開拓地や都市を作る。開拓地や都市は勝利点になる。
  4. 欲しい資源は、交渉で他プレイヤーと物々交換して入手することもできる。
  5. 最初に勝利点が目標得点に到達した人が勝利。

ゲームの総評

あまりにも見事にルールやシステムが作られているため、ふと気づくと忘れそうになるが、カタンは難しいゲームだと思う。


この難しさは、「初めてプレイする人に説明するとき」に如実に現れる。「ロンゲストロード」はまだしも、「ラージェストアーミー」をどのように説明するか。これは難しい。直観的につかみにくい。しかも勝利に直結する重要な要素だから、ちゃんと説明しなくてはならない。


慣れてくると忘れてしまいがちだが、この世界に初めて訪れる人にとっては、カタンの世界の価値観や意味は、結構掴みづらいものだ。


リソース管理に、陣取りに、交渉。あらゆる要素を詰め込みながら、シンプルなルールに収めきった傑作、としてカタンは評価される。一方で、こうした説明の「難しさ」も存在している。「難しい」から悪い、ということではなく、この難しさこそがゲームの「シンプル」さに貢献していると思う。つまり、システムやメカニクスでテーマを説明することを「意識的に」放棄していると思うのだ。


説明をしない、というのは怖いことだ。なぜなら理解してもらえない可能性を秘めてしまうから。だからこそ合理的であろうとして、もしくは一貫性を保とうとして、過度に説明してしまうことがある。カタンを見ていると、製作者とプレイヤーとの暗黙のインタラクションが成立したときに、そのゲームは凄い輝きを放つのではないかと思わせる。


ボードゲームには、自分と対戦相手とは違う、製作者という第三のプレイヤーが常にいるような気がする。少なくともその者との対話は、マニア以外にも絶対に感じており、そこに感じる喜びは、愛好家だけのものではないと思う。


だからこそカタンは、これほど多くの人に愛されているに違いない。

2012年11月 5日 (月)

【コラム】なぜボードゲーマーは、コンポーネントにこだわるのか?

ボードゲームの魅力の一つに、コンポーネントがある。そしてそれを楽しむボードゲーマーの嗜好は、木製の駒や分厚くて艶やかなボードやカードに向かうことが多い。

こうした嗜好を直観的には理解しつつも、同時に違和感も感じていた。

というのも、ボードゲーマーは、システムやメカニクスに対して極めて強いこだわりを持つ。これはとても理解しやすい。システムやメカニクスはゲームとしての根幹であるからだ。

それゆえ、コンポーネントへの愛情を理解しつつも、素晴らしいメカニクスでありさえすれば、コンポーネントは、別に粗末であってもいいのではないか、とも思うのだ。またそのモノへのこだわりも、形状やイラストの美しさというコンテンツ的性質よりも、材質とか質感というマテリアル的な部分に強く注目されることが多いのも不思議だ。

なぜなのだろうか。

別にプラスチックでも構わないではないか。名作と言われるゲームであれば、それはどんなコンポーネントであっても、その素晴らしさは保障されている。実際にプラスチックの駒だからと言って、『カタン』はつまらなくなるだろうか?
おそらくそんなことはないだろう。素晴らしいものは素晴らしいし、面白いものは面白い。初めて遊ぶ人たちは、そういうものだと思って、『カタン』を楽しむし、そのメカニクスにも感心するはずだ。

しかし、やっぱりコンポーネントにこだわりたいのだ。それは、なぜなのだろう。

1つのボードゲームに慣れてくると、そのゲームにおける1つ1つのコンポーネントが両替可能な存在に感じるようになる。たとえば、『カタン』であれば、このレンガは、麦2つ分の価値を持っているな、とか、そういう換算ができるようになる。すると、目の前の駒やカードが現実的な何かのメタファーであることを捨て去って、究極的には無機質な勝利点に換算されるようになる。

コンポーネントへのこだわりは、ボードゲーマーの自らの習性に対する抵抗ではないだろうか。

素晴らしいゲームにこそ素晴らしいコンポーネントが求められている。この世のあらゆる不特定多数のボードゲームに対して、木製の駒、金属製のコイン、重々しいボードなどを求めてない。かつて愛した「あのゲーム」にこそ荘重なコンポーネントを求めるのだ。つまらないボードゲームにそのようなことは求めない。

コンポーネントへのこだわりは、「選択的」であり「事後的」なのだ。

考えてみてほしい、『人生ゲーム』の超豪華コンポーネント版が出たとして、それが欲しいだろうか?(それはそれで欲しい人もいそうだけど。)
ドイツを中心としたユーロゲームを愛する人たちがそれを求めるだろうか?特別な「あの」作品にこそ、重々しいコンポーネントがふさわしい。あくまでそれは「選択的」であるはずだ。

一方で、多くの初心者は、多少粗末なコンポーネントであっても、素晴らしいゲームであれば、十分に満足して楽しむ。その事実にはボードゲーマーとしては、若干の残念な思いと共に、驚きを感じることがある。高級感あるコンポーネントは、「かつて楽しんだ」作品にこそ、付属してほしいモノだ。それはあくまで「事後的」なのだ。

遊んでいる間は、それが動き、さまざまな表情を見せることに疑問を持たない。しかし、ふと立ち止まって考え始めると不思議でならない。ボードゲームは、精巧なからくり人形のようだ。生々しく動くその背後に、生き物に迫ろうとする複雑な機構が存在している。理想とするボードゲームというのは生き物のようなものではないか。あくまで自然でありながら、そのレスポンスの可能性は無限であるような。しかしそれが精巧なからくりであることを知っていて、その仕組みを暴かずにはいられない。こんな因果なボードゲーマーの愛情が、倒錯的にコンポーネントに向けられる。

プレイを重ねることで、そのゲームのシステムやメカニクスは、いつしかむき出しになり、露わな姿を曝すようになる。それは分類、整理され、膨大な書庫の中にラべリングされて収められてしまう。こうしていつの間にか、ボードゲームのメカニクスはソフトウェアの海の中に埋没してしまうのだ。

厚みのあるカードやタイルが求められるのは、長く使うことができる、という実用的な要望と当初は思っていた。しかし、それだとプラスチック製の駒を嫌う理由が分からない。別にプラスチックだからといって、容易に悪くなったりはしないはずだ。(けれど、自分は木製コマが大好きなのだ)

しかし、これもボードゲームとしての、生命のような「神秘性」を取り戻す欲望だと理解すれば、分かるような気がする。

プラスチックという工業製品では、大切だった何かを隠匿するには神秘さが足りないのだろう。むしろ、プラスチックのメリットそのものさえ疎ましい。

最初は、コンポーネントがその内側に隠し持つ「何か」を求めていたはずだ。そのうち「何か」を隠し持つに足る品質をコンポーネントが持つことで、その「何か」を隠し持っているという事実を取り戻す、という倒錯した愛情が、そこにはあるような気がする。

だからこそ、コンポーネントのコンテンツ的な性質よりも、隠すためのベールとして相応しいマテリアル的な性質に、こだわりは向けられる。

ゲームは、食べ物に似ている。自らの存在を削りながら、面白さ、楽しさ、喜びを提供する。誤解を恐れず言えば、終わってしまえば、そこには何も残らないのだ。消費される過程でこそ、自らの価値を放つ。ゲームを遊びつくす、ということはそれがゲームでなくなることでもある。神秘さを失ったゲームを「遊ぶ」ことはできない。

「かつて愛したあのゲーム」が、まだまだ自分には曝していない表情を隠し持っていることを期待する。
それだからこそ、コンポーネントが論理的にはゲームのメカニクスに関わらないことを自覚しながらも、そのメカニクスを愛するものとして求めざるを得ないのではないか。

2012年11月 3日 (土)

【ボードゲームレビュー】ピクトマニア ★★☆☆

評価:★★☆☆[2/4](5人プレイでの評価です)

プレイ人数:3人~6人

プレイ時間:40分ぐらい


すごいね。絵が下手でも参加できるようにするってすごいな。


簡単なゲームの流れ

  1. お題リストの中から配られたカードに従ってお題を決定。
  2. お題に沿って、各プレイヤーが同時に絵を描く。
  3. 描き終わったら、他のプレイヤーが何を描いているかお題を当てる。
  4. お題を当てた速さや数で得点を獲得。自分の絵が誰にも当ててもらえないと減点。
  5. 各プレイヤーで得点を競う。

ゲームの総評

仕組みがすごい。自分の絵を誰にも当ててもらえない場合のみ減点になる(実際はもう少しいろいろあるけど)。だから、「絵が下手なの」というコンプレックスをあまり感じなくてもすむ。
なんというか、「何の絵か誰も分からなかった」、とプレイヤー全員で共有されることで、楽しくなって「恥ずかしくなくなる」のだ。これが不思議だ。

お題の難易度が異常に向上していくのも面白い(どんどんとお題が抽象化されていく)。これは凄いファミリーゲームだなあ。

【ボードゲームレビュー】宝石商 ★★☆☆

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評価:★★☆☆[2/4](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:3人~5人

プレイ時間:40分ぐらい


競りゲームというのは、相場感をどのようにつかむものなのか毎回悩む。何が妥当な値段なのか、手探りで探っていかなければならない。それゆえ、どうしても競りゲームに手を出すのに抵抗がある。
しかし名作と名高いあの『バサリ』のリメイク作をたまたまプレイできる機会に巡り合えた。


簡単なゲームの流れ

  1. 宝石、カード、お金を「場」に出す。
  2. その3つのうち、欲しいものを1つ、各プレイヤーが選択。
  3. 欲しいものがバッティングがしてなければ、そのまま取得。
  4. バッティングすれば宝石を使った交渉開始。
  5. 最後に、最もお金を持っている人が勝ち。

ゲームの総評

最終的な勝利は宝石ではなく、お金。宝石というリソースを如何にしてお金という勝利点に交換していくかを競うゲームだ。


「なぜバッティングするんだー」と不思議なほど、バッティングが起こる楽しいゲーム展開。アクションが3つしかないので、4人でプレイすれば必ずバッティングが発生するわけで、不思議なことは何もないのだが、自分がバッティングすると天を仰がざるをえない。ここら辺は「自分の宝くじだけは当たるような気がする」というヤツの裏返しみたいなものかもしれない。


ところで、この宝石商というこのタイトル。どうも原題のもつ風格みたいなものが消えてしまっているような気がしてもったいないと思うが、どうなのだろう。


今回、初プレイしたが、交渉によりプラスサムになる、という感覚を得られなかったため、「難しいゲームだなあ」という印象を強くもった。慣れもあるのだろうから、何度かプレイすることでまた評価が変わるかもしれない。


あと、他の人のブログを読んでいて、「3人がバッティングしてしまったら、そのアクションは無効」という大事なルールをすっ飛ばしてプレイしてしまった気がする。うーむ。評価はあくまで期待を込めての暫定です。


あと、『バサリ』のルールを見ると、結構、『宝石商』とはプレイ感覚が違うのではないか、と思った。初心者は『バサリ』の方がプレイしやすそうな気がするが、どうだろう。

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