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2012年11月 6日 (火)

【ボードゲームレビュー】カタンの開拓者たち ★★★★

評価:★★★★[4/4](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:3人~4人

プレイ時間:40分ぐらい


名作だ。このメカニクスを実現したとき、デザイナーは何を思っただろうか。歓喜か、達成感か、はたまた苦しみか。驚き、に近いものだったかもしれない。これは、ルールを聞いただけでも感動する。それは、プレイしてみて更に深まる。全てのプレイヤーが休むことなく参加し続ける展開。運と戦略の適度な混ざり具合。プレイするうちに、プレイヤー側に蓄積していく経験値。あらゆる面で絶妙なこの作品の存在は、ドイツゲームに入るための門として、おそらくこれからも偉大な存在であり続けるだろう。(おおげさ)


簡単なゲームの流れ

  1. 開拓地コマ2つと街道コマ2つを順番に各プレイヤーがカタン島に配置する。
  2. サイコロを振って、出た目に応じて、資源を取得できる。
  3. 資源を使って、道を伸ばしたり、新たに開拓地や都市を作る。開拓地や都市は勝利点になる。
  4. 欲しい資源は、交渉で他プレイヤーと物々交換して入手することもできる。
  5. 最初に勝利点が目標得点に到達した人が勝利。

ゲームの総評

あまりにも見事にルールやシステムが作られているため、ふと気づくと忘れそうになるが、カタンは難しいゲームだと思う。


この難しさは、「初めてプレイする人に説明するとき」に如実に現れる。「ロンゲストロード」はまだしも、「ラージェストアーミー」をどのように説明するか。これは難しい。直観的につかみにくい。しかも勝利に直結する重要な要素だから、ちゃんと説明しなくてはならない。


慣れてくると忘れてしまいがちだが、この世界に初めて訪れる人にとっては、カタンの世界の価値観や意味は、結構掴みづらいものだ。


リソース管理に、陣取りに、交渉。あらゆる要素を詰め込みながら、シンプルなルールに収めきった傑作、としてカタンは評価される。一方で、こうした説明の「難しさ」も存在している。「難しい」から悪い、ということではなく、この難しさこそがゲームの「シンプル」さに貢献していると思う。つまり、システムやメカニクスでテーマを説明することを「意識的に」放棄していると思うのだ。


説明をしない、というのは怖いことだ。なぜなら理解してもらえない可能性を秘めてしまうから。だからこそ合理的であろうとして、もしくは一貫性を保とうとして、過度に説明してしまうことがある。カタンを見ていると、製作者とプレイヤーとの暗黙のインタラクションが成立したときに、そのゲームは凄い輝きを放つのではないかと思わせる。


ボードゲームには、自分と対戦相手とは違う、製作者という第三のプレイヤーが常にいるような気がする。少なくともその者との対話は、マニア以外にも絶対に感じており、そこに感じる喜びは、愛好家だけのものではないと思う。


だからこそカタンは、これほど多くの人に愛されているに違いない。

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