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2012年12月22日 (土)

【ボードゲーム書籍レビュー】大人が楽しい 紙ペンゲーム30選 ★★★☆

Kamipen_01


評価:★★★☆[3/4]

プレイ人数:3~100人

プレイ時間:15分~


すべてのゲーマーに捧げられた本。

ゲーム(書籍)の総評


すごろくや』さんから出たこの書籍。発売からちょっと時間が経ってしまったが、ようやく購入した。すごい本だと思う。ルールを集めた本というのは別に目新しいことではない。しかし、ボードゲーム専門店がこの本を出した、ということが一つの大きな意義を持つのではないだろうか。

本の構成としては、以下の3章に分かれている。

  • 3~5人用
  • 6人~9人用
  • 10人以上用

そう、この本は、かなり多人数向け、パーティ向けに書かれている。僕のように子供がまだ幼く、プレイする相手は主に妻だけ、なんて人間にはなかなか使い勝手が難しい本なのだ。

しかし、それでもこの本はすごい。

まず、各ゲームの"すごろくやコメント"がとても誘惑的だ。例えば「ベリシ・ネ・ベリシ」というゲーム。これはトランプを使ったゲームだ。

親がある1つの数字を決めて、それに従って手札を出す。手札のカードは裏返しにして出すのだが、その時に何の数字を出そうとしているか口頭で宣言する。で、嘘だと思う場合は、「ダウト」と他プレイヤーがツッコミをする。

で、このゲームの"すごろくやコメント"には「ルールは『ダウト』に近いのですが、まるで次元が異なる不思議な心理戦ゲームです」とある。思わずやってみたくなる。だってルールだけ読んだら、まさしく「あのダウトと同じじゃん」と思うわけで。何気ない一言だけど、とてもゲームが好きな人に向けて書かれていると思う。ダウトというゲームを分解してみたことがある人なら、食いつくコメントだろう。

また、紹介されているゲーム1つ1つがとても厳選された印象を受ける。だから、読んでいて楽しい。「なぜ『すごろくや』さんはこのゲームを収録したのか」。そんなことを想像しながら読む人にとっては、単なる読み物としても十分元が取れるのではないかと思う。


また、「応用ルール」という項目が多くのゲームで設けられている点に注目したい。基本的なルール以外にもこうしたバリアントルールが多く記載されている意図はなんだろうか?

穿ちすぎかもしれないが、これは書籍のタイトルとも関係しているのではないかと思っている。

僕はすでに30代半ばだが、僕らの世代以降の人にとって、「ゲーム」と聞いて「コンピュータゲーム」を思い浮かべないようにするのはほぼ不可能だ。テレビゲームか携帯型ゲームを指す言葉となって久しい。

しかし、僕らよりほんの少し前の時代では、この「ゲーム」という言葉はもう少し違っていたのだろうと想像する。

それこそ、白紙の紙にペンで描くように、「ルール決め」自体からしてゲームは始まっていた。

いつから僕らにとってバリアントルールは、難易度調整や異なるゲームモードになってしまったのだろう。いつのころから、「基本ルール」がこれほど特権的になってしまったのだろう。

僕たちは、ルールを与件だと思っている。軟体動物のように、好きなように改変できるものだったルールは姿を消して、そこには建造物のようにどっしりと構えたルールがいる。作り手もきっと大変だろう。作り手にだけ、消費者の多様なニーズに応えるよう努力させることは傲慢なのかもしれない。

ゲームが不得意な不特定多数の人に向けたバリアントルールと、目の前にいるAさんやB君に向けたバリアントルールとでは、そのルール内容が全く同じでも、成立プロセスや意図が全然違ってくる。


この違いに、テレビゲームだけをやっている人たちは一切意識が向いていない。ボードゲーマーだけが気にしている。僕はボードゲームに触れて、このことにようやく気が付くことができた。


うまく出来ていないルールと、うまく楽しめなかったプレイヤーとをどう区別することができるのだろうか、とテレビゲーマーは考えてしまうのだ。だから「ゲームとして破綻している」とか「この良さが分からない奴はバカ」とか「下手だから」とか「だめゲー」となってしまう。しょうがないと思う。Creatorはまさしく大文字の創造主であり、世界は制約によって切り取られているのだから。


しかしボードゲーマーは、そんな区別は難しいと直観的に感じ取る。どうやったら今ここにいる人が楽しいかを考える。もちろん努力してもダメなものはダメなのだが、目の前に他人がいると、現実的なその存在を意識せざるを得ない。誤解を恐れず言えば、目の前にいる他人の存在感と比べたら、ボードゲームはちゃんと「おもちゃ」に成り下がるのだ。


まだ3カ月しかボードゲームをやっていないが、そのことを当たり前のこととして捉えている多くのボードゲーマーを目にして、テレビゲーマーだった自分は大変驚愕した。


紙とペンを持って、もう一度ゲームプレイの「現場」に降りてみよう。全てのゲーマーに向けて、そんな意図がこのタイトルと応用ルールという部分に込められているように僕には思えた。

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