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2012年12月30日 (日)

【コラム】なぜテレビゲーマーがボードゲームに期待するのか?

年末なので、自らを振り返る意味も込めて。


あまりこのブログでは言及していないが、僕は根っからのテレビゲーマーだ。学生時代は毎日のようにゲーム屋さんに通っては、面白そうなゲームがないかを物色していた。当時住んでいた吉祥寺には、多くのゲーム専門店があった。このあいだ、約10年ぶりに、吉祥寺に行ってみたら、その店の多くはなくなってしまっていた。寂しさを覚えるとともに、妙な納得感もあった。

2012年9月。今から3か月前、そんな僕がふとしたきっかけで、ボードゲームにハマることとなった。

一番のきっかけが、『Wiiスポーツ』(2006)だ。このゲーム自体が原因ではない。もう発売からずいぶんと経つ。むしろ、このゲームを超えるゲームがWiiで出なかったという事実が、一番の原因だ。結局、超えるゲームが出ることなく、新世代機が出てしまう。それが少しだけ寂しかった。

『Wiiスポーツ』をやって、当時の僕はとても可能性を感じた。誰もが斜に構えて、そんなことは不可能だと思っていたパラダイス「みんなが楽しい」世界を、もしかしたら実現してくれるかもしれない。Wiiリモコンを見ながら、僕はそんな夢想をしていた。

しかし、『Wiiスポーツ』を超えるゲームはその後発売されなかった。もちろん『マリオギャラクシー』(2007)や『428』(2008)や『ゼノブレイド』(2010)など、傑作は多くリリースされた。それらは紛れもなく傑作だったけれど、僕が期待し、夢見た「何か」ではなかった。

結局全ての家庭用ゲームハード、携帯型ゲーム機、iPhone、iPadを揃え、めぼしいゲームを色々と買ってみたけれど、その隙間を埋める存在には、なかなか行き当たらなかった。

今でもテレビゲームは遊ぶ。かなりやっている方だと思う。だから単にテレビゲームに失望したとか、もう将来のテレビゲーム業界は暗いとか、そんなツマラナイことは考えていない。きっとまだまだ新しい地平を切り開く、そんなゲームが出てくることを期待している。

じゃあ、なぜボードゲームなのか。まだまだ若い産業であるテレビゲームではなく、なぜ敢えてボードゲームにも期待をかけるのか。

それは、ボードゲームが「面白い」ということだけに"こだわれない"という特徴を持っている、と思うからだ。

「面白い」ということだけにこだわると、行きつく先は、「パチンコ」や「ソーシャルゲーム」になってしまうのではないかと最近よく考える。

パチンコはなおのこと、ソーシャルゲームも、多くのゲーマーから批判を受けている。「あんなのはゲームじゃない」とか「想像力の低い遊びだ」とか、色々と言われているけれど、「面白い」ことだけを追求していくと、アレになってしまうのではないか。

ここで「面白い」の定義をしようとは思っていない。しかし、あんな「ソーシャルゲーム」に夢中になっている人がいっぱいいることは事実だし、それを否定することが「よりエライこと」だなんて誰もお墨付きを与えてはくれない。

ここは一度「面白い」だけにこだわらない事が、むしろ重要なんではないかと思うのだ。

例えば、所有欲を満たす、という快感がある。これはボードゲームの特徴の一つだ。テレビゲームは購買欲を満たすかもしれないが、所有欲を満たすようにはあまりできていない。ボードゲームには、コンポーネントがある。ルールブックがある。そして、あのデカい箱がある。それらにこだわったボードゲームを望んでいるわけではなくて、そこに気を使う構造になっているボードゲームに期待できる部分、というのがあるのではないか。

他にも、例えば、ボードゲームは、直接人と対面でプレイするという前提がある。お互いに顔を見てプレイすることが、ほぼ100%想定されている。インターネットを前提にしなくていい、直接相手の表情が見て取れる、というのは考えようによっては大きなアドバンテージになるのではないか。「面白い」だけではない価値を産む土壌になりはしないか。

図らずも、ボードゲームは、「面白い」にこだわるだけでは許されない制約を課されている。そういう眼を持った多くの人の視線にさらされている。

もちろん、「面白い」ことを誰も否定できない。ゲームにとって「面白い」ことは全ての前提であるし、なかなか到達できないゴールでもある。その「面白い」のために、文字通り命を削っている人が数多くいる。

しかし、「面白い」ことだけに収束しないこだわりが、新たな価値を生み出すことがある。「カタン」や「カルカソンヌ」のBGGでのランキング順位は決して突出して高いわけではない。しかしみんな、この2つがとても偉大な作品だと認識している。この一見すると整合しない事実に、僕はボードゲーマーの良心的なバランス感覚を見出す。

ボードゲームの持つ制約と環境が、新しい扉を開くことを期待せずにはいられない。どんな形かは分からないけれど、ボードゲームがその扉を開くと思っている。



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