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2013年1月

2013年1月29日 (火)

【ボードゲームレビュー】ニムト ★★☆☆

評価:★★★☆[2/4](4人および6人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~10人

プレイ時間:30分ぐらい


なんで牛なんだろう。

簡単なゲームの流れ


  • ①カードは全部で104枚。1~104までの数字が1枚に1つ書かれている。
  • ②場に4枚のカードを出し、それぞれが列の先頭カードとなる。なお各プレイヤーは10枚のカードが配られる。
  • ③全プレイヤーが同時に1枚のカードを出し、場に出ているカードに繋げる形で、トランプの七並べのように並べていく。繋げ方は、最も近い数字の列の先頭に、右側に行くほど数字が大きくなるように繋げる。
  • ④同時に出されたカードは小さい数字から並べる。各列の6番目に数字が並んだ時、そのカードを出した人は、その列のカードを全て引き取らなければならない。
  • ⑤全てのカードを出し終わって、引き取ったカードに描かれた牛マークの合計数が少ない人が勝利。

ゲームの総評


思うようにならない状況がこれほど楽しいとは思ってもみなかった。帰省の際にみんなでプレイしたが、ルールも簡単だし盛り上がった。「間違えた―!」「いやいや、間違えてない。君こっちの列」「うぎゃー!!もっと間違えてるー!!!」

こういう簡単で楽しいゲームを遊ぶと、つい夢想してしまう。UNOではなくて、このニムトがもっと普及していたら……、色々と日本にもドイツゲーム的な潮流が今以上に生まれていたんじゃないかと。詮無い空想だと思いつつも、こういう定番・名作はもっともっと普及していていいと思った。

また、ニムトが凄いのは、容易にいろいろとルールを改変できるところだ。説明書に様々なバリアントが書かれているが、基本ルールは全て同じ。スピーカーのボリュームをひねるように、極めて繊細に難易度やパターンを変えることができる。

個人的には4人プレイだと、1~90ぐらいまでのカードを使うといい感じになるような気がしている。本当にわずかな違いだけど、こんな調整ができるところも懐の深さを感じさせる。もちろんプレイするメンバーにもよるだろう。

ルールというのは楽しむための道具立てでしかない。けれども、ボードゲームのルール説明には、様々な細かい禁止事項が付きまとうことがある。それはまさしく楽しむためのルールであるのだが、その説明自体が楽しいということはあまりない。

自分のルール説明に不備があった時、僕はとても申し訳ない気持ちになる。一方で、他人のルール説明に不備があった時、その人が申し訳なさそうな顔をしていると、僕も申し訳ない気持ちになる。「いいんすよ、まじで、そんなことは、ホント気にしなくて」

けれど、そんな窮屈な空気が生じようがないニムトは、なんて清々しいんだろうか。ゲームというよりも「遊び」。ニムトは紛れもなく「遊び」だ。ニムトで盛り上がれると、昔懐かしい「遊び」に触れたような気分になる。

つくづく、いいゲームだなあと思う。

※追記(2014年3月9日)
やはり素晴らしいゲーム。今の評価は低すぎると思い、思い切って★3に昇格させた。ニムトの安定度は群を抜いている。

【海外レビュー記事翻訳】テーベ(テーベの東)について本当のところ子供たちはどう思っているのか。8歳と10歳の子に訊いてみた。

とうとう発売しました日本語版のテーベ(テーベの東)。

非常に運要素が強い(ある意味ぶち壊している)とも評されるこのゲーム。個人的にはとても満足しています。やっぱり、ゲームというのは「体験」なんだと思います。なので、勝負や協力というのは、あくまでその体験の切り取り方、断面図なのではないかと。そう考えると「運ゲー」と言われるのに、これだけの高評価を得ている点にこのゲームの魅力があるのだろうと。素晴らしい「体験」ができるツール・おもちゃだと思っています。

この記事は、8歳と10歳の子供たちにテーベを遊んでもらって、彼らにインタビューする、という変わった形のレビューです。その記事の翻訳になります。

しかし、子供のからかい方って万国共通ですね。妙に親近感を覚えます。全然別の話ですが「ボードゲーム買いすぎて、奥さんやガールフレンドに怒られるー」みたいな記事もありました。

こういう例を見ると、ギークの生態は、国境や言葉の壁を越えて、共通するんだな、と思います。

また、8歳の息子さんがとっても背伸びして答えているのが微笑ましい。また最後の娘さんのコメントなどは、彼女のドヤ顔が見えるようです。

自分の英語力が未熟なため、子供特有の言い回しみたいなことは分からなかったので、雰囲気を伝えられなかったかもしれません。

ちなみに、「息子」とか「娘」とかの字に色を付けたりしていますが、原文は黒字のままです。翻訳にあたって、一部変更しましました。

何か間違いがあったら、ぜひご指摘ください。

ではでは、以下から記事本文です。

追記(2012.1.29)無事発売されましたので、文頭をわずかに修正しました。また翻訳許可を筆者様から頂いたので、その文言を付け加えています。


Original review in English by EndersGame, translated and reproduced with permission



テーベ(テーベの東)について本当のところ子供たちはどう思っているのか。8歳と10歳の子に訊いてみた。

先週、我が家では、友達から『テーベ』を借りてきたんだ。で、数日間ずーっとこれを遊んでた。このゲームについて、子供たちが本当のところどう思っているか、知りたくないかい?そこで、僕の8歳の息子と10歳になる娘にインタビューをして、このゲームのことをどう思っているか探ってみたんだ。

ここでは、彼らの言葉をそのままに書いたよ。

質問:テーベをこの3日間でどのくらいプレイしたの?
息子:3回
:2回

質問:このゲームの1回あたりのプレイ時間はどのくらい?
息子:1時間。
:たぶん、1時間ぐらい。

質問:テーベは理解するの難しかった?
息子:全然。
:実際は、そんなに難しくなかった。だって、最初にムービーを見たし、それで大体説明されてたから。あと、たいてい、ママが私たちに基本のカードとか、それをどうするのか、教えてくれたし。でね、シャベルとか飛行船とか、分かりにくいカードについては、それが出たときに、ママが説明してくれたの。

質問:このゲームどんなところが一番好き?
息子:発掘をしに行くところ。長くいれば、それだけ多く宝物を獲れるんだけど、何週間そこに滞在するか決めなきゃいけないの。
:一番好きなのは、飛行船。だって、飛行船はとてもかっこいいし、便利だし。その絵が好きなの。

質問:このゲームのどんなところが一番きらい?
息子:ないよ。
:このゲームの一番イヤなのは、ハズレしか取れなかった時。
息子:そうだ。それだ!僕もそれにして。

質問:コンポーネントについては、どう思う?
息子:コンポーネントってなに?
:発掘の文字盤がすごく好き。袋に入ってる小さいタイルも好きよ。それぞれ絵が描いてあるの。あと、それを入れておく袋もすき。それぞれの袋ごとに、それ専用の色のラインが引かれてて、発掘する場所ごとに別々の絵が描いてあるの。それにね、カードも好き。絵が描かれてて、単に"ピンク色の知識カード"ってだけじゃなくて、ちゃんと本の絵が描いてあるの。あと飛行船。あと、発掘のための小さなシャベルもあって、とってもいいの。

質問:テーマについてはどう思う?
息子:いいテーマだと思う。発掘するのすき。
:とってもいいと思う。だって、大体こんな感じでしょ。学校に行って、現場に行って、タイルをとって。そのままでとても分かりやすい。

質問:メカニクスは、このテーマにうまく合ってるかな?(例えば、発掘のメカニクスとか)
息子:とっても。発掘のときには、実際に袋の中に手を入れて探すからね。
:とてもいいと思う。発掘のやり方が好き。袋の中から取り出すでしょ。けど、発掘するのにシャベルの模型とかあったらもっと良かったかも。

質問:このゲーム、運はどのくらい必要かな
息子:すごくたくさん。
:運が必要なのは、袋の中を探して、タイルを取り出すとき。ポイントが高いのが欲しいけど、それはほとんど運だから。パパも言ってたでしょ「おー、それが獲れるなんて、運がいいね!」って。

質問:ある人たちは、このゲームに2点とか3点をつけてるんだ。「運の要素が大きすぎて、それが、このゲームはダメにしている」って。これついてどう思う?
息子:ダメにしていると思わないよ。それが楽しいんだと思う。
:そういう部分はあるかも。けど、そんなに低い点数をつけるのは違うと思う。だってこのゲーム、すごく楽しいんだもん。運の部分も悪くない。10枚も引いたのに、ハズレしか獲れなかったら、それも面白いじゃない。何が出るかなーって期待して、でも全部ハズレでした!って。

質問:遺跡の発掘で、ハズレしか獲れなかったことある?
息子:1回あった。6個もタイルを取ったのに。
:1回。その時は、3つしかタイルを引かなかったから。うん。実際私は、そういうこと全然なかった。

質問:それで、このゲーム嫌いになった?
息子:ううん。だってそこに発掘にいったとき、そこには1つしか宝物はなかったんだから。
:ぜんぜん。ハズレしか取れないのも面白い。「わー、これハズレだ。・・・で、これもハズレだ!」みたいな。

質問:このゲーム、戦略的な部分はどれくらい?このゲーム、みんながうまくやれるようになるかな?
息子:うん。
:ゲームのホント最初のところ、いろんな場所に移動するところはそうだと思う。「もしこれを取ったら、相手は、あれを取るかもしれなくて・・・」って考えるでしょ。ベストになるように、選ばないといけないから。

質問:おススメのお気に入りな戦略とかある?
息子:うん。できる限り発掘に行くんだ。
:少なくとも場に1つシャベルがあるときはいつも、それを取るべきだと思う。ホントにいいのは、たくさんポイントを取るため学会カードを取ること。そして、特別なカード、自動車とか飛行船とかが場にあるときも取った方がいい、いつそれが必要になるか分からないから。あと、一般教養(※)があるときは、2冊あるから、毎回それを取ればいいとは限らない。で、1つの場所でとどまるようにして、あちこち動き回らないようにするの。その場所で取れるものを取ってから、動くようにするの。

※・・・知識カード系のオールマイティなワイルドカード。


質問:このゲームでのお気に入りのカードは何?
息子:エジプトのカード。それに自動車のカード。自動車があると、動き回るのにとても楽になって、たぶんゲームの終わりまでに、たくさん発掘できるようになるから。それに、シャベルのカードも好き、あとは秘密。シャベルがあれば、発掘するとき、さらにたくさんの宝物を獲れるチャンスが増えるから。

質問:これまでの最高得点は?
息子:100点。
:103点。

質問:その時は、どうやって一番得点を稼いだの?
息子:だいたいが宝物で。宝物だけで86点も取ったんだ。
:私は学会だと思う。20点も取ったの。発掘タイルからは、少ししか得点できなかった。

質問:展示会はどう思う?
息子:僕、実際にそれやったことないんだ。それよりも、発掘する。
:とてもいいと思う。チャンスも手に入るし、ポイントを稼ぐもう一つの方法だしね。

質問:このゲームをデザインしたデザイナーの名前はなんでしょう?
息子:どういう意味?
:わかんない。デザイナーってなに?

質問:気になる?
息子:ううん。
:ちょっと。そのデザイナーっていっぱいゲーム作ってるんでしょ。だからそのデザイナーが分かれば、同じようなゲームが手に入るってことかな。

質問:ライナー・クニツィアやマーティン・ワレスがデザインした平均的な作品と比較して、テーベはどうだろうか?
息子:どういう意味?
:よくわかんない。その名前知らないし。どうでもいい。

質問:このゲーム、おススメするならだれにする?
息子:Tさん。
:友達。教会の人。小さい子にとってもいいと思う。あと、Tさんなら大好きだろうね。探索するのが好きな人におススメ。あと発掘するの好きな人も。

質問:大人と子供、どっちに向いてるかな?
息子:大人。
:両方に向いてる。

質問:向いているのは、何歳だと思う?
息子:7歳~15歳。
:7、8歳以上。

質問:じゃあ、15歳より上は?
息子:それでも気に入ると思うよ。

質問:君たちの友達は、このゲームをどう思ってるかな?
息子:好きだと思う。僕の友達の多くは、戦略を立てるのが好きなんだ。このゲームはそういう部分が多いから。
:たぶん好きじゃないと思う。だってちょっと変わったゲームが好きじゃないし。ちっちゃい子供用のゲームとか、カードゲームとかが好きなの。楽しくて短時間で終わるゲーム。長くて壮大なゲームは好きじゃないの。ウノとかは好きだけどね。あれもちょっと変わってるけど。

質問:もしテーベの拡張セットをデザインするとしたら、何を付け加える?
息子:何も追加しなくていいよ。
:拡張セットには、発掘用の小さいシャベルを増やすわ。あとボードにもう一つ場所を増やして、プレイ年数を少し長くするかな。もっと色々手に入れられるように、5年にする。それで、もう一つ色を付け加える。赤色がいいな。

質問:テーベをより良いゲームにするために、他にあった方がいいものってある?
息子:何もないよ。
:もっと年数を長くすれば、もっと刺激的になるんじゃないかな。もっといっぱい獲ることができるし。他には悪いところはないよ。少しぐらい運の要素がないと、全然面白くなくなっちゃうしね。

質問:あるBGGのユーザが言ってたんだけど、このゲームは"ゲームプレイでも楽しさにおいても、モノポリーにすごく似ている"って。これはどう思う?
息子:モノポリーよりも面白いと思う。
:違うよ。うーん、ある意味、1年でボードの周辺を回るというのはそうかもしれないけど、もっといろんな事が起きるから全然違う。発掘できるし。モノポリーじゃ、発掘できないよ。

質問:テーベより好きなゲームは何?
息子:マジック・ザ・ギャザリング。[10秒くらい考えてから、]マジックだけだね。
:私はテーベが一番好き。

質問:このゲームに何点を付ける?
息子:8点。
:10点。

質問:BGGのニコ・ソリタンダーがこう言ってる。「テーベは、一見したところ、見事にテーマを統合した、アブストラクトなユーロゲームのようだ(植民地主義者的な言い方だが)。とても素晴らしい製品であり、美しいゲーム作品である。また、よく使われる伝統的なユーロゲームのメカニクスを持っている。これは、バランスのいい資源と勝利ポイントの獲得を中心としたメカニクスだ。展開が早く、すぐに要領をつかむことができるし、家族で楽しむことができる。とても巧みな要素もある(時間消費システムや歴史的な点で)。しかし、運の要素がとても強い。気軽に日曜の昼に素晴らしいマチネーを楽しむように、リプレイ性も高いゲームだ。10点中7.5フェドラ(※)を付けよう。」このコメントに対して、どう思う?
息子:何も。長すぎるよ。
:大部分、そうだと思う。けど、いくつか難しくて分かんない言葉があったの。けど、だいたいはその通りだと思う。

※・・・『フェドラ』という有名な劇がある。マチネーと掛けているのだと思われる。


質問:今夜またテーベを遊ぶとしたら、やりたい?
息子:たぶん。
:うん。

質問:このゲーム、どのくらいで飽きるだろうか?
息子:だいたい5年くらい。
:拡張セットが出たときかな。その時は、拡張セットが欲しいな。毎日3回ぐらい遊び続けるとかしなきゃ、飽きないと思う。

質問:これ、持ち主の友達に返さなきゃならないんだけど、どう思う?
息子:いやだ。そうするなら、うちも買わないと。
:いやだ。

質問:このゲーム買うべきかな?
息子:そうだよ。いいゲームだし、好きだし。
:わーい。本当にいいゲームだし、買う価値があるよ。最初に遊んでから、買うゲームを決めるのが一番いい。普段から、パパも友達から一度借りてから、決めてるじゃない。

質問:テーベの適正価格はどのくらいだと思う?
息子:10ドル65セント
:35ドル

質問:最後に、テーベについてなんか言いたいことある?
息子:ないよ。だから、遊びに行っていい?
:ないかな。...ああ、1つあった。私、ほんとうにこのタイルの絵が好きなの。例えば、エジプトのタイルだったら、エジプトのモノがちゃんと描かれてるの。一番ポイントが高いのは、ツタンカーメンのマスクなんだけど、これは実際に、エジプトで発見されたものだし、多分いっちばん貴重なものだから、一番ポイントも高いの。


謝辞:我が友人のホモ・ルーデンス氏に感謝する。彼の「タリホー」のレビューで、彼はゲームについて子供たちにインタビューするという素晴らしいアイデアを思い付いた。私のレビューと質問は、彼のアイデアにインスパイアを受けている。もし、この記事を楽しんでもらえたならば、ぜひ、彼のレビューもチェックして「いいね」ボタンを押してあげてほしい。彼の4歳と5歳のお子さんのかわいらしい答えは、爆笑ものの楽しさだ!


↓Ender氏による写真付きレビューのリストは以下のリンク先にあります。興味のある方は是非!

Endergamesimage


【海外レビュー記事翻訳】海外で人気?!の人狼系ゲーム「レジスタンス」レビュー

この記事は、BGGにある『レジスタンス』という正体隠匿系ゲームのレビュー記事です。当初、海外における人狼はどのように評価されているのか?を調べようと思い、色々と記事を検索していました。しかし、僕の英語力では、ちょこちょことBGGを検索するのが関の山。あまり面白い記事が見つけられませんでした。

そこで、視点を変えて他の人狼系ゲームに対するレビュー記事を読んでみたら、逆に人狼について書かれているのではないかと思い、探していくうちにこの記事に行き当たりました。

ただ、読んでみて思ったのですが、この記事はとても長い。

コンポーネントの説明している部分と、ラストでのべた褒め部分は、省略しました。

僕は、そもそも『レジスタンス』をまだプレイしたことがないので、実際に『レジスタンス』をプレイすれば、訳も少し変ってくるかもしれないと思っています。


ところで、この『レジスタンス』。BGGのパーティゲーム部門で、現在(2013年1月12日現在)のところ、9位です(拡張版のアヴァロンは3位!)。『究極の人狼』が8位と少し負けてますが、えらく評価が高いわけです。個人的に興味深いのが評価数です。『レジスタンス』は評価数が"6635"で、パーティゲーム部門では6番目に多い評価数になります。一方、『ミラーズホローの人狼』の評価数が"3986"。『究極の人狼』は"1099"。もちろん人気の度合いが単純に評価数で測られるわけではないですが、本ブログ記事のタイトルにある"海外で人気?!"の部分はそうした背景から記載しました。(人狼の原典である"Werewolf"の評価数が2933で、歴史もありますので、単純にプレイされた量としては、きっと人狼の方が多いのだろうと思います)

ちなみに原題にあります2010年のゴールデンギーク賞パーティゲーム部門は、残念ながら『レジスタンス』は受賞できませんでした。今、日本で話題のあの『テレストレーション』が受賞しています。

ちょうど『レジスタンス』の拡張日本語版「アヴァロン」のニュースがあった事ですし、少し前に訳していたものですが、いいタイミングかと思い本記事をアップしました。(リンク先は、"Table Games in the World"の記事になります)

なお、間違いなどを見つけていただいた方は、ご指摘いただければ幸いです。

では、以下、記事本文です。



Original review in English by EndersGame, translated and reproduced with permission


レジスタンスの紹介


僕たちはみんな、大抵のパーティゲームにつきものである問題を分かっている。そう、だいたい19分44秒くらいまでは楽しいんだけど、そのタイミングを超えると、突然、僕たちは、グアンタナモ収容所の有能なスタッフによる水攻めの方が、このゲームの拷問のような残り時間を過ごすよりも"まし"だと気づく。(そうだよ、クエルフ※1。君のことだ!)マフィアや人狼のように数少ないよく出来たパーティゲームでさえ、問題はあるだろ?例えば、もしゲームの最初の方で脱落してしまったらどうだろう?結局、ゲームに参加できないと、楽しむことはできない。大人数を対象にしていて、みんなをゲームの最後まで参加させ、ルールもとっつきやすく、しかも楽しませてくれる、そんなゲームをデザインできなければ、満足のいくゲーム体験にはならないだろう。もし、そんなゲームがあったら、僕たちは、クエルフやクレニウム※2、ルーザー※3といったパーティゲームの非情な専制からようやく解放されることになるんだ。

※1・・・止まったマスの色と同じカードを引いて、書いてある指示通りのアクションをするというすごろく型パーティゲーム。紹介記事がTable Games in the Worldにありました。リンクはこちら

※2・・・これもクエルフと同じようなお題にチャレンジするタイプのすごろく型ゲーム。紹介記事がTable Games in the Worldにありました。リンクはこちら。というかtgiw.infoのカバー範囲が広くて凄すぎる。以下、ゲーム名へのリンク先は同サイトの紹介記事にリンクを貼ります。

※3・・・このゲームだけ何を指しているのか分かりませんでした・・・


何言ってるんだ?そんなゲームが本当に存在するのか?冗談だろ?そのゲームは何て言うの?レジスタンス?これまでにそんなこと聞いたことない!レジスタンスってつまらないって聞いたことがある、本当にそんなに良いゲームなの?本当に?しかも、知的で洞察力の優れたあらゆるゲーマーが、このゲームを愛していて、何回も何回もこのゲームをプレイしたがっているんだって?うーん、興味が出てきた。その素敵なゲームについてもっと教えてもらえるかな?

いいだろう。レジスタンスは、みんなで話し合って推理するゲームだ。プレイヤーは、自由のための闘士であるレジスタンスか、レジスタンスの作戦を邪魔しようとする弾圧的な政府のスパイか、どちらかの役割を担う。プレイヤー同士は、議論をしたり、騙したり、直観だったりで、敵対勢力のメンバーを暴いて、自チームの勝利を確かなものにする。ポケットサイズの小さな箱の中身は、ほとんどがカードだ。けれど、たったこれだけの小さな箱の中に、信じられないくらいのソーシャルゲーム※4体験の可能性が詰まっている。This is it!このゲームは、最高のパーティゲーム、ソーシャルゲームとして、大人気になる可能性を秘めている。さあ、さらにこのゲームを詳しく見てみよう。

※4・・・本記事では、何回か「ソーシャルゲーム」という言葉が出てきますが、最近日本でも話題のソーシャルゲームとは違って、いわゆる会話型のゲームのことを指すのだと思います。


~以下、コンポーネントや基本ルールの説明を省略~


結論

感想

レジスタンスは高く評価されている。現在(元記事投稿日:2010年12月7日)、BGGのパーティゲームのランキングでは、12位にランクされている。特定のジャンルで、1ダース以内の順位に入ることは、とてもすごいことだ。発売されてから、これほど早く受け入れられたことも注目に値する。さらに評価数が増えても、現在の平均点を維持できれば、人狼やタンブリンダイスのようなすでに確立されたパーティゲームを追い越すだろう。少なくとも、ウィット&ウェイジャーやピッチカーのような名作の成功に匹敵するポテンシャルは持っている。もちろん、これらのゲームにはそれぞれの長所があるが、この小さな箱にも関わらず、レジスタンスがこれらの大作に太刀打ちできないわけではないし、じきに同じくらい大人気になる可能性を秘めている。僕らは来年のゴールデンギーク賞のパーティゲーム部門で、このゲームが健闘するのを目撃することになるだろう。

レジスタンスは、ソーシャル性の高いゲームだ。とても偉大なソーシャル・インタラクティブゲームだと言うだけでは十分ではない。公平を期すために言えば、このゲームの真価を発揮させるためには、いいメンバーを揃える必要がある。しかし、社交的なことや他人との交流(それはしばしば大声になったり、相手を非難するものかもしれないが)が大好きであり、多少の議論や騙し合いに怖気づかないゲーム仲間がいるならば、これは確実にコレクションの一部となるべきゲームだ。これを初めてプレイした夜、僕たちは立て続けに3回もプレイしてしまった。しかも4回目をやりたいという要望がたくさん出るほどだった。まだ真夜中を過ぎてなかったので、その要望は叶えられることとなった。多くの絶叫があり、たくさんの感動的で心からの懇願があった。きっとそれはスパイじゃない誰かの弁解だったろう。そして、山盛りの裏切りと少なくない芸術的な嘘。僕たちは断然、このゲームが大好きだけど、おそらく長くプレイされる間に、いろんなプレイがありえるだろう。この点においては、シンプルだけど本当にお勧めのゲームだ。

レジスタンスは脱落者がいない。レジスタンスは脱落者がいない。人狼やマフィアよりもこのゲームがいい点として、みんながゲームの最後の最後まで残ってプレイできるという点がある。誰も脱落することがないから、他のみんなが楽しんでいる間、ソファーの後ろで黙ってなければならないこともない。ゲームから独立したゲームマスターも必要がない。みんなが最初から最後までゲームに参加できる。これは素晴らしい長所だ。その点において、レジスタンスは人狼よりも優れている。

レジスタンスには推理するための手がかりがある。人狼は素晴らしいゲームだ。実際、僕のお気に入りの1つなんだから。けれど、人狼ではしばしば話し方やレトリックの不足を理由に脱落させられ、告発され、無実の村人が感情的な理由で処刑されたりする。レジスタンスは手がかりとなるデータを与えることでその点を改善している。メンバーの選定に賛成か反対かとか、ミッションを失敗もしくは成功させたチームのどちらに参加していたか、などのデータだ。たいていの場合、このデータだけで、誰がスパイか分かるわけではない(仮にそうだとしたら、このゲームは単なるパズルになってしまう)。しかし、このデータは、プレイヤーにとってレトリックを構築したり、議論や告発をするのに役立つものになる。十分な情報ではないけれど、このタイプのゲームでは必須となるプレイヤー間の議論や討論の土台を提供してくれる。この点が、レジスタンスのリプレイ性を高めている。というのも、口うるさく人格攻撃を繰り広げるようなプレイヤーを当てにすることなく、誰が何に投票したか、なぜ投票したか(これはプレイする度に変わる)という議論に参加できるからだ。

レジスタンスは緊迫感のあるゲームだ。多くの場合、だれがどちらの陣営に属しているか完全に判明させるのは物凄く難しい。最後の投票とミッションに至るまで、全員が意味のあるゲーム参加が可能だ。各ミッションにおける人数を注意深く計算していっても、しばしば、勝利チームが決定しないままゲームは最終ラウンドまでもつれこむ。本当の緊張感は、スパイかレジスタンスのいずれかが何とか2回それぞれミッションを失敗か成功させている時(もしくは両陣営が2vs2になっている!)時にやってくる。最後のミッションは、レジスタンス側の勝利がかなり固いはずだ。プレイヤーが自分がレジスタンスであると信じてほしいと主張し、懇願するとき、このもっとも心動かされる嘆願がなされるときこそ、この緊張感が面白いものになる。

レジスタンス側は勝つのが難しいという面がある。レジスタンス役というのは本当に、本当に難しい。皮肉にも、効果的で情熱的な自由のための闘士としての役割を演じれば演じるほど、他人に実際はスパイなんだろうと思わせてしまう。とはいえ、口数少なく、冷静に振る舞えば、簡潔で論理的なその振舞いがスパイ側の冷酷な行動のようにも見えるだろう。これは、連続して何回かプレイするほどに、どんどんと発展していく魅力的でダイナミックなメタゲームでもある。-だから、あるゲームでスパイとして上手くいった行動があっても、次のゲームではそれが失敗の原因となることがある。なぜなら、その行動や一連の動きは、他のプレイヤーからすると、それより前のゲームで、その人自身がどう振る舞うかを示すものとして理解されるから!これは素晴らしい悩ましさだ!

このゲームは少し面倒だ。言っておくが、これはとても小さな不満でしかない。けれど、ミッションカードの取り扱いはやっぱり少し面倒なんだ。このゲームでは、2つの山を作る。1つは、その時のチームが選んだミッションカードの山。もう一つが、そのチームが捨てたミッションカードの山だ。誰がそのミッションカードを出したか分からないように、両方ともシャッフルしないといけない。気をつけなくちゃいけないのは、カードの裏面のデザインが"非対称である"ということだ。例えば、ある記号がカードの半分側だけにあると、シャッフルしても他のカードと反対の方向に置いたことを誰かが覚えていれば、誰が、そのカードを出したか分かってしまう場合がある。僕たちも、避けられない問題ではないけれど、よりいい方法はないだろうかと思っている。ミッションカードを集めたり、配ったり、シャッフルしたりする専任の人を誰かにお願いするというやり方もあるが、これも部分的な解決方法で、完全に満足のいくものじゃない。まあ、いずれにしても、これがこのゲームで一番の問題ともいえる些細な問題であって、大きな不満ではないのだけれど。

レジスタンスは理解するのが簡単だ。ゲームのやり方は簡単に教えられるし、すぐに初心者の人ともプレイすることができる。少し年齢の上がった子供であれば、なんとかうまくできるだろう。僕たちの経験では、8歳の子だとルールは理解できるけれど、プレイにおける微妙な部分で難しさがあるようだ。少し推理する要素があるからだろう。一方で、10歳以上であれば、ちゃんとプレイできる。これまでいろんなタイプの人、ゲーマーや非ゲーマーともプレイしてきたけれど、どんな時もこのゲームはウケたね。

プロットカードはいい追加要素だ。大人数でプレイする時、よくレジスタンス側には不利な状況になる場合があって、スパイがいないミッションチームを組むのが難しくなる。プロットカードは、参考となる追加情報をプレイヤーに与えることで、この問題を解決する。スパイ側は既に、誰が敵味方かを知っているが、この追加情報により、レジスタンスチームも誰がスパイかを発見する手がかりを得ることができる。良いのは、このプロットカードによって、ゲームが複雑になるわけではないという点だ。レジスタンスを初めてプレイする人がいても、いきなりこのカードを使うことができる。僕たちは7人以上でプレイする時は、必ずこのカードを使うようにしていたが、そうしないと、レジスタンス側が勝つのはかなり難しくなってしまうからだ。

レジスタンスは人狼と比べても勝るとも劣らない。今の時点で、僕らは人狼よりレジスタンスの方が好きだ。まず1つ目の理由として、脱落プレイヤーがいないという点。2つ目は、推理につかえる実際のデータがあるという点。3つ目は、5人という少ないメンバーでもプレイできる点。もちろん、人狼は10人以上でもプレイできるという利点があるし、今でも大のお気に入りであるという点は変わらない。けれど、10人以下の場合だと、レジスタンスを選んでしまう。何回となくこのゲームを遊んだ人がいるけれど、繰り返しプレイしても問題ないようだ。このゲームを知れば知るほど、飽きてくるのではなく、むしろプレイ経験が改善していってより高いレベルになっていくようだ。

このゲームは偉大なシリーズに連なるものだ。これについては、「インディ・ボード&カード」というパブリッシャーに関して、若干述べないといけないだろう。この会社は活動的なBGGerであるトラビス・ワーシントンが経営しており、彼がもっと多くの人に評価されるべきだと思うコンパクトな自費出版ゲームを販売している。まだまだ小規模で、パブリッシャーとしては比較的新しい会社にも関わらず、BGGの最新の話題においてたびたびインディ社の名前が登場している。レジスタンスは、ポストカードボックスシリーズというゲームの1つだ。これは、最近だと、ハギスや三頭政治をリリースしているシリーズでもある。両方のゲームとも相応の大きな注目を得て、早くから好意的なレビューを獲得した。

多くの期待のゲームを作っているということだけでなく、「インディ・ボード&カード」社には実に注目すべきことが1つある。それは、単にゲームを作る人への奉仕活動としてではなく(トラビスは、確かに我々に共通する趣味を愛するゲーマーではあるが)、本物の社会的良心を伴ったビジネスをしている点だ。販売されるあらゆるゲームの最初の立ち上がり時には、「インディ」の人たちは、ヘファー・インターナショナル※5という組織に収益のうちの1ドルを寄付することを誓約している。この組織はアメリカやヨーロッパや第三世界での持続可能な発展を目的とした活動を行う組織だ。慈善事業に寄付するために、自分の収入となるわずかな利益をさらに削る、そういった心意気にこそ本当に注目すべきだ。さらにそのようなやり方で、レジスタンスのような優れたゲームを製作している点も、より注目に値することだ。

※5・・・世界の貧困や飢餓への支援を目的としたアメリカのNPO。公式サイトはhttp://www.heifer.org/


~以下、他の人の評価の紹介(べた褒め成分多し)は省略~


↓Ender氏による写真付きレビューのリストは以下のリンク先にあります。興味のある方は是非!

The complete list of Ender's pictorial reviews

Endergamesimage


2013年1月24日 (木)

【ボードゲームレビュー】ハードオブクラウン ★★☆☆

Heartofcrown_01


評価:★★☆☆[2/4](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~4人

プレイ時間:40分ぐらい


ハートオブクラウンへの愛着という問題。

簡単なゲームの流れ


  • ①各自が10枚一組のデッキからスタートする。
  • ②デッキから5枚を取り、手札を作る。
  • ③手札にあるお金やアクションを使って、カードを購入したり、アクションを実施する。
  • ④ある程度デッキが構築できたら、お姫様カードを買って、王位後継者として姫を擁立する。
  • ⑤いち早く、自分が擁立した姫に継承権を20ポイント捧げることができれば勝利。

Heartofcrown_02


ゲームの総評


ドミニオンクローンだとは聞いていたけれど、オリジナル要素が素晴らしいデッキ構築型ゲームだった、と思う。他のドミニオン派生ゲームをそれほどプレイしたことがないので、単純に比較するだけの知識がない。しかし、これ凄く出来がいいんじゃないかと思った。

遊星からのフリーキック」というサイトで、ハートオブクラウンについて「本家より強いカードがあるというのは、それだけ、目標をぶれずに高い意識で作られたというように感じる」と述べられている。この指摘を目にした時、イタリア料理で有名な落合務シェフが修行中の弟子に対して似たようなことを言っていたのを思い出す。「どうせ味付けで失敗するなら、味が薄くて、というよりも、しょっぱいぐらいで失敗する方がいい」。うろ覚えなのだが、料理は単に食えるものを出すことではないという心意気において、共通点があるように思う。

個人的には、中盤以降に姫を擁立してから、みんなの視点がこれまでと微妙に変わる点、これが面白い。フェーズが変わるゲームというのは大変好みなので、この点が特に面白かった。

また、常々、ドミニオンではアクションポイントを指折り記憶しておくのが煩わしかった。そのため、この矢印でつなげていく、というのも良い改良点だ。こういう1つの方向に思いきり舵を切ったシステムというのは、素敵だ。

(テレビゲームの例で申し訳ないのだが、「GTA」に対する「セインツ・ロウ」みたいだとも思った。基本アイデアは借り物だけど、本家とは違うトータルで行くべき方向・焦点をぶれさせずに完成させた印象。)

イラストが個人的にあまり興味を持てないタイプだという点を除けば、あらゆる点で自分好みで高水準・高品質なゲームだと感じた。

……そう、最初にこのゲームをプレイした僕は「イラストやテーマがちょっとなぁ」と思った。で、その時の僕の頭の中には、当然、ドミニオンのイラストやテーマがあったわけで、ドミニオンと比べると、とても高い「壁」をハートオブクラウンから感じたのだ。なんというか、「ちょっと……、この世界は……いいです……」みたいな。

しかし、しばらく考えていて思ったのだが、ドミニオンだってよっぽど高い「壁」を持っているような気がする。ドミニオンは明らかに中世ファンタジー世界をテーマにしている。魔女や冒険者、玉座、鍛冶屋、錬金術。こうした要素は、「たまたま」自分にとって馴染みのあるアイテムだっただけで、多くの普通(?)の人にとっては、極めてマニアックな世界に映るのではないかと。それこそ僕がハートオブクラウンを見るように、ドミニオンの世界をマニアックな世界だと見る人が相当数いるのではないか。

ドミニオンについて「ソロプレイ感」が語られることがあるが、これは当然メカニクス的な要因に依るところが大きいのだろう。しかし、もしかしたらメカニクスだけでなく、テーマ的にそう感じさせているケースが結構あるんじゃないかと思った。

この前のゲーム会で、気遣いと優しさを持ち、笑顔でドミニオンに付き合ってくれたあの娘は、もしかしたらドミニオンのテーマについて「よくわかんねーw」、アクションカードのコンボをつなげる僕を見て「必死だなーww」と思っていたかもしれない。(フィクションです)

そして、ドミニオンへの興味というのは、この中世ファンタジー世界への愛着が支えている部分が少なくないと思う。(もちろん競技としてプレイするレベルまで行くとそうでもないだろうし、ゲームデザインする人であれば全く違って見えているのだろうけれど。)

そう考えると、このハートオブクラウンというのは、その仕組みとテーマの両方の構造において、ドミニオンの嫡子と言えるのかもしれない。

ドミニオンという大ヒットタイトルが出たことで、ドイツボードゲームに注目がものすごく集まったという側面はきっとあったのだろう。ハートオブクラウンによってボードゲームの世界に導かれた人も少なくないかもしれない。しかし、こうした愛着の持てる世界観を武器にしたデッキ構築型ゲームの妙な魅力が、僕は少しだけ怖いような気がするのだ。

2013年1月22日 (火)

【ボードゲームレビュー】ベガス ★★☆☆

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評価:★★☆☆[2/4](5人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~5人

プレイ時間:45分ぐらい


ダイス振りとエッジの効いた楽しさ。

簡単なゲームの流れ


  • ①8個のサイコロを各自振る。
  • ②6か所のカジノがあり、各カジノはダイスの1~6の目に対応する。それぞれ賞金が掛けられていて、プレイヤーはどれかのカジノを1つ選び、出目のサイコロを置く。
  • ③「5」が3個出れば、その3個を「5」に対応するカジノに置く。1回に1つの出目分だけ置ける。これをサイコロがなくなるまで、各プレイヤーが毎回サイコロを振りなおして繰り返す。全ての人が全てのサイコロを置き終わったら、1ラウンド終了。
  • ④カジノごとに最も多くのサイコロを置いた人がそのカジノの賞金を獲得できる。ただし同じ個数分のサイコロを置いた人同士はバッティングとなり、賞金獲得の権利を失う。
  • ⑤4ラウンド行って、最も賞金を稼いだ人が勝利。


ゲームの総評


よくよく考えれば運なんだけど、自分の選択というか、その責任が適度に自分にのしかかる。ルールだけ聞くと淡白な展開に思えるが、残りのサイコロが2個ぐらいになったときに祈る様と、サイコロ振り終わった後の落胆ぶりが実に楽しくて愉快。

インストも簡単かつとても楽しいゲームだ。こういうゲームを遊ぶと、「楽しい」の半分くらいは、「分かりやすい」という成分でできているんじゃないかと思ったりする。

これは本当に、初心者に優しい良ゲームだと思った。

このゲームに限った話ではないし、このゲームの評価とはあまり関係ないのだが、個人的に紙幣を模したコンポーネントというのが苦手だ。

苦手な理由は2つあって、1つ目は英語圏では日本語と数字の区切りが異なるという点。日本語だと1万ドルって言うけれど、英語ならTen thousand。点数計算する時って、英語圏の人なら、カンマより上の桁だけ足して、違和感なく点数を計算できる。稼いだ賞金が10万ドルなら、「私の点数は100(One hundred)よ」って。

ゲームだと結構1000ドルを超える単位でお金が出てきてしまって、頭の中で日本語のお金の単位に直して計算することになるので、その点が若干わずらわしい。

2つ目は、折角身近なお金という存在なのに、身近な感じがしなくなる点。100ドルが日本円でいくらなのか、ということが直観的に分からないってのは、ゲームを楽しむ上で損しているような気がしてしまう。「今回1億円も稼いじゃった」というのと「100万ドルも稼いじゃった」では、その現実からのぶっ飛び感みたいなものが異なってしまう。

まあ、「ベガス」というゲーム自体の評価とはほとんど関係ない、細かなことなんだけど。

2013年1月19日 (土)

【ボードゲームレビュー】ファブフィブ ★★☆☆

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評価:★★☆☆[2/4](6人プレイでの評価です)

プレイ人数:3~10人

プレイ時間:30分ぐらい


ダメージ「999」への憧れ。

簡単なゲームの流れ


  • ①スタートプレイヤーが山札から3枚のカードを取る。
  • ②カードには、0~9のいずれかの数字が書かれている。取った3枚のカードを大きいものから順番に並べ、3桁の数字を作る。
  • ③スタートプレイヤーは、その3桁の数字を正直に宣言して左隣にカードを渡すか、嘘の数字を宣言して渡すかを選択する。
  • ④受け取った隣のプレイヤーは、その宣言が嘘か本当かを当てる。本当と思ったときは、そのまま受け取り、好きな枚数だけカードを交換し、スタートプレイヤーと同じように宣言して、カードを左隣に渡す。これを繰り返す。
  • ⑤嘘が見破られたら、ダメージ。カードに書いてあるドクロマーク分だけ失点。12失点以上で脱落。最後まで残っていたプレイヤーが勝利。


ゲームの総評


びっくりした。素晴らしいゲームだった。古き良きRPGにおける「999」という数字に、僕はある種の憧憬を持っている。このゲーム自体にそのRPG的「999」への意味付けは全くないのだが、その数字がどうしても頭の片隅の懐かしい部分で瞬いてしまう。

オリジナルのファブフィブのイラストは、かわいげがないけれど(しかし魅力はある)、このTANSANFABRIK版ファブフィブのイラストはポップでとても日本的だ。

なんとも色々なパーツが不揃いでチグハグなのだけど、そのチグハグさが、逆に核となるアイデアをより秀逸に感じさせているような気がする。

うーん。すごいなあ。かなりの部分まで意識はされているのだろうけど、全てを計算して醸し出せるものじゃないなあとつくづく思う。同一デザイナーの「コヨーテ」などはそれなりに有名のようだけど、これが海外デザイナー作だと思っていない人も多いのではないか。今回、僕はファブフィブをプレイすることで、「作品とは作者のものではない」という"事実"を改めて意識させてくれた契機になった。

ゲーム自体は、なんかガサツな印象もあるのだけど、気軽に楽しくて、気軽に遊べる。小学生や中学生のころ、一緒にRPGについて語った懐かしい友人たちと遊びたい気持ちになる。不思議な温かみのあるゲームだ。


2013年1月14日 (月)

【コラム】誤訳?意訳?なぜ「テーベの東」はテーベの「東」なのか?

つい最近『テーベ(完全日本語版)』を買って、1つ楽しみにしていたことがある。それは説明書に、「なぜテーベの『東』なのか?」についてヒントとなる説明があるのではないか期待したのだ。しかし、今回発売された日本語版「テーベ」の説明書を見ても「なぜかつてテーベの東と言われていたか」は、分からなかった。

日本では、特にネットの世界においては、ずっと「テーベの東」というタイトルでこのボードゲームは語られてきた。しかし、日本語版として発売されたタイトルは、「テーベ」である。2007年発売の新版「テーベの東」の英語版タイトルが"THEBES"であるため、日本版はそれに単に合わせただけだと思うのだが、そもそもなぜタイトルから「東」がなくなったのか知りたかった。

あまり考古学というか古代エジプトの歴史に関する知識がないので、Wikipediaの記事が頼りになるぐらい。記事によると、「テーベは古代エジプトの都市の名前。場所は現在のルクソールに位置しており、ナイル川東岸、地中海から約800km南方に位置する(要約)」とのこと。

現在のルクソールはナイル川を跨る町のようだが、そもそもテーベはナイル川の「東」岸にある。いわゆるエジプト遺跡で最も有名な王家の谷などは、テーベの西側、ナイル川を超えて西側に位置しており、テーベの「東」側には、あまり有名な遺跡がないような気がする。

もう1つエジプトで有名なルクソール神殿は地図で見ると、ナイル川のすぐ東岸にあり、これは「テーベの東」というよりも、「テーベ」であるように思う。

そして、当初から気になっていた原題の"Jenseits von Theben"。東を意味するドイツ語はもっと英語のEastに似ていたような気がするなあ、と微かには思っていたのだが、ドイツ語なぞ彼方昔に忘れてしまった自分が、単に知らない単語なのだと思っていた。

改めて、ドイツ語の辞書を15年ぶりぐらいに引っ張り出して調べると、"Jenseits"には「東」の意味なんかなさそうだ(三省堂のCROWN参照)。英語で言うところの"beyond"に該当する。"jenseits von ~ "で、「~の向こう側」を意味するようだ。ちなみに「東」はドイツ語で"Osten"だ。

参考として、2010年発刊の『ボードゲーム・ジャンクション』には、「テーベの東」ではなく、「テーベ」という名前で紹介されている。

ふむ、だんだん見えてきたような気もする。で、結局いろいろと調べたが、BGGで見つけたこのフォーラムでのやりとりが、一番正解に近いのではないだろうか。以下、質問者とベストアンサーとも言える回答のやりとりのみを訳す。



フォーラムタイトル:この名前の意味は?

質問者:

このゲームの名前の意図を解明しようとしてる。最後の部分は分かるんだ。「テーベの」もしくは「テーベからの」ということだろうけど、"Jenseits"(訳注:英語でBeyondに該当する語)って、ここで悩んじゃうんだ。


"http://dict.leo.org/"(辞書サイト。便利なんだ)でも調べたんだけど、どの訳もここではしっくりこないんだ。僕が考えたなかで一番よさげなのは、「テーベの彼方」(Beyond Thebes)、「テーベの向こう側に」(On the other side of Thebes)あたりだと思うんだけど。

これって正しいのだろうか。もしくは、ネイティブのドイツ人であれば、このゲームのタイトルとしてもっと適切な訳ができるのだろうか?なにか見落としている気がして・・・・・・・。

Jay Tummelsonが、英語版も多言語版も、"Jenseits von Theben"と呼べばいいのにねって言ってたから、多分翻訳できないんじゃないかな。


回答者:

ドイツ語の聖書で、アダムとイブが楽園から追放されて後に彼らが落ち着いた場所を指す言葉として通常「jenseits von Eden」が使われている。だから、スタインベックの小説の訳は、ドイツの聖書を引用しているのだろう。たぶん、この数十年で訳は変わっても、その小説の題名だけがそれとして残ってしまったんではないかな。

ところで、この名前はバカっぽいけど、いいゲームだよね。



フォーラム記事の引用は以上。

で、ここからは僕の推測も入るのだけど、上記のフォーラムでの話から、次のように解釈した。

①スタインベックの小説およびそれを原作とするジェームス・ディーン主演の映画「エデンの東」。これがドイツ語訳されたときに、タイトルとして"Jenseits von Eden(エデンの彼方)"が採用された。で、これはフォーラムの話を信じれば、聖書のドイツ語では、追放先としての「エデンの東」を指す。そこを典拠として、この名前が翻訳として当てられた。

②ボードゲーム「テーベ」がリリースされて、そのタイトルが"Jenseits von Theben(原題)"とあるのを見て、英訳者は、映画や小説の「エデンの東」がドイツ語で何と言われているかを知っていたか、調べている中で知ったのだろう。

③小説・映画「エデンの東」のドイツ語訳は"Jenseits von Eden"とあり、ゲームと同じ"Jensits"が使われていた。
そこで、英訳として"East of Thebes"(テーベの東)というタイトルを当てた。(ここで間違った!)

④その英訳を参考に日本でも「テーベの東」と呼ばれることになった。

上記のとおり、ドイツ語から逆輸入して英語に翻訳するところで誤訳した(②→③)、というのが実態ではないだろうか。

「テーベの東」というタイトルがちょっと気に入っていただけに、「の東」が無くなってしまって当初は少しさびしかったが、まあ、これはしょうがないのだろう。日本語版の元となっている2007年の新版の英語版パッケージにもデカデカと"THEBES"となっている。こうした事情が背景にはあったのだろう。

どなたか実際のところの事情を知っている方がいたら、教えてほしい。また、上記の訳の間違いがあれば、是非指摘ください。


追記(2013.01.16)

その後、いろいろと考えるところがあり、記事タイトルと冒頭文章を若干修正した。また上記記事では、単に「間違った!」としている部分も、もしかしたら意訳かもしれないと考えた。その理由について追記したい。

ドイツ語の"Jenseits von Theben"を英語の"East of Thebes"と訳したのは、意訳かもしれないと思った理由。

①ゲーム内容自体が、テーベとほとんど関係ない
 「テーベ」は発掘ゲームだ。発掘場所は5か所あり、そのうちの1つがエジプトだ。そのエジプトは確かにテーベに関係しているが、残りの4か所はテーベと全く関係ない。ボード上やカードの類にも、一切「テーベ」という言葉が出てこない。

②ドイツ語の"Theben"が"Eden"と韻を踏んでいる
 「テーベ」は英語だと"Thebes"であり、"Eden"と似ても似つかないが、ドイツ語だと"Theben"である。単純にこの語だけ比べると、ドイツ語でも似ているわけではないが、"Jenseits von Eden"と"Jenseits von Theben"とで比べれば、これは明らかに韻を踏んでいる。

③とても馬鹿っぽい
 「テーベ」というゲームは、ゲームプレイ自体がとてもバカっぽいのだ(良い意味で)。発掘運1つで、勝敗が二転三転する。生真面目な思いで、「テーベ」という言葉を取り上げていると思えない。(超なんとなくな理由)

上記3つの理由から、ドイツ語原題である"Jenseits von Theben"というタイトルは、「エデンの東」のもじりとして付けたと思う。で、その「言葉遊びである」という意図を重視するならば、"East of Thebes"という訳の方が、タイトルをつけた人の意図を「より汲んでいる」と言える。単に学術的に不適当だ、ということなど取るに足らない瑣末なことだ。

それゆえ、「テーベの東」は愛すべき意訳としても解釈できる、と思った次第だ。

なお、事実の真偽についてはとても知りたいが、どちらでもいいかもなーと思っている。いろいろと考えたり、調べたりできて楽しかったことを感謝したい。アドバイスいただけた方、ありがとうございました。


追記(2013.01.22)

タイトルの「なぜ」が重複していたので、修正。ラストの文言をちょっとだけ修正。

2013年1月 9日 (水)

【ボードゲームレビュー】人狼 ★★★☆

評価:★★★☆[3/4](いわゆる人狼的なもの一般に対する評価です)

プレイ人数:9~19人(「ミラーズホローの人狼」の場合)

プレイ時間:30分ぐらい


ネットで6~7年前に『人狼BBS』をやったきり、ずいぶん久しぶりにプレイした。今度はネット越しではなく、対面だ。

簡単なゲームの流れ


  • ①各プレイヤーは村人と人狼とで分かれる。しかし村人は、誰が人狼かは分からない。人狼同士は、誰が人狼か知っている。(村人より人狼の数の方が少ない)
  • ②毎夜、全員で人狼と疑わしき人間を一人決めて、処刑する(=吊るす)。
  • ③毎夜、人狼は一人の村人を襲う。
  • ④村人チームは、全ての人狼を処刑できれば勝利。
  • ⑤人狼チームは、村人の数が人狼と同じ人数になれば、勝利。


ゲームの総評


ネットでやったときも、すぐ吊るされた。対面で実施しても、すぐ吊るされた。特に今回は、人狼役だったので、一緒にプレイした皆さんに申し訳なかった(泣)。しかし、やっぱり面白いゲームだ。以前、人狼BBSでプレイした時、「これ、新入社員研修で使ったらいいんじゃないか?」と思った。まあ、つまらん研修するよりかは、よほどコミュニケーションについて真剣に考える題材になりそうに思ったからだ。

ところで、対面でやる人狼は、人狼BBSとは全く別物だった。なんせ狼同士で直接会話して相談することができない。いきなり外国に放り込まれたような疎外感と孤独感。最初は戸惑ってしまったが、占い師の職業カミングアウトがあってからは、かつての人狼BBSを反芻するようにゲームに参加した。

対面でやる人狼が人狼BBSと一番違うと思ったのは、匿名性がない、ということだ。対面でやる以上しょうがないわけで、ゲームの世界が現実世界と地続きであると意識せざるをえない。で、むしろ、これが人狼というゲームにいい影響を与えていると思った。なんというか、厳しくならない感じというのがあるのだ。

人狼BBSで感じたのは、役割の背後にいるリアルな人間、その個々人を意識しないと、長く楽しめないかもしれないな、ということだった。

人狼BBSのようなオンライン人狼で長くプレイする間に、言葉と論理の応酬へと先鋭化していき、弁論大会のような競技になってしまうのではないか。メタ推理の問題に代表されるように、誠実であろうとするとルールやマナーを議論してしまいたくなる衝動に駆られるのではないか。

とてもふわふわした言い方で良くないのだが、そんな「面白い人には面白いかもしれない」けど、単に「楽しみたい」人間には厳しい世界が待っているような気がした。(人狼BBSを実際長くやれていないので、これは単なる偏見かもしれない)

「楽しく」やりたい人にとっては、対面人狼の方が、ずっと懐が深いと思った。

面と向かって相手を追い詰めるようなことが、対面ではやりづらい、という事情が大きいということもあるだろう。ただそれだけではなく、ゲーム世界と現実世界が地続きであることを参加者全員が否応なしに共有することで、もっとずっと「実力」に関係なく勝敗が決するようなパターンが発生し、そんな勝敗であっても、よほどのルール違反(ルール勘違い)でなければ、比較的、納得感があるという側面がある気がする。

なので、人狼BBSにはそれとしての良さは当然あったと思う反面、これは直接対面でやった方が、素直に人狼の人気を支える「底力」というものが出てくるのじゃないかと考えた。

あと、全然話は違うが、人狼について最も深い洞察だと個人的に思うのが、「第51回 ボードゲーム研究室「いよいよ来週!ゲームマーケット秋」」というポッドキャストで言われていた「人狼って響きがいいんじゃないか」という視点だ。これは、人狼の人気の源を掘り出したスゴイ視点だと思う。

人狼という言葉。ここに物凄い重力がある。ここがハブとなって、あらゆるものを知らず知らず結びつけている。これだけの力を持つ言葉が、本当に偶々この正体隠匿系ゲームに宿ったということ。これを単に言葉(ラべリング)の問題として見るのは過小評価となるだろう。生き残る言葉が語られる言葉になり、使われる言葉になる。少なくとも、「人狼」という言葉を失ってしまったら、誰もがこれ以上人狼が遊ばれる未来を思い描けないのではないか。

(「『レジスタンス』の方が良くできたゲームだ」という言葉が、その正否は別にして、いかに無力か。)

「正体隠匿系ゲーム」が人気があるわけではなくて、あくまで「人狼」が人気なのだろう。今は「人狼」と呼ぶしかない何かが、これだけウケているわけだから、それを継承した「正体隠匿系ゲーム」とは違うまた別の遊びが出現してきたりしないかな、なんてことを空想しつつ期待している。

2013年1月 6日 (日)

【ボードゲームレビュー】フレスコ ★★☆☆

Fresco_01


評価:★★☆☆[2/4](2人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~4人

プレイ時間:60分ぐらい


2人プレイでは少しさびしい。

簡単なゲームの流れ


  • ①プレイヤー全員が朝起きる時間を決める。
  • ②朝早く起きると、他の人よりも早くアクションを実行できるが、ワーカー数が減って、作業効率が悪くなる。
  • ③実行できるアクションは、「顔料を買う」、「フレスコ画を描く」、「顔料を混ぜて特殊な色を作る」、「顔料を買うための賃金を肖像画アルバイトで稼ぐ」など。
  • ④フレスコ画の描く部分によって、決められた点数が手に入る。特殊な色を使う部分は得点が高い。
  • ⑤フレスコ画の残りの描かれる部分が規定より少なくなれば、最終ターン。最終的に、最も多くの得点を得た人が勝利。

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ゲームの総評


2人プレイの時はNPCとしてレオナルドというキャラクターをどちらかのプレイヤーが交代で動かす。
で、このレオナルドを使って、相手プレイヤーを牽制したりすることもできるので、よく考えられたシステムだなあとは思いつつも、2人プレイはやはり物足りない。

しかし、この「早起きすると、アクション選択において有利になる」という仕組みがとても面白かった。これ凄いなあ。この仕組み自体が愉快な印象を与える点も面白い。
なんにしても、2人プレイではこのゲームのポテンシャルをあまり引き出せなかった点は、このゲームに対して申し訳ない気持ちがある。ぜひ3人以上でプレイすることをお勧めしたい。

あと、一緒にプレイした妻の意見だが、フレスコ画の出来が良くない。

確かに、なんというか宗教的な愛みたいなものが、全く感じられない。パッと見はキレイなんだが、よくよく見ると非常にテキトーに描かれた絵だということが分かる。宗教画というのは、見えないものを無理やりにでも見えさせようとする(ある種、暴力的な)力強さを感じさせるものだ。しかし、このボードに描かれるフレスコ画は、とても安っぽい雑誌の挿絵のような絵。この点は、もっと批判されるべきじゃないかと個人的には思う。

もちろんボードゲームの絵なんだから、そこまで真面目に宗教画とか描かれても引いちゃうかもしれない。ただ、完成すべき到達点として、モチベーションにあまりなっていないのは勿体ないと思う。(このゲーム全体に宿っている良い意味での無骨さが象徴されているようにも思う)

ごてっとした見た目でありながら、プレイ後の印象としてはとても軽い。ちょうど重ゲーと軽いゲームの隙間に入り込んでくるような絶妙なバランスであるため、そこを突かれると一気にこのゲームが好きになってしまうのかもしれない。

拡張も基本セットの中に入っているので、適宜それを混ぜ合わせれば、自分好みのボードゲームになるだろう。

言葉にすると良い部分ばかりなのに、どうも自分には響き方が足りなかった。また別の機会、別のプレイ人数でプレイした際に、評価を見直してみたい。
なお、本ゲームの説明書の誤り(エラッタ)がアークライト公式ページに出されている。おそらく注意深く読んでいれば気付くレベルだが参考までに。該当ページはコチラ

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