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2013年2月

2013年2月27日 (水)

【ボードゲームレビュー】ビブリオス ★★★☆

Biblios_01

評価:★★★☆[3/4](3人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~4人

プレイ時間:30分ぐらい


シンプルさに宿る力強さ。手元に置きたくなる作品。

簡単なゲームの流れ

  • ①各プレイヤーは順番に、山札からプレイ人数+1枚のカードをめくり、1枚だけ自分のカードとする。残りのカードは、他プレイヤーに渡すか、競り用カードとして溜めておく。 (第1フェーズ)
  • ②山札が全て無くなったら、溜まった競り用カードを一枚ずつめくり、各プレイヤーが自分のカードの中の金貨カードを使って競りを行う。(第2フェーズ)
  • ③全てのカードが全プレイヤーに渡ったら、カードの色ごとに点数を集計する。カードの各色は5色のサイコロに対応する。各色で最も集計点数が高い人がそのサイコロを獲得する。
  • ④サイコロの出目は特殊な司祭カードの出現によって増えたり減ったりする。
  • ⑤獲得したサイコロの出目の合計が最も高い人が勝利。

Biblios_02



ゲームの総評

やっていることはとてもシンプル。しかし思考のひっかかり部分がとても多岐に存在しているように思えて、唸ってしまう。すごいな、これ。

第1フェーズのカード選択。これが悩ましい。何を自分のカードにするか、何を相手に渡すか。とても単純な行為だ。しかし、このカードの中身を見ているにも関わらず、決断できないというのは一体何なんだろうか。自分が優柔不断の塊のように思えてきてしまう。

そして第2フェーズの競り。競りゲームというと苦手意識があったのだが、この競りはいい。もちろん経験者は有利なんだろうけれど、なんとなく相場観が分かるため、初心者でも結構楽しく参加できてしまう。そして、競りに使われるカードは第1フェーズで自分が競り用として選択したカード。つまり自分が一度認識しているカードなのだ。ここでも、自分がその多くをちゃんと把握しているにも関わらず、決められないというジレンマが待っている。

なによりサイコロの使い方。「振らないサイコロ」っていうのがいい。新版としてリメイクするにあたって、勝利点を示す道具をサイコロから別のモノに変えることもできただろう。しかし、変えるのは野暮というもの。サイコロに「単に勝利点を表示する」という機能を集約させたところが、テーマに負けないコンポーネントのかっこよさとなっている。

場所を取らないボード。そしてカードとサイコロ。とても小じんまりとしているのに、妙な風格を持つボードゲームとなっている。3人プレイがベストと聞いたが、確かにそうかもしれない。その点だけが、難点と言えば難点か。

いずれにしろ、ゲームとしてこの濃縮され具合にしびれる。


評価★★とした理由……すばらしいまとまり。たったこれだけのコンポーネントで、ぶ厚い楽しませ方をさせてくれる。傑作だと思う。


2013年2月24日 (日)

【ボードゲームレビュー】チューダーの薔薇 ★★☆☆

Noblemen_01


評価:★★☆☆[2/4](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:3~5人

プレイ時間:90分ぐらい


ごちゃごちゃしていても、イイものはイイ!

簡単なゲームの流れ

  • ①各プレイヤーは12枚の土地タイルと資金を受け取る。 
  • ②手番ごとに、タイルを配置して資金を増やしたり、建物を建築したり、わいろを贈ったり、土地を接収したりして、自らの威信ポイントを上げる。
  • ③全プレイヤーの手番が1回周るごとに1年経過する。10年で1ラウンドで、10年ごとに勝利点を中間決算する。3ラウンド(30年)でゲーム終了。
  • ④10年の間、2回ほど仮面舞踏会が催され、そこで獲得してきた威信ポイントごとに勝利点や爵位を獲得する。爵位は、位ごとに建物建設費用を安くする効果がある。
  • ⑤30年後に、もっとも勝利点を持っている人が勝利。

Noblemen_02

↑やたら濃密なボード絵。これでもかと置かれるコンポーネント。Nobleさを感じさせない迫力。画面上部にいる黄色いコマが後述の女王ゴマ


Noblemen_03

↑タイルをつなげて自分だけの庭園を造る。なんとも豪奢。



ゲームの総評

ものすごい詰め込み感。ルールを聞いているだけで、胸やけを起こしそうなほど大量に要素がある。中央のボードには様々な種類のコマが置かれる。また、自分の手元のスペースには、カルカソンヌのように土地タイルを広げていくし、その上にいろいろな効果を持つ建物を立てたりする。
その上、カードまで結構大量にある。(効果は比較的分かりやすいけど)

正直ルール説明を聞いている間、イヤな予感しかしていなかった。しかし、実際プレイを始めてみると……。「あれ?これ、結構楽しい。なんだ?すげー楽しいぞ!」と思った。ちょうどいい具合に、やりたいことがやれないという焦らしを感じさせてくれる。しかも手元では箱庭を作ることもできる。ボードゲームの楽しさが適度に詰まった良作だった。

しかしここまでなら、よくある重量級なボードゲームの一つに過ぎないと思うのだけど、このゲームには一風変わった不思議な特徴が1つある。

女王ゴマの存在だ。

Noblemen_04_queen


これ、他のプレイヤーの手番を飛ばす効果がある。女王ゴマの効果が発動されても、手番は順番に回っていくので、すごろくで言うところの「一回休み」ほど「飛ばされた感」はない。しかし、女王ゴマの効果が発動されると、手番が一周してなくても、いきなり1年分時が進むのだ。1年はこのゲームでいうところのラウンドを示す。つまり、実質上、手番は飛ばされているのと違いがない。

なんというか、ニムトをやっていて、いつのまにか6番目にカードを置く状況にされたような感覚に近い。「え、もう3年たったの?もう10年目の決算なの?さっきまで5年目だったじゃん、俺、1回しかアクションしてないんですけど」みたいな。

手元の箱庭領地を拡大していくのは、アグリコラのようでもあるが、アグリコラほどコンパクトに纏まった感じではない。テーブルスペース使いまくるなあ、という印象が強く、狭いテーブルだと結構大変そうだ。

しかし、このゲーム面白いのだ。不思議に面白い。こういうゴチャゴチャしたのは、もういいよ、なんて嘯いていた僕だが、やってみるととても楽しい。パワーで押し切られたような感じを受けなくもないのだけれど、それでも素晴らしいと思う。

コンポーネントの猥雑さを含め、Nobleという言葉の対極を行く印象を与えるが、まあ箱絵に偽りなし、という濃密感は十分に感じられるゲームだ。

面白かったので、もう一回どこかで、「元気な時」にやりたいなあと思う。


評価★★☆☆とした理由……ごちゃごちゃしているので、なんというかルールとしての「美しさ」みたいなものは感じられなかった。また、中世のイギリスの貴族というテーマ自体にも縁遠いモノを感じた。このテーマが楽しそう、と思えるならいいかもしれない。あと始めるのに、多少の元気さが必要。

2013年2月19日 (火)

【ダイジェスト】10分で分かる『将棋棋士の人狼』4時間の闘い~ニコニコ生放送~【感想とまとめ】

ニコ生で2月18日19:30からプロ将棋棋士たち11人による人狼大会『将棋棋士の人狼』が放送された。これが異常に面白かった。備忘録として、ダイジェストをメモとして書いた。あの熱戦を文字だけで伝えるのは難しい。まあ、振り返りのために読んでいただければ幸いだ。

ほとんど記憶だけで書いているので、間違いが色々あるだろう。また僕自身の印象フィルターが掛かっているため、重要なシーンが抜けている部分もあると思う。その点は留意願いたい。また誤りに気付いた方は指摘いただけると嬉しい。

なお、3/27にフジ系列で放映された「人狼~嘘つきは誰だ?~」のダイジェスト記事はコチラです。


今回使われた役職

市民、人狼、占い師、霊媒師、騎士、多重人格

※市民はいわゆる村人。
※多重人格はいわゆる狂人。
※騎士はいわゆる狩人(猟師)。
※多重人格は2戦目以降に導入。
※2戦目以降、1日目は人柱くんが必ず襲撃される。しかし人柱くんは何かの職業を持っている可能性がある。(人狼BBSでいうゲルトにランダムで職業が割り当てられる感じ)


全体の流れ

①役職決定
  ↓
②みんなで議論
  ↓
③個別尋問タイム:誰かを指名して質問⇒処刑対象の投票。この流れを1人ずつ全員分繰り返す
  ↓
④処刑:最多同数の場合は弁明+決戦投票。
  ↓
⑤夜のターン
占い師は対象選定および結果確認。
霊媒師は死亡者の判定を確認。
騎士は護衛対象の選定。
人狼は殺害対称の決定。
市民は疑わしいと思う人を1人選択。
市民から「疑惑を最も集めた人」が翌日ゲームマスターから伝えられる。これを推理の端緒とする流れ。

個別尋問タイムの存在が少し特徴的か。

試合は全部で3戦行われた。では、以下、試合のダイジェスト。ネタばれ満載なので、タイムシフト予約している方は、放送を最初に観た方が面白いと思う。



■第1回戦(全11人、狼3、占1、霊1、騎1)

主な登場人物※下記リンク先は日本将棋連盟の棋士紹介ページ
村中6段(狼)、瀬川5段(占い師)、片上6段(市民)、中田7段(市民)、千葉6段(市民)

全体の雰囲気
初めてとあって固い雰囲気。一人異彩を放つのが中田7段。

ダイジェスト
狼の村中6段が占い師として最初にカミングアウト(以下、CO)。一方本物の占い師である瀬川5段はすぐにはCOせず。これで村中6段は、みんなからの信頼を一気に勝ち取ることに。全員での議論を終えた後、個人ごとの尋問タイムでようやく瀬川5段が占い師CO。瀬川5段のCOのタイミングが悪すぎて、みんなが偽物の村中6段を更に信用する事態に発展する。

残りの狼である山口女流初段と藤田女流初段は、寡黙になり潜伏。

場を仕切る力のある中田7段が早い段階で喰われる。中田7段は相当予習してきたようで、ちゃんとセオリーを把握している模様。市民側としては中田7段死亡は相当の痛手。狼側GJと言ったところだろう。

本物占い師の瀬川5段が偽物の村中6段へ攻撃を繰り返すが、ことごとく村中6段の素晴らしいロジックによって返り討ちにあう。市民側は苦しい展開。本物なのに全く信用されない悲しい瀬川5段。みんなの頭の中では、完全に「瀬川5段は狼」という意見で固まってしまった。そして村中6段(狼)は、場を完全に支配した。

結局、信頼を勝ち取れないまま瀬川5段が処刑される。挙句には騎士まで人狼に殺される始末。これは市民側の負けか、視聴者はみなそう思っただろう。狼は相変わらず潜伏を続けている状態。やはり寡黙な女性は有利だ。

片上6段(市民)の推理が常に的外れ。しかし発言が堂々としているため、その場の流れを作ってしまう。村中6段はそれを見て、うまいこと片上6段の誤った推理を補強していく。つくづく村中6段が強い。片上6段は滑稽なピエロと化す。しかし村中6段は順当に処刑され、片上6段も目立っていたせいか襲撃を受ける。

最終盤、もはや狼勝利に終わらんとするまさに瀬戸際。貞升女流1級が霊媒師CO。続いて、村中6段が狼であったと発言。ここで千葉6段(市民)が突如覚醒する。霊媒師により「実は、村中6段は狼」との判定があったとは言え、これまでの支配的な空気をぶち壊して村中6段を疑うのは中々難しいはず。しかし、千葉6段は冷静に村中6段に疑いの目を向ける。そして、的確な読みを感じさせる発言。市民劣勢の状況をギリギリのところで、もはや消えかかっていた市民側の勝機を再生させる。

しかし、霊媒師の貞升女流1級は、場の空気を動かすほどの説得力を持てない。千葉6段が最後の選択。2択。狼に処刑投票すれば、市民側を十分に勝利に導ける状況!

……しかし、最後の最後で、千葉6段は霊媒師である貞升女流1級を処刑対象に指名。市民側の敗北が決定。貞升女流1級は正しい発言をしていたが、信頼を勝ち取れなかった。

結果:人狼勝利

感想
瀬川5段のCOが良くなかった。しかし迷いがあったのだと思う。その気持ちはよく分かる。後追いのCOは勇気がいる。初心者の時は躊躇してしまうもの。ちょっと間を置きたくなったのは理解できる。

いずれにせよ村中6段の占い師騙りが上手かった。見事。どんなに突っ込まれても、冷静かつ論理的に答えた。ほとんど疑う理由がない。

ハイライトは千葉6段の覚醒。千葉6段には全貌が見えたように視聴者は思ったはず。けれど、劇的な逆転は起きなかった。とはいえ、起伏のある面白い試合だった!

さすが棋士の方々。とにかく飲み込みが早い。どんなに疑っていても、論理的な応対にはちゃんと理解を示す。逆に言えば、理屈に弱い、ということかもしれない。これは面白くなりそう。

途中、「女性コワイ」コメントがあふれたが、女流棋士はとても素朴に、そしてうまくプレイしていたように思う。



■第2回戦(全12人、狼2、多1、占1、霊1、騎1)

主な登場人物※下記リンク先は日本将棋連盟の棋士紹介ページ
中田7段(市民)、片上6段(占い師)、瀬川5段(狼)、藤田女流初段(狼)、村中6段(多重人格)

全体の雰囲気
初の多重人格(狂人)の導入。女性も疑うべき、という空気がちゃんと生まれる。

ダイジェスト
しょっぱな、片上6段が占い師CO。先ほど市民側をミスリードしまくったことをちゃんと踏まえて推理を展開しようとしている。他に占い師のCOがなかったので片上6段の占い師確定。これは市民側有利。

一方狼は、比較的寡黙な瀬川5段と藤田女流初段。彼らとしても騙りをする自信がなかなか出なかったのだろう。対抗COはなかった。

視聴者全員が「今回の要は村中6段の多重人格」と思ったはず。しかし、1回戦の見事すぎる占い師騙りにより、周りからの信頼度がゼロ。ただ、村中6段の「私をぜひ占ってほしい」という発言はうまい。経験者からしたら怪しすぎるかもしれないが、いずれにしろ、多重人格は占われてナンボ。
しかし、村中6段、今回は騙りをする暇もなく、処刑されてしまう。前試合の尾を引いてこそリアル人狼。これこそリアルに対面でやる人狼の面白み。

やはり場を仕切るのが、予習をしてきた中田7段。非常に的確な読み。異常な勘の鋭さで見事に狼を的中。しかも、自分が処刑対象になるとき「私は処刑されても構わないが、私を指したのは誰か、みんな覚えておけ!」という素晴らしい遺言。これは狼としてはプレッシャーだろうし、情報の印象付け方としては極めて正しい。初プレイとは思えないほどに、人狼をちゃんと理解している。

しかし、結局中田7段は処刑されず、生き残り。これは市民側よかった。

処刑を生き延びた中田7段だったが、翌日の夜のターンで人狼に襲撃される。とにかく「速く」論理的な意見を述べられる人は、狼にとって非常に厄介。セオリーを知るとはスピードを得るということだ。これは狼側のナイス襲撃。

そして終盤。満を持して及川5段が霊媒師CO。視聴者が盛り上がる。面白いぞ、棋士人狼!霊媒及川5段は、前日処刑した瀬川5段が狼だったとの宣言。

白確定が増えていく展開。狼側が追い詰められる状況で、とうとうラスト狼である藤田女流初段に疑いがかかる。これは役職騙りしかない……。ここで藤田女流初段は騎士騙りをする。まあ、それしかないだろう。

藤田女流初段のCOに、占い師兼ミスリーダー片上6段が悩みまくる。なんか微笑ましい。本戦2戦目の最初の方でも、間違った勘を表明していた片上6段がカワイイ。よく喋るミスリーダーほど怖いものはない。

しかし、最終的には狼である藤田女流初段を処刑。市民側が順当に勝利。終わってみれば、結構僅差だった。


結果:市民勝利

感想
多重人格の村中6段も、人狼の瀬川5段もほとんど活躍しなかったにも関わらず、なかなかの接戦。狼の藤田女流初段にはいくつかミスもあったが、疑われにくい空気が醸成されていた。一番悪いのは、ことごとく勘の外れる片上6段だったかもしれない。なお、最初の人柱が抱えて死んだ役職は騎士。これもなかなか良かった。しかし、占い師や霊媒師の対抗COが出なかったのは少し残念だった。

1回戦に続き、2回戦目も非常に見ごたえのある試合。人狼がこんなにも観てて面白いものだとは思わなかった。



■第3回戦(全12人、狼2、多1、占1、霊1、騎1)

主な登場人物※下記リンク先は日本将棋連盟の棋士紹介ページ
中田7段山口女流初段安食女流初段及川5段藤田女流初段※この試合だけは、視聴者にも役職が知らされなかった

全体の雰囲気
視聴者も役職が分からないという趣向でスタート。疲れてきたのか全体的に静か。中田7段だけ元気。

ダイジェスト
いきなりの中田7段の霊媒師CO。この行動で一気に場が動く。そして、藤田女流初段が占い師CO。そんなに早くCO?と思ったが、なんとここで対抗COがいない。視聴者としても、とりあえず占い師(藤田)と霊媒師(中田)を信じるしかない状況

そして、占い師の藤田女流初段が襲撃され、いきなり死亡。なぜ騎士は護衛しなかったのか?!もしかしたら、前試合に引き続き、騎士は人柱が抱えて死んでしまったのか?という疑念が広がる。

霊媒師である中田7段が、死亡者の判定結果を述べながら、場を支配する。このまま中田7段を信じていいのか?とみんなが疑心暗鬼。不気味なのは、1回戦で見事な占い師騙りを見せた村中6段がずっと静かなこと。

中盤、静かだと思っていた村中6段に処刑の投票が集まる。これ、視聴者はみんな村中6段、死んだ!と思ったに違いない。ここから華麗な村中6段の復活劇。

「自分は市民であり、役職もないので、死んでも構わない。しかし、より怪しい人間を処刑した方がいいだろう。」論理の筋としてはとてもオーソドックス。変なことは何も言っていない代わりに、大したことを言っているわけでもない。しかし紡がれる言葉が流暢かつ論理的で、みんな納得してしまう。決選投票でなんと村中6段生き残り。代わりに安食女流初段が処刑。なんという巻き返し。なんという説得力。

この見事な発言により、特に経験者である視聴者は、むしろ村中6段への狼の疑いを強めたのではないか。しかし、霊媒中田7段による安食女流初段の狼判定。結果としては、狼である安食女流初段を処刑したことで、市民側が試合を有利にする。しかし、セオリーを知る中田7段の狼判定を信じていいのか、と疑う人もいて、場は混迷を極める。

霊媒中田7段による白確定が増えるものの、残り1匹となった狼が見えない。若干の膠着状態。

しかし、ここで試合は意外な展開を見せる。なんと終盤で人狼の襲撃が失敗。つまり騎士による護衛が成功したのだ。

場が一気に沸き立つ。騎士GJの視聴者コメントがあふれる。護衛成功以上に、ここまで騎士が生き残ってきた事実にみんなが驚愕した。

そして、及川5段による騎士CO。ずっと霊媒師である中田7段を守ってきたとのこと。対抗COが現れないので、及川5段の騎士確定。よくよく考えれば、初日にCOした占い師の藤田女流初段を護衛しなかったのも、護衛されやすい占い師を襲撃に行かない、という読みによるものだったのかもしれない。

ようやく霊媒師による白確定と騎士COにより、狼が絞られる。まだ判定が下っていないのは、貞升女流1級と山口女流初段の二人。女流棋士の一騎打ち。

両者ともなかなかに冷静。貞升女流1級の素朴だが、論理的な発言が光る。山口女流初段が若干不利か。

最後には山口女流初段が処刑される。そして、市民側の勝利が確定した……。

結果:市民勝利

感想
結局役職は以下の通り。中田7段(霊媒師)、山口女流初段(狼)、安食女流初段(狼)、及川5段(騎士)、藤田女流初段(多重人格)、及川5段(騎士)、人柱(占い師)。

なんと最初の人柱が占い師を抱えて死亡していた。本物の占い師がいない状況で見事市民が勝利するというとても良い試合。ハイライトは何と言っても終盤での護衛成功。全体としては意外に地味な展開となった。多重人格の活躍が見れなかったのは、返す返すも勿体ない。多重人格の藤田女流初段は1日おいてから、占い師CO(占い師騙り)した方が良かったか。いや、むしろ狼が焦って占い師喰いに行かなかった方がより接戦となったかも、と言うべきか。

いずれにしろ、視聴者としてもなかなか場が読めず、面白い展開だった。(僕は終盤までずっと中田7段を狼と疑っていました。)



全戦通して観た感想
人狼観戦は面白い。とてもいい放送だった。ただ、役職は分かった上で観た方が、人狼観戦は面白いかもしれない。これは少し意外な感触でもあった。当初自分は、役職は分からないで観る方が楽しいのではないかと思っていた。もちろん一緒に推理を楽しむのもいいが、プレイヤーたちの勘違いや鋭い指摘に一喜一憂しながら観戦するのがとても楽しい。しかし全体としては、とてもメリハリの利いた良い企画だったと思う。

あっという間の4時間(!)だった。ニコ生においても、是非続編を希望するが、あまりマメにやってはダメだという気もする。気持ちとしてはもっと観たいのだけど、この企画は、1年に1回ぐらいが良いのではないだろうか。

2013年2月14日 (木)

【ボードゲームレビュー】テーベ/テーベの東 ★★★★

Thebes_01


評価:★★★★[4/4満点!](2人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~4人

プレイ時間:90分ぐらい


これ、本当に2人でも面白い。タイトルについてはこちらのコラムで。

簡単なゲームの流れ


  • ①ボード上に置いた4枚のカードには、地名と知識量が書いてあり、各プレイヤーは、その地名の場所まで自分のコマを移動するとその知識を入手できる。カードは取られるたび、毎回、ボード上に4枚になるように山札から供給される。 
  • ②各プレイヤーのコマ移動やカード入手には、時間(単位:週)を消費する。
  • ③各プレイヤーは週を消費しながら、カードを入手し、考古学の知識を蓄積する。
  • ④入手した知識の量に合わせて、遺跡発掘する。発掘品には価値に応じて勝利点がある。また入手した発掘品を利用した展示会を開催することでも勝利点を獲得できる。
  • ⑤最後に最も勝利点を獲得した人が勝利。

Thebes_02

↑シンプルなボード。

Thebes_03

↑手を入れて発掘するための袋。裏側の布端の始末が全然されてなくて、そのテキトーさに奥さんが驚愕してた。


ゲームの総評


ずっと求めていたこのゲーム。ようやく完全日本語版が入手できて、さっそく遊んでみた。自分にとって大好きな要素がいっぱいで、とにかく楽しい。はっきり言って、プレイすること自体が楽しくて、最後の勝負を決めるときよりも、プレイ中の時の方がわくわくする。あらゆる部分で、テーマとシステムが合致していて、遊んでいて、不自然さをほとんど感じない

しかし、行動の選択肢は極めて限定されている。山札から供給され、ボード上に置かれた「4枚のカード」プラス「発掘」の5種類の行動しか基本的に選択できない。しかし、それが分かりやすさにつながっている。初プレイでも、とりあえず何をしようか、何がしたいかが決定できる。

また、インストにおいて全部のカードの説明をする必要がない。特殊なカードは、それがボード上に出現してから説明してもいい。この点もとても優しい。(学会カードやシャベル、自動車、飛行船、これらのカードは出てきてから説明しても問題ないと思う。インストは短い方がいいだろう)

発掘自体は他のレビューサイトでも言われているとおり、かなり運の要素が強い。しかし、運要素が強いのは発掘だけではない。発掘はこのゲームにおいて特殊なイベント的要素だ。通常は、ボード上の4枚のカードを取るアクションが主となる。

この通常アクション、山札から供給された4枚のカードにアクションが限定されるため、極めて運要素が強い。たまたま自分の手番のときに良いカードが山札から出れば、俄然有利になるからだ。

しかし、意外とこの点が気にならないのは、ひとえに、このゲームの時間消費システムが優秀だからだろう。出ているカードが気に入らなければ全カードを総入れ替えできる選択肢が用意されている点、行動消費数が最も少ないプレイヤーに常に手番が回ってくる点、こうした様々な要素が補完し合っていて、ゲームプレイにおける納得感が高い。

そして、肝心の発掘である。実際にプレイしてみて、1つとても印象的だったことがある。それは、ゲームの最後には大体の発掘品が発掘され尽くす、という点だ。

ほとんどの発掘品が、配分の違いはあれど、参加している誰かのプレイヤーの手元に納まることになる。ということは、勝つためにはこの配分をいかにして自分に有利にするか、という考えに結び付く。

結局、錯覚にすぎないような気がするが、高得点の発掘品を単に引き当てるゲームと考えるのではなく、発掘品の配分を自分に有利になるように仕向けるゲームと考えると、単なる運だけじゃないような気分になれる。プレイのやりかた次第でなんとかなりそうな気がするのだ。ここが、このゲームが「運ゲー」として断罪されきらない理由の1つではないかと思った。実際はかなり「運ゲー」だと思うんだけど。

いずれにしろ、2人プレイで気軽に遊べるボードゲームとしてとても優秀なゲームだ。買ってよかった。


評価★★★★とした理由……唯一欠点というか、★3つにしても良かったかな、と思うのは、このゲームは2人の時が一番面白いかもしれないと思う点だ。やっぱり他のブログでも言及されているとおり、4人だとあっさりしちゃうと思うんだよね。思い切って4人なら2人1組になってプレイしてもいいかもしれない。まあ、未経験なので、後々気になったら、評価を変更する。

2013年2月11日 (月)

【ボードゲームレビュー】ラブレター ★★★☆

Love_letter_01

評価:★★★☆[3/4](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~4人

プレイ時間:15分ぐらい


たった16枚!と言いたくなるゲーム。

簡単なゲームの流れ


  • ①1人1枚のカードを持つ。残りのカードは山札にする。 
  • ②カードには数字とそのカードの効果が書かれている。
  • ③各プレイヤーは自分の手番で山札から1枚とり、手元の1枚と、どちらのカードを捨てるか決める。
  • ④捨てた方のカードの効果が発揮される。(効果としては、好きな相手とカード交換できたり、相手のカードを見れたり、特定の条件で相手をゲームから脱落させたりなどがある)
  • ⑤山札全てめくって、最も大きな数字のカードを持っている人が勝ち。

Love_letter_02


ゲームの総評


すげえ……。これは凄い。たった16枚。たった16枚のカードだけで、これだけ楽しいなんて。

ボードゲームというか、テーブルゲームの不思議なところとして、仮にこれが50枚のカードを使って同じぐらいの楽しさだと、ここまで評価されないだろう。

でも、事実これは16枚なのだ。それはシンプルだから凄いと思うのか、分かりやすいからイイと思うのか。その色々なんだろうけれど、僕はこのゲームの構造に惚れてしまう。

これよりコンポーネントが少ないゲームはきっと他にもあるだろう。しかし、ラブレターが凄いのは、4人で1ゲームすると、16枚全てのカードが曝されて、世界が確定する点だと思っている。

この世界が曖昧さを喪失して収束していく流れが美しい。不確定さが段々と減っていき、勝負が確定した段階で、たいてい全てが明らかになる。16枚の並び順によって展開されるドラマ、その順番によって変幻自在する世界。しかもそれがたった16枚であるため、全てを見通すことができる気持ちよさがある。ただ捨てられるだけのカードというのがないのが、ニクい。

だから言いたくなってしまう。たった16枚のカードで、こんなにも色々な展開が楽しめるなんて、と。


評価★★★☆とした理由……軽量級ゲームの個人的な最高峰は『髑髏と薔薇』。ラブレターはボードゲーム初心者よりも、少しだけ色々なボードゲームをやった後の方が、更に楽しめるかもしれない。また、開始後、いきなり1手目で脱落させられてしまう場合など、ホンの僅かな点を考慮して★3評価とした。まあ、プレイ時間も短く、欠点というほどでもないのだけど。むしろ手に入らないことの方が大きな欠点と言える。

2013年2月 9日 (土)

【ボードゲームレビュー】ワンナイト人狼 ★★☆☆

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評価:★★☆☆[2/4](5人プレイでの評価です)

プレイ人数:3~7人

プレイ時間:10分ぐらい


人狼のチュートリアルとして最高。

簡単なゲームの流れ


  • ①人数に合わせて、村人、人狼、占い師、怪盗の各役割カードを1人1枚配る。 
  • ②各自自分に配られたカードを見て、顔を伏せる。
  • ③村人以外は、それぞれ顔を順番に挙げ、それぞれのアクションを実行する。人狼は、誰が人狼であるかを知り、占い師は場に出ている残ったカードか、誰かの役割カードの中身を1枚だけ見れる。
  • ④怪盗は、誰かのカードと自分のカードを交換して、交換後のカードを見れる。
  • ⑤伏せていた顔を上げ、みんなで話し合い、村人陣営と人狼陣営でお互い誰を処刑するかを話し合う。村人を処刑できたら、人狼側の勝ち。人狼側を処刑できたら村人側の勝ち。

One_night_werewolf_02


ゲームの総評


ほんとうに人狼になってる。すごい。本格的な人狼をやる前に、これを遊べば、きっと最高のチュートリアルになるのではないだろうか。特に、人狼の騙り(※)は、初心者には敷居が高い。ワンナイト人狼を使って、一回でも人狼側で占い師騙りを経験出来たら、とてもすんなりと人狼に入っていける。

※騙り……人狼側は誰が人狼かを分かっているので、通常、占い師などの能力者の振りをして、自分たちに都合のいい村人を処刑するように議論を誘導する。そのことを「騙り」と言う。

そしてこのカードというかタイルがとてもいい。ドット絵のセンスも素敵だ。

個人的に人狼では、勝敗が結構どうでもよくなる傾向があると思う。誰もが勝つために一生懸命なんだけど、最初の方に処刑されてしまった村人は、いくら最後人間側チームとして勝ったとしても、素直に喜べない。

まあ、直接参加せずとも、そのやり取りを眺めるだけで楽しめるのが人狼の良さではあるが、勝利の快感、敗北の悔しさをちゃんとみんなで共有できたらいいのにな、と思っていた。

このワンナイト人狼は文字通りワンナイトであるので、それが可能になっている点がとても素晴らしい。全員が、試合結果を自分のモノだと意識できるって、やっぱり嬉しいことだと思う。

そして、怪盗という役職。このゆるさがいい。場をかき乱す感じが、プレイ時間にとても適していて、素晴らしい。単なる不確定要素になっていないのもニクい。

もちろん、本格的な人狼のギリギリとした興奮までは、なかなか味わえないわけで、そこはどうしても見劣りせざるを得ない。しかし、ほとんどこのままで、コレ、世界でも十分に売れるんじゃないだろうか?

いいゲームだと思った。

なお、通常の人狼に対する僕のレビューはこちら


評価★★☆☆とした理由……やはり本格的な人狼ゲームの持つドラマ性には負ける。あんなに時間をかけてみんなを説得していたのに、結局人狼に喰い殺されるなんて、というドラマの持つ魅力は強烈なものがある。ワンナイト人狼は、人狼側と人間側が比較的対等であり、ゲームとしてはとてもバランスがいい。しかし、ゲームとして優れていることよりも、ゲームバランスが崩れていることで生まれるドラマにこそ、人狼の魅力があるのだと思っている。しかし、繰り返すが、これはいいゲーム。もし買える機会に巡り合えたら、買ってしまう。というか昨年のゲームマーケットで買えばよかった……。

2013年2月 6日 (水)

【ボードゲームレビュー】テレストレーション ★★☆☆

Telestrations_01

評価:★★☆☆[2/4](7人プレイでの評価です)

プレイ人数:4~8人

プレイ時間:30分ぐらい


伝わることが面白のか、伝わらないことが面白いのか。

簡単なゲームの流れ


  • ①全員にノート型のボードが渡され、お題が割り当てられる。各自のお題はそれぞれ異なり、各自が自分のお題に沿った絵を描く。
  • ②描いたボードを隣の人に渡して、隣の人はその絵のお題が何かを推理してボードに書く。ボードを更に隣に渡し、渡された人は先ほどの推理結果を元に絵を描く。
  • ③上記の行為を、自分が最初にお題を描いたボードが戻ってくるまで繰り返す。
  • ④最後に、得点計算をする。お題が複数の人でつながっていると得点。(競技ルールでは)
  • ⑤最も得点が高い人が勝ち。

Telestrations_02

Telestrations_03


ゲームの総評


そりゃあ、面白いよ。これは面白い。このノート型のボードがいい。これが伝言ゲームの途中経過を可視化してくれる。

伝言ゲームは、最初の人と最後の人で、ぜんぜん違うメッセージになっていることを楽しむ遊びだが、実はその途中経過も相当に面白い。どのくらいテキトーな伝言をみんながしているか。ここを明確に可視化してくれることがテレストレーションの面白みだ。

途中経過と言っても、これが言葉だけだと伝言のズレはどうしても地味になってしまう。絵を差し挟むことで、そのズレが劇的に変化していき俄然面白くなる。もはや勝負がどうでもよくなる面白さ。まあ、しょうがない。説明書にも楽しんだ人が勝ち、と書いてあるし。

あと、ゲームルールとしては、ピクトマニアの方が「よくできている」と言えるかもしれない。しかし、単純に楽しさでは、テレストレーションの方が上だ。

ところで、個人的に、絵やお題を描いたときに、そこに自分の名前を署名するべきだと思うんだけど、どうだろうか。この「誰が」書いたか、というのは楽しさを共有する上で、必要だと思うんだけどなあ。(まあ、だいたい誰が書いたか分かるからわざわざ書く必要ない気もするんだけど)


評価★★☆☆とした理由……面白いのは確かなんだけど、「うお!こういう仕組みかー」と予想を裏切るような感じではない。テレストレーションの人気の陰にピクトマニアが隠れてしまうとしたら、ちょっとピクトマニアが気の毒な感じがする(どっちも面白い)。ただ、お絵かきゲームは2つも要らないな、と思うのは当たり前なので、テレストレーションの購入検討の際は、是非、ピクトマニアも候補に入れて検討してほしい。

2013年2月 4日 (月)

【ボードゲームレビュー】フラッシュポイント ★★★☆

Flash_point_01


評価:★★★☆[3/4](5人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~5人

プレイ時間:50分ぐらい


バランスのとれた協力型ゲーム。

簡単なゲームの流れ


  • ①各プレイヤーは消防隊員となって火災現場に立ち向かう。
  • ②ボード上には発生した火災と救助を待つ人のコマが置かれる。
  • ③各プレイヤーは自分に与えられたポイントを消費して、自分の操る隊員コマを移動したり、消火を行う。
  • ④各プレイヤーの行動後、サイコロを振って、火災がどの部分に延焼したかを決める。
  • ⑤ある一定上の被害が出る前に、規定人数以上を救出できたら、勝利。

Flash_point_02


ゲームの総評


与えられるアクションポイントが4ポイントであるので、パンデミックをやったことがある僕にはかなりすんなりとゲームに参加することができた。

面白い。やっぱり協力型ゲームはいい。無理やり残念な点を挙げるとすると、今回無事「勝利」してしまった、という事実だ。できれば協力型ゲームの1回目は、ギリギリのところで負けれると面白い。また日を置いて再挑戦したくなる後味が残った方が、楽しいような気がするからだ。

とは言え、勝利できるとうれしくなってしまう。

フラッシュポイントの各要素は、前述のアクションポイントだけでなく、そのままパンデミックのメカニクスに対応する部分も多い。火災による壁の破損は、アウトブレイクに対応するだろうし、消火活動は、ウイルスの駆除に対応する感じだ。

パンデミックとはテーマからして全く別物であるので、もちろん異なる部分も多い。最も大きく違っているなという印象を持ったのが、救助という要素だ。

火災現場に残ってしまった人を救い出し、救助者を家の外まで連れ出すことがこのゲームの主な目的だ。しかし、救助者を連れていると移動が遅くなってしまう。

傷ついた負傷者を肩に担いで、たくましい隊員が炎の荒れ狂う家の中から、苦しそうに這い出る、という映画のワンシーンが再現できる。この救助者と命を共にするかもしれない恐怖と興奮が、ちゃんとボードゲームとして再現されている。ステキだ。

あと役割の違いがかなり明確であるという点。これは、毎回の行動が役割によって決まってきてしまう、という副作用もあるかもしれない。しかし、今回プレイした限りでは、この役割の違いが明確であるため、むしろ、ゲーム全体がとてもピリッとした印象になっているように感じた。

ただ、テーマとしてはパンデミックに軍配が上がる。なんにしても賭けているのが全世界の人類の命だ。しかしフラッシュポイントは、一人ひとりがヒーローになりやすいという長所がある。その人しかできない活躍の場がちゃんと用意されていて、プレイの主体が曖昧になりやすい協力型ゲームの欠点をフォローしている。

バランスのとれたみんなが楽しめる協力型ゲームの秀作だと思う。


評価★★★☆とした理由……とても楽しいのだが、なんにしてもパンデミック満点★★★★)は苦労の末クリアできたという特別な体験がある。これはあくまで僕の体験であり、個人的なものだ。そうした普遍化しようのない要素を評価に際して考慮することはいかがなものか、と考えないではない。しかし、現に感じたことを今はこのBlogで書いていきたいと思う。自然、パンデミックと差をつける意味でこの評価とした。もちろん、フラッシュポイントも良ゲームであることは間違いない。

2013年2月 2日 (土)

【ボードゲームレビュー】いかさまゴキブリ ★★☆☆

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評価:★★☆☆[2/4](4人および5人プレイでの評価です)

プレイ人数:3~5人

プレイ時間:25分ぐらい


イカサマをゲームにした快作。

簡単なゲームの流れ


  • ①各プレイヤーは順番に、手元のカードから場に1枚ずつカードを出していく。
  • ②プレイヤーは場に出ているカードの数字の±1(プラスマイナス1)の数字のカードを出すことができる。
  • ③しかし、蛾のカードだけはイカサマ監視役しか出すことはできない。
  • ④他のプレイヤーは、蛾のカードを捨てるには、監視役にばれない様にイカサマをして、密かに足元やテーブルの下などに捨てなければならない。蛾以外のカードもイカサマでカードを捨ててもOK。
  • ⑤最も早く手元のカードを全てなくした人が勝利。

Mogel_motte_02


ゲームの総評


このゲームが出たとき、やられたー、と思った人も多かったのだろう。監視役を設けるという、かなり大雑把な仕組みを導入することで、こんなにもちゃんとイカサマをゲームにできるなんて。

ばれても面白い。ばれなくても当然面白い。ボードゲームには、アクション要素(と言っていいのかな?)が組み込まれているゲームというのが時々ある。バランスゲームみたいなものとか、おばけキャッチとか、サフラニートとか。いかさまゴキブリのイカサマはアクション要素と言っていいのか、若干悩むが、身体で楽しむゲームと言ってもいいだろう。

このいかさまゴキブリを少しだけ物足りないと思ってしまうのが、イカサマをしないと全くゲームに参加できない感じになってしまう点だ。もちろんイカサマをするためのゲームなんだから、頑張ってイカサマしようよ、とは思うんだけど、人によってはイカサマがなかなかできない人もいる。(自分のように1巡する間にほとんどのカードを捨てているような雑な人間にはとても楽しい)

イカサマが苦手なタイプの人は、本当に毎回カードを溜めこんでしまって、見ていて気の毒になってしまう。負けることよりも、イカサマできないストレスの方が苦しいに違いない。

なんと言ってもルールのほとんどが、このイカサマに集約されている。数字は制約でしかなくて、ほとんど考える必要がない。特殊効果も、それを如何にイカサマに利用するか、という感じだ。別に考えるゲームではないことは十分に分かっているが、もう少しだけ、イカサマが苦手な人も参加できる感覚、活躍できたと錯覚できる要素があるといいなあ、と思ってしまう。

しかし、面白いことは間違いない。監視役に「イカサマしたでしょ!」と言われた時、「ちくしょー、ばれたー!」とみんな楽しそうに罪を告白する。これはきっと「騙す快感」とは別に「暴露される快感」みたいなものがあるからだ。イカサマをする楽しさだけでなく、その「罪がばれる」ことでもお互いが楽しくなれる要素がある。このゲームの面白さを立体的にしているのは、そういう点であるように思う。


※ルールについて

ちゃんとルールを読めてなくて恐縮なのだが、監視役が交代するときはイカサマをしちゃダメ、というルールはあるのだろうか?このタイミングってすごくイカサマしやすくて、しかも監視役の権限が誰にあるのか曖昧になっている。このタイミングではイカサマしてはいけない、とした方がいいと思うのだが、そういうルールって、ちゃんとあるのかな?


評価★★☆☆とした理由……本文にも書いたが、とにかくイカサマなのだ。盛り上がるけれど、振り返ってみるとイカサマ以外の要素の記憶が薄い感じなのだ。少しそこを物足りないと思った。プレイする人によって、自分のプレイの仕方が変わるイメージを持てなかった、というのが正直なところ。

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