今回のテレビ放送の人狼で使われた役職は以下の4つ。
市民 :
人間。いわゆる村人。
人狼 :
毎夜人間を襲撃。お互いに誰が人狼か知っている。
占い師:
毎夜、一人を占い、人狼か人間かを知ることができる。
騎士:
毎夜、一人を選んで、人狼の襲撃から守ることができる。いわゆる狩人。
※狂人(多重人格)、霊媒師、共有者はなし。
出演者は以下の8名。以下、敬称略で書かせていただく。
小木博昭
(おぎやはぎ)
矢作兼
(おぎやはぎ)
後藤輝基
(フットボールアワー)
吉木りさ
光浦靖子
クリス松村
杉村太蔵
狩野英孝
ダイジェストは、僕自身の印象によって省略しながら書いているため、重要なシーンが抜け落ちているところもあるかもしれない。その点はご容赦願いたい。また誤りなどがあれば是非指摘いただければと思う。なお、本放送を録画している方、
未放送ゲーム
をYoutubeで見ていない方は、できれば番組やYoutubeを先に見ていただいた方がいいと思う。以下の記事はネタバレ満載である。
※関連リンク
◆第1バトル
主に活躍した人およびその役職(キャスト)は以下の通り。
光浦:
人狼
小木:
人狼
後藤:
占い師
杉村:
市民
ゲームの流れ:
役職決めの段階で、いきなり光浦の表情が怪しい。さっそく全員から疑いの目を向けられてしまう。矢作の読みがとても鋭く、もう一人の人狼である小木も同時に疑われる。
しかし、ここで伏兵が現れる。おそらく多くの視聴者から心配されていたであろう杉村太蔵。期待通り、
市民のくせに物凄く怪しい
。「処刑したくなる奴」というのは実際に人狼をやると経験することだし、テレビらしくそれが面白おかしくネタにされている。
杉村が冷静にしていればいいものを、異常に村人を主張する。一斉にみんなの疑いが光浦から杉村にシフトしてしまう。ほくそ笑む光浦。なんというか「バカは正直者だ」と皆が思っているので、この必死さが(人狼としての)正直さの現れのように見えてしまう。
順当に杉村が処刑(番組用語では追放)される。別室で「ほら俺の言った通りじゃないか、みんな見る目ないなー」という杉村の憤怒の言葉は鏡のように、彼は処刑されるべくして処刑されたのだという事実を示す。
そして1日目の夜のターンでなんと騎士の狩野が襲撃を受ける。市民を守る騎士がいなくなったことで、人狼チームが俄然有利となる。狩野は、役に立たなかったこと自体がウケるという見事な役回り。
2日目。占い師の後藤は小木が人狼であることを知る。しかし
占い師をカミングアウト(以下、CO)していいものか躊躇
してしまう。小木を必死に攻撃するが、そのことが裏目に出る。
小木はその状況を利用して、後藤を人狼呼ばわり。攻撃的な後藤がむしろ疑われ始める。しかし、それでも占い師COできない後藤。その気持ちは痛いほどわかる。かつて初めて役職持ちになった時を思い出す。
結局投票の末、後藤が処刑。最後まで占い師COはなかった。騎士がいないため夜の襲撃で人狼と市民が確実に同数となることから、人狼側の勝利が決定した。
結果:
人狼勝利
感想:
やっぱり人狼は観てて面白い。人狼というゲームと関係なく、小木、矢作そして後藤の的確なツッコミも面白い。ハイライトは試合終了後の狩野の「騎士はオレです」だろう。なんかウケる。
◆第2バトル
主に活躍した人およびその役職(キャスト)は以下の通り。
吉木:
人狼
杉村:
人狼
後藤:
市民
狩野:
占い師
光浦:
騎士
ゲームの流れ:
カワイイ女性が人狼というパターン。やはり人狼の醍醐味の一つは女性人狼のパターンだ。「実は悪い女」というモチーフは、永遠のテーマだろう。
しかし、この試合でも矢作の鋭い読みにより、吉木が早速疑われる。やはり芸能人。女性だから疑われないなどという生易しさがない。
疑われる
人狼吉木がとった戦略が役職騙り
。しかしなんの役職かは明かさない。手探り感が初々しい。
しかしこれが功を奏して、処刑を回避することに。対抗して誰もCOしなかったからか。代わりに処刑されたのがなんと後藤。少し噛みつきすぎたかもしれない。まさかの逆転処刑。なんか後藤の持つこの常に処刑される安定感はなんなんだろうか。
そして夜が明け、2日目の朝が訪れる。なんと人狼の襲撃が失敗。これは手痛い。光浦騎士の見事な護衛により襲撃は失敗。杉村・吉木の人狼も内心の思いは裏腹にその護衛を讃える。
番組公式Twitter
によると、夜ターンは、全員が同時に占い対象や襲撃対象を選定しているのではなく、各自順番に選択がなされているとのこと。そして、襲撃対象は2番目に順番が回ってきた人狼に決定権があるらしい(2番目の人狼は、1番目の人狼の襲撃対象が誰かは分かる)。※該当の公式ツイートはこちら。
そしてここまで黙っていた占い師の狩野がCO。ドヤ顔うざいw。そしてなんと光浦の占い結果を告げ、人間であると宣言する。なんだよ、その占い対象、勘悪いなーと思ったが、これがその後の展開を制する鍵となった。
前日に曖昧な役職騙りをした吉木がその役職を明かす。なんと騎士だという!多くの人狼経験者はびっくりしただろう。これは難しい。理屈をこね繰り回すにはあまりに難しい騎士騙り。
何より1人占い師の狩野が光浦を人間だと宣言している。これは圧倒的に人狼側が不利。
そして、本物の騎士である光浦が早速対抗してCO。経験者の小木・矢作もここで吉木の人狼を確信。そしてあの杉村太蔵がなんと吉木を人狼呼ばわり!見事な身内切り。おー、杉村太蔵、ちゃんと人狼を理解しているじゃないか。この試合でのハイライトはここだろう。
そして処刑対象の投票。吉木の弁解は空を切る感じ。そしてなんとここで杉村太蔵(なんかフルネームで書きたくなる)が痛恨のミスをする。なんと狩野に対して処刑投票してしまう!
はっ?と多くの視聴者も思っただろう。やっぱり杉村は人狼を理解していなかったか!これまでほとんど疑われていなかった杉村がここで明確に疑われる。というか人狼を確信されてしまう。
そして吉木が処刑。そしてなんとその夜の襲撃がまたも失敗する。騎士の2回連続護衛成功という奇跡。というよりも人狼杉村がバカすぎる。
3日目。狩野による占い結果により杉村が人狼であると伝えられる。当然、杉村が処刑され、市民側の勝利が確定した。
結果:市民勝利。
感想:
途中までかなり面白かったが、終盤がなんとも肩すかしな展開。人狼がお粗末だとやはりさびしい。いずれにしろ芸人さんの仕事っぷりが光る。人狼としての面白さより、従来の芸人さんが盛り上げるテレビとしての面白さが勝っている感じの試合だった。
◆第3バトル
(テレビ未放送)
本試合はテレビで未放送であり、Youtubeの
コチラで公開されている。役職は未公開で視聴者も推理を楽しめる趣向になっている。(なので先にYoutubeを見ることをお勧めします)
ゲームの流れ:
最初の役職決めの段階では、なかなか誰が人狼か分からない。
しかし、なんと
いきなり杉村太蔵が占い師CO。
おおー。そして対抗するCOはなし。ほぼ杉村の占い師が確定という感じ。しかし、もう一人(人狼か本物の占い師)も押し黙っているだけかもしれない、杉村は人狼かもしれないという疑念も残る。
杉村の必死の訴えを聞くと、本物の占い師のようにも思える。これが人狼だとしても、決して上手いとも言えないのが逆に面白い。
そして後藤が杉村に食って掛かる。本物としか思えない杉村をみんなが信じたくなくてウケル。しゃべるバカは面白い。杉村の鬱陶しいキャラが確立していく。
しかし杉村を疑う合理的な理由が存在しない。結局議論は収束しないまま投票時間になる。そして何とここであまりマークされていなかった矢作に処刑投票が集中する。これ、見ている時はとても納得感があった。なんというか、これまでとても積極的に真実追究にこだわっていた矢作が、この試合では急にトーンダウンした印象があったのだ。
あー、これは確かに人狼かもな、と思いつつもなかなか確信は持てない。結局静かに矢作が処刑されていった。
そして1日目の夜。襲撃は狩野に対して実行される。これは適切な襲撃。前日の時点でほとんど疑われていない狩野が消えた。
そして2日目の朝。占い結果を急かされる杉村の返答は「クリスは人狼ではない」というもの。はっ?なんでクリス占うんだよ!と集中砲火。そう前日に杉村占い師に疑いを持ち続けた後藤を占うとみんなが思っていた。でも、このバカさ加減が本物くさい。でも、やっぱり人狼?迷う。
しかし、杉村の「クリス人間宣言」により、人狼が絞られる。クリスが人間に確定されたことの意味は大きかったのかもしれない。結構クリスの発言は空気を変える。小木による騎士COもあり、後藤への処刑票が集中してしまう。なぜここで後藤に集中したのかが今一つ視聴者には伝わってこないが、結局後藤が処刑される。(今回全部のゲームで後藤は処刑されている。かっこいい)
果たして、市民側の勝利が確定した。
結果:
市民勝利
感想:
最後を見るとあっけない終わりのように思えるが、自分の推理に確信を持てなくて面白かった。人数が少なく試合時間が短いと、役職が分からない方が面白いような気もする。
ワンナイト人狼
なら、役職を伏せて観た方が面白いのと似ているかもしれない。
結局、未放送ゲームの役職は以下の通り。
矢作:
人狼
後藤:
人狼
杉村:
占い師
小木:
騎士
光浦:
市民
吉木:
市民
クリス:
市民
狩野:
市民
全体の感想:
なかなか面白かったが、
淡白な展開が多かった
ように思う。ただ、これは「分かりやすさ」をとても意識しているからだろう。やはりテレビの人の「多くの人に分かること」へのこだわりは凄まじいものがある。百万単位を相手にしているメディアらしい番組作りだと思う。ニコニコ生放送と比べると、単品の商品としての
クオリティは圧倒的に高い。
しかしだ。僕は正直言って、ニコニコ生放送の「
将棋棋士の人狼
」の方が面白かった。あちらの方が経験者にとってはずっと面白かった。あの試合でさえ、人狼のベテランはフラストレーションが溜まったであろうが。
棋士人狼の方が面白かった理由はいくつかある。ここでは3つ挙げたい。
1.理解している人が活躍した
棋士人狼の場合、中田7段や村中6段など人狼のセオリーを理解している人が活躍した面白さがあった。そしてロジック展開を味わう面白さがあった。やはりこの醍醐味は今回のテレビ放送版にはあまりなかった。
2.解説があった
棋士人狼ではひろゆきによる解説があった。解説の妥当性云々はさておき、解説が経験者の溜飲を下げる、ということはある。また「この人は何を考えているのか」ということを理解する喜びが人狼観戦にはある。この部分を単にナレーションで補うよりもリアルタイムに伝える実況者兼解説者のような存在があった方が良いように思う。スポーツ観戦の実況が視聴者の気持ちを盛り上げるのと同じだと思う。
3.人数、役職が少ない
人狼は実は答えを探るゲームじゃない。
人狼チームが如何に答えが出るのを引き延ばせるかというゲーム
なのだ。だから人数や役職を増やすことで、そのゲーム性を継続しやすくなる。誰が人狼であるか分かるよりも、誰が人狼か分からなくなった、ということに面白みがある。やはり8人で霊媒師や狂人なし、というのは展開が淡白になってしまう。
以上3点を挙げたが、これらの課題は今回のフジテレビ人狼を作ったスタッフの方々は十分過ぎるくらいに理解していると思う。だから、意識的にこのような番組を作ったはずだろうし、ちゃんと面白い番組だったと僕は思う。人狼がこれまで中々テレビにならなかった理由が改めて明確になった、というところだろう。
しかし、視聴者には経験値が溜まっていく。それを踏まえたテレビ番組作りにも、きっとノウハウがあるだろう。今後に期待したいし、是非継続して人狼を放送してほしいと思う。