【ボードゲームレビュー】iPhone版 ボーナンザ ★★☆☆
評価:★★☆☆[2/4](COMを入れた4人プレイでの評価です)
値段:350円(2013年3月14日時点)
プレイ人数:3~4人
プレイ時間:25分ぐらい
プレイヤーをがっちりと受け止めるタフなカードゲーム。
簡単なゲームの流れ
- ①各プレイヤーは豆の絵が描かれた5枚の手札を持つ。手札から、自分の畑に豆を植える。(1プレイヤーごとに2つの畑を持つ)。
- ②1つの畑には1種類の豆しか植えることができない。畑に空きがなければ、新しい種類の豆を植える時、既に植えた豆を換金して、畑を空けなければならない。
- ③豆を植える時に、自分の手札の右端から植えなければならない。手札の順番は入れ替えてはいけない。
- ④植えるのが終わったら交渉タイム。手番プレイヤーは他のプレイヤーと交渉し、欲しい豆を貰ったり、手札の順番として不要なカードを交換して手離したりする。
- ⑤山札を3度めくりきったところで、一番お金を稼いだ人が勝利。
↑メイン画面。初手。手番で1枚目の豆を植えるところ。
↑交渉時の画面。敵COMから「ゴガツササゲを2枚やるから、ベニバナインゲン(赤)か大豆(青)をちょうだい!」と言われているところ。
ゲームの総評
交渉メインのカードゲーム。カードゲームらしくない「重み」がある。いや、それを「重み」と表現するのは適切じゃない気もする。どちらかと言うと、「噛み応え」があるという感じ。イラストからは想像ができないほどにタフネスさを持ったゲームだ。
今回プレイして、ボーナンザのルールにほとほと感心してしまった。これは人と遊びたい。iPhoneだけでは満足できない。何より交渉がメインとなる。たとえ負けるとしても、人に負けたいと思ってしまう。
iPhone版ボーナンザの特徴は、その交渉のやり方にある。交渉は2つのフェーズに分離している。「第1.手番プレイヤの提案」と「第2.自プレイヤの提案」というように。
手番プレイヤーがコンピュータ(COM)とした場合を例に説明すると、以下のような流れになる。
交渉の第1フェーズに、手番であるCOMが欲しいカード、渡したいカードの提案を行う。例えば、COMの提案は「大豆を渡して、ソラマメが欲しい」提案だったとしよう。僕はこの提案に対して、僕がCOMに何を渡すかという点だけ変更して返答できる。つまり、第1フェーズでは、「何も渡さないけど、その大豆をください」とか「ソラマメと赤豆を渡すので、大豆をください」などの交渉しかできない。相手が渡そうとするカード(大豆)を変更した交渉はできないのだ。つまり僕が「大豆はいらないので、タダでもいいからソラマメをあげたい」という交渉は、第1フェーズではできない仕組みになっている。
そこで、第2フェーズを活用する。第2フェーズは人間である僕というプレイヤーから提案を行う。そこで、僕はソラマメをただでもいいから(大豆も何もいらないから)もらってほしいという提案を行う。
一方通行の交渉にならないように、こうした手順を踏んでいるのだろうが、いささか冗長な感じがする。iPhone版カタンのように手番プレイヤーからの提案をベースに後は自由に交渉材料のカードを増減させてくれればよかったように思うが、どうなのだろうか。(こうすると何かしら問題が出るのかもしれない。どなたか分かる人がいたら、ぜひ教えてほしい)
そんなわけで、ゲームテンポがあまりよくない。実際のカードを用いたプレイでは、もっとずっとライブ感のある交渉ができるだろうし、何よりテンポがいいのではないかと思う。まあ、なによりも交渉の幅が著しく制限されてしまうので、本来意図された交渉パターン(口約束とか)が網羅できていないことは、元ゲームを知っている人にとって、致命的かもしれない。
しかしだ。こんな交渉がメインのゲームでありながら、iPhoneでコンピュータを相手に遊んでも、こんなにも面白いというのは衝撃だった。本当に素晴らしいゲームだと思う。
デザイナーが同じだという先入観はあるのだろうが、随所にアグリコラとの共通点を感じる。今取るべき手はそれほど多くないのに、その1手が将来的に与える影響がとてつもなく大きく感じる、この緊張感がたまらない。それでいて選択肢や目的が極めてシンプルであるため、方向を見失い、立ちすくむ状態にはならない。散々考えた後、前に進むために必要なのは決断のみ!そんな熱気みたい感覚が自ずと僕をゲームプレイへと駆り立てる。何より、負けてもプレイ自体が楽しいのは、アグリコラを想起させる。
ボーナンザでは、ターンが進むごとに場面がガラッと変わる。将来の予測が立たない。だから、今の現状だけを見て最適解を考える。次に何のカードが出るか分からないがゆえに、現状だけを見ていくしかない。それがむしろ思考の見通しの良さともなっている。
なんとも凄い作品だ。
評価★★☆☆とした理由……作品自体は★3以上としたいのだが、これは人間相手にカードを使ってプレイしてからにしたい。カードゲームという言葉に「軽さ」があるため、そう呼ぶことをいささか躊躇してしまう満足度だ。惚れた。
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