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2013年4月

2013年4月27日 (土)

【ボードゲームレビュー】ごきぶりポーカー ★★★☆

Gokipoker_01

評価:★★★☆[3/4](5人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~6人

プレイ時間:20分ぐらい


面白すぎる。

簡単なゲームの流れ

  • ①手番プレイヤーは手札から1枚を他のプレイヤーに差し出す。差し出す際に、そのカードの内容を宣言する。(嘘をついてよい)
  • ②差し出されたプレイヤーは、その宣言内容の真偽を予想する。
  • ③予想が正しければ、差し出したプレイヤーがそのカードを引き取る。予想が間違った場合は、予想を外したプレイヤーがそのカードを引き取る。
  • ④差し出されたプレイヤーは予想をパスすることもできる。その場合は、カードの中身を確認し、そのカードを別のプレイヤーに差し出す側となる。そこで差し出されたプレイヤーはそのカードを予想する。
  • ⑤以上を繰り返し、同じ種類のカードを4枚集めてしまった人が負け。

Gokipoker_02



ゲームの総評


このゲームこそ、定番ゲームとして多くの人に普及できる代表選手だと思っている。

なぜ、自分の嘘だけばれるような気がするのだろうか。サイコロの目であれば、自分にだけ有利な目が出るように思うのに、このゲームでは自分の嘘だけばれるような気がしてならない。

でも、ときどきニュータイプのようにひらめく時があるのだ。そういう時は、驚くほどに予想が的中する。僕はすごいんじゃないか、人の心が読めるんじゃないか。そんな傲慢な思いを抱いたとしても、すぐさま叩き潰される。

カードを集めれば集めるほど、そのこと自体が他プレイヤーへの情報提供になる。相手に考える材料を与えてしまったことが、更に自分へのプレッシャーとなる。だから時に集中砲火を浴びるようにして負けてしまったりする。みんなが平均してバランス良くゲームが展開しなくても、そうした負け負けな人がいても盛り上がる。まあ、パーティゲームだから。

ゲームが終わると何があったのか、ほとんど覚えていない。ゲームプレイが夢のように儚い。でも、それもまたいい。


評価★★★☆とした理由……考えるゲームではないけれど、誰でもプレイできる。いろんなルールをごちゃごちゃと付けないその思い切りが凄い。名作だと思う。

2013年4月21日 (日)

【ボードゲームレビュー】(株)ゴブリンズ ★★☆☆

Goblins_01

評価:★★☆☆[2/4](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~4人

プレイ時間:60分ぐらい


ボード上で、巨大ロボットの格闘戦が表現できるとは思わなかった。

簡単なゲームの流れ

  • ①部品タイルを集め、2人1組でお互いに協力して巨大ロボットを建造する。
  • ②ロボットを建造したら、各自このラウンドにおける秘密の目的を決定する。
  • ③ロボット格闘を開始する。一人がロボを操縦。もう1人がアイテムを選択。
  • ④相手のロボットを交代で攻撃する。攻撃を受けた部分のタイルは剥がす。
  • ⑤規定ラウンドの戦闘終了後に、秘密の目的も含めて点数計算。規定ラウンド後に勝利点が最も高い人が勝ち。

Goblins_02

↑ボード上に置かれているのが建造したロボット。うまく絵柄がつながるようにタイルを繋げて配置することで、自分だけのデコボコロボットが完成する。


ゲームの総評


この「株式会社ゴブリンズ」というゲームの凄さは、自分が「巨大ロボットを操縦している」とわりとマジで思えるところだ。テレビゲームで巨大ロボットを操縦するゲームは多い。その中でも『リモートコントロールダンディ』以来の「ままならない」ロボットを操縦する感覚にこのゲームは似ている。

ボードゲームでその「ままならなさ」を実現するのが凄い。それをどう実現するのか、僕には到底思いつかない。

このゲームではどうやってロボット操作を演出したのか。主な要素は2つあって、1つは「体の向きを変えるアクション」の導入だ。「体の向き」というのはいい。いかにも巨大ロボット感が出る。何よりこのアクションは、戦闘における防御にも攻撃にも影響があり、戦略的に複数の意義があるのが凄い。

もう1つの要素が、二人で操縦する、という仕組み。つまり、自分1人でロボットを操作するだけだと、どうしてもそれは単なる計画したアクションにしかならない。しかし、相方と一緒に操作することで、自分の計画が少しだけ狂うのだ。(少し、というのもポイント)

このため、いかにもヒーコラしながら巨大ロボットを操縦しているような気分になる。「操縦のままならなさ」を構築する仕組みにつくづく感心してしまった。

そんなわけで、このゲームは、2人1組でのチーム戦である。しかし、ちゃんと4人の勝負になるよう「秘密の目的」という要素が盛り込まれている。最終的には何ラウンドか巨大ロボット同士の戦闘を繰り返すのだが、そのラウンドごとに「秘密の目的」による点数計算も行う。秘密の目的には「相手チームが勝利したら4ポイント」というような、自チームの敗北によって勝利点を得られるものも含まれている。

そのため、同じチームであっても点数に差が出てくるのだ。そういった不穏な「秘密の目的」を隠し持っているかもしれない仲間は、もしかすると、戦闘自体は負けることを望み、戦闘の他の要素で点数を稼げればいいと思っているかもしれない。

ホントよく出来ているゲームだと思う。

けれど、なんというか、今ひとつ、僕はテーマに乗りきれなかった。ゴブリンとロボットという食い合わせが悪いからか、自分がこれまで蓄積してきたファンタジーとロボットの世界の、どの部分とも接点が持てなかった感じだ。

テーマさえ乗れれば、もう少し夢中になれたようにも思う。

巨大ロボット好きの日本人がこのテーマでボードゲームを作ったらどうなるのだろうか、そんなあてどない想像をしてみるのも面白い。


評価★★☆☆とした理由……いろいろと盛り込み過ぎてて、焦点が定まらない感じ。1つ突き抜けた面白さが欲しい。しかし、ゲームとしての完成度は高いので、もう一度がっつり考えながらプレイしてみたい。

2013年4月18日 (木)

【ボードゲームレビュー】思わぬ拾い物/ガラクタ集め ★★☆☆

Fundstucke_01


評価:★★☆☆[2/4](5人プレイでの評価です)

プレイ人数:3~5人

プレイ時間:30分ぐらい


テーマはガラクタなのに、ガラクタ感の一切ないキレイにスッキリとまとまったゲーム。

簡単なゲームの流れ

  • ①各自0~5の数字が描かれたカードを持つ。
  • ②それらのカードのうち、1枚を選んで全員が同時にカードを出す。
  • ③小さい数字を出したプレイヤーから順番に、数字分だけガラクタのタイルを取る。ガラクタにはそれぞれ勝利点がある。
  • ④同じ数字のカードを出した人がいた場合バッティングとなり、各自がカードとは別に持つチップの数字を比べ、数字が大きいプレイヤーは一回休みとなってしまう。
  • ⑤特定のガラクタを規定数集めるとミッション達成となり、大きな勝利点を得られる。何回かガラクタ集めを繰り返し、最後に最も多く勝利点を得た人が勝ち。

Fundstucke_02



ゲームの総評


フリーゼの作ったゲーム。

同時に提示するタイプのバッティングゲームが、僕にはあまりピンとこない。ルールも理解しやすいし、インタラクションとしても面白いのに、なぜかバッティングという仕組みが心にストンと落ちてこない。

バッティングしたら、大抵良くない結果が起きる。他人が選ばないものを選ぶ、というルールはとてもシンプルで良い。しかし、なんというか、なぜバッティングすると不利になるのかどうしても心から納得できない。そういうルールだと言われればその通りなのだが、もう少しバッティングすると不利になる「理由」を欲してしまう。

ガラクタを集めるというテーマは、少年的冒険心にダイレクトに訴えてくる。ガラクタの描かれたチップが魅力的に見えてしょうがない。テレビよりもラジオの方が点数が高かったりして、なんか微笑ましい気分になったりする。

でも、集めるべきガラクタの種類がミッションとしてはっきり提示されすぎていて、人によって集めようと思うモノに差があまり出ない。ミッションを達成できずに、手持ちとなったガラクタがあると、泥棒から狙われる危険がある。手持ちにガラクタを持っておくメリットが分かりづらく、ミッション達成にばかり気を取られてしまった。ガラクタを手元に持っておくメリットがもう少しあれば、ガラクタ集めにも個人差が出ていいように思うのだが。

ルールも目的も分かりやすい手堅いゲームという感じだ。


評価★★☆☆とした理由……同時に手を出すタイプのバッティングゲーム自体が少し苦手であること。面白いのだけど、強烈な魅力を感じれなかったこと。その辺りが僕の中での評価を押し下げる。ただ、完成度は高く、すっきりとまとまった美しさを感じる。

2013年4月16日 (火)

【ボードゲームレビュー】ボーナンザダイス ★★☆☆

Bohnanza_dice_01

評価:★★☆☆[2/4](5人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~6人

プレイ時間:40分ぐらい


ボーナンザっぽいようでいて、ぽくない。

簡単なゲームの流れ

  • ①各プレイヤーは目的カードを1枚受け取る。そのカードには、植える豆のパターンが描かれている。
  • ②豆の絵が描かれた7つのサイコロを振り、出た目のうち1個以上のサイコロを選ぶ。そうすることで、その豆を植えたことになる。7つ全てを植えるまでサイコロを振り直す。
  • ③目的カードには6つの植え方パターンが書かれており、下のパターンから達成していくが、上の段ほど、達成が困難になっている。
  • ④手番以外の人は、自分が振らなくても、サイコロの出目が自分の目的パターンと合致していたら達成したことになる。
  • ⑤目的カードはいつ換金してもいい。ただ達成度が高いほど、大きくお金を稼げる。最も早く規定金額までお金を稼いだ人の勝ち。

Bohnanza_dice_02



ゲームの総評


最初、どこに戦略的要素があるのか分からなかった。なんと言うか、ボーナンザのカードドローと交渉部分を全てサイコロに置き換えてしまったようなゲームと言えばいいだろうか。途中からようやく何を考えるべきなのか分かりはじめた。

こんな仕組みでゲームが成立するのか?とゲーム開始当初は思ったが、これがなかなかに成立している。

結構ジレンマとしては単純で、収穫サイクルを早くして細かくお金を稼ぐか、じっくりと時間をかけて豆を植えて大きく稼ぐか、というところ。こうやって文字にするとまさしくボーナンザ。

しかしボーナンザの交渉は双方向だったが、ボーナンザダイスでは、サイコロの出目は一方的な与件でしかない。だから、主に換金するかどうかの部分でしか自分の選択を発揮できず、端的に「不自由さ」を感じてしまい、ダイナミズムに乏しい感じがした。一方で、後で振り返ってみると、考えどころがとても集約されていて、凄く秀逸なゲームであるようにも思う。

このゲーム、ちょっと気軽に遊ぶにはいいかもしれない。ルールを分かっている者同士、軽い気持ちでダイスゲームを、なんて時には重宝しそう。しかしインストが必要になると途端にその気軽さが消し飛んでしまう。インストに弱いゲームだろうなあと思う。それゆえ、ルールをある程度理解した今こそ、プレイすればもっと楽しめそうに思う。


評価★★☆☆とした理由……ボーナンザで感じた骨太さは感じられず、ミニゲームを繰り返している印象が強かった。しかし、考えれば、考えるほどうまく出来ている。再度プレイしたい。

2013年4月12日 (金)

【ツール】カードをランダムに配る

シンプルなカードゲームを作ってみたい。でも難しそう。というかどうやって考えたらいいのか分からない。そこで、任意のスートと数字のカードをランダムに配るツール『ランダムディーラー』を作るところから考えてみた。


今後の拡張予定

  • 手札の中身をスートで並び変えるようにする。
  • スートの種類を別の記号などに変えられるようにする。



ランダムディーラー(任意のデックのカードをランダムに配るよ!)


◆プレイヤーの人数 1人 2人 3人 4人 5人 6人 7人
   
◆カード情報 スート数: (最大10)
   
  数字:
    (例:トランプなら"1-13"。偶数だけなら"2,4,6…"。数字以外の文字を入れるとスートの無いカードにできます。)
◆1人当たりに配る枚数

2013年4月 9日 (火)

【ボードゲームレビュー】ノイ ★★☆☆

Neu_01


評価:★★☆☆[2/4](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~7人

プレイ時間:20分ぐらい


うお、すげえ殴り合い。

簡単なゲームの流れ

  • ①各プレイヤーにカードとライオンのチップが配られる。カードには数字が書かれている。
  • ②時計回りに1枚ずつカードを出していき、出された数字分だけ数を足していく。
  • ③自分の番でカードを出した時に、足した数が101を超えると、ライオンの絵が付いたチップが没収される。自分の3枚のチップが没収されると負け。
  • ④特殊なカードとして、マイナスの数字のカード、手番の順番を逆転するカード、手番をスキップするカードなどがある。
  • ⑤最後までライオンのチップが没収されなかった人が勝ち。

Neu_02



ゲームの総評

ウノ(UNO)のようにシンプルで分かりやすい。しかし、特殊カードの出しあいがまさしく殴り合いの形になる。相手の体力が尽きるまで、お互いが攻撃し続ける。立ち上がれなくなった方の負け、という潔い戦い。

ほとんど運かと思う。カードを出す手順という意味では、あまり考えどころはない。

最初、ノイというからにはドイツのゲームなのかな?と思ったのだが、どうやら日本のカードゲームのようだ。

Neu_03


説明書の実戦例のページを見ると、浩一君、雅子さん、美子さん、博君の4人がいきなり出てくる。この唐突な感じ。なんかありがたい気分になる。日本のどこかでこのカードゲームが作られていると思うと、とても平和な気分になる。1988年からのベストセラーで今もアマゾンで買うことができる。

こういうシンプルなゲームはコミュニケーションゲームだよなあ、と思う。だから合計値である数字を声に出しながらプレイするのがいい。声を出すだけで、直接語り合わなくてもコミュニケーションになる。そこがゲームのいいところだと思う。


評価★★☆☆とした理由……ゲームとしてウノと同じくらいシンプルなので、当然物足りなさはある。しかし結構面白くて、ビックリした。

2013年4月 7日 (日)

【ダイジェスト第3弾】10分で分かる「ジンロリアン~人狼~」TBS系4/4放映【感想とまとめ】

テレビでこんなにも連続して人狼が放送されるなんて、1年前には予想もしていませんでした。前回、フジテレビ系で放映された「人狼~嘘つきは誰だ?~」に引き続き、4/4深夜にTBS系で「ジンロリアン~人狼~」という番組が放映されました。この記事は、ダイジェスト第3弾と銘打ち4/4に放映されたジンロリアンという番組の内容をまとめたものになります。

記事本文の前に一言!番宣で流れていた劇団ひとりさんの大げさな演技に"嫌なモノ"を感じて観なかった人!もし録画しているなら、我慢して最後まで観てみるのもいいと思います。僕はいい意味で裏切られました。

今回のテレビ放送の人狼で使われた役職は以下の2つ。
人間 : 人間。いわゆる村人。
人狼 : 毎夜人間を襲撃。お互いに誰が人狼か知っている。

占い師などの役職は一切なし!潔い構成。


出演者は以下の9名。人間7、人狼2の構成。以下、敬称略で書かせていただきます。

浅見れいな
綾部祐二 (ピース)
劇団ひとり
鈴木 拓 (ドランクドラゴン)
千葉雄大
濱田マリ
山崎樹範
山本美月
六角精児

  (五十音順)



ダイジェストは、僕自身の印象によって省略しながら書いているため、重要なシーンが抜けているかもしれません。その点はご容赦願います。また、誤りがあれば、ぜひ指摘いただければと。なお、本放送を録画している方は、できれば先に番組を見ていただいた方がいいと思います。あくまで振り返りとして読んでいただければ幸いです。以下の記事はネタばれ満載です。


※関連リンク




試合開始前に、誰が人狼か、誰が人間かは視聴者に知らされなかった。番組の公式Webサイトから視聴者もゲームに参加が可能で、最も人狼と疑わしい人を回答することができる。もし正解していれば番組の最後に名前が発表されるという番組構成であった。

ゲームの流れ:

1日目(人狼2、人間7)。ゲーム開幕当初、ピース綾部により、会話の口火が切られる。それに乗るように、ドランクドラゴン鈴木が、劇団ひとりが役職決めの時、カードを手で覆い隠すようにしていて怪しかったと発言する。

押し黙る劇団ひとり。黙っていることが怪しい、と山崎樹範(やましげ)からも劇団ひとりは突っ込みを受ける。「言い訳をしても無駄だから、黙ったのだ」と切り返す劇団ひとり。

議論は「しゃべると不利になる」という意見に満ちる。ここで沈黙を守ってきた千葉雄大が「鈴木の劇団ひとりへの疑い発言によって、場が乱れた」という意見を述べる。それに悪乗りするように、劇団ひとりが鈴木に「犠牲になってくれ」と求める。

話が変な方向に向かうのを必死に留めようとする鈴木に、業を煮やすような態度で劇団ひとりが「じゃあ、俺が犠牲になりますよ」とよく分からない発言。それを捉えて綾部が「そんなこと言い出すなんて、やっぱりひとりさん怪しい」と話を戻す。

1日目はどうしても情報が少ないため、ゲームをするというよりも、どうやって"しゃべくり"を見せるか、という観点でできあがってしまった感じ。劇団ひとりの激情型演技も視聴者を置いてけぼりにする。※と言うか、出演者のみんなはもっと、劇団ひとりのギャグ(激情型演技)をちゃんと笑うべきだったと思うんだけどなー。

議論があまり進まないまま、1日目の処刑のための投票時間が来る。劇団ひとりは綾部に投票し、「冷静すぎて怪しい」とコメント。このコメントが効いたのか、残りのほぼ全員が綾部に投票してしまう。場があまりにも偏るのもいささか不思議。しかし、結局、ピース綾部が処刑される。

そして、このゲームの特徴は、この処刑後にある。なんと処刑された瞬間、その人が人間だったか狼だったか参加者全員に明らかになるのだ。

絶対に死なない確定霊媒師がいるようなゲームと言えるかもしれない。結局、綾部は人間だった。

そして、1日目の夜、ドランクドラゴン鈴木が襲撃される。

2日目(人狼2、人間5)。怪しいと思う人を全員で投票。最も票を集めたのが六角精児。2日目も劇団ひとりが饒舌に語る。「昨日とても怪しかった俺をかばった六角が怪しい」と言う。うーん、よく分からない論理だけど、いつまでその強気キャラを続けるのだろうと、村人よりも視聴者を不安に陥れる劇団ひとり。

そして山崎樹範ことやましげが「六角さんは昨日、綾部さんが人間か狼かの判断が下るときに、目をつぶってそちらを見ていなかった。だから怪しい」という意見を表明する。新たな事実の提示に場が動く。

妙な説得力を持つやましげの指摘に対して、六角は「自分が(処刑に)選ばれなくてホッとしていただけ」と返答。代わりに六角は発言数の少ない山本美月へ疑いを向ける。

劇団ひとりに代わって、場をしきりはじめたやましげに突然話を振られた濱田マリ。これまた彼女も口数が少ない。濱田は千葉への疑いを口にする。しかし、特に根拠らしい根拠はない。

みんながそれぞれ別の人を疑っている。事態を打開していく道筋が見えない。人狼らしい展開もなく、観ている方としても不安になる。言い掛かりも人狼の面白みだが、一体どう進むのか分からない。ドラマ的演出がしたいのかしたくないのか、番組意図が分からず、ある意味怖くなってくる。

そして、ヒートアップする議論が観ているものの心をクールダウンさせる。しかし同じ熱い演技をしてても、六角精児の演技はなぜかほっとする。不思議なものだ。一方劇団ひとりの熱い演技がうざい。

2日目の処刑投票の時間が来る。六角に票が入っていく中で、濱田マリが「六角さんに票が入るたびに安心している人が2人いる」と言って、その一人として劇団ひとりに処刑を投票する。妥当な投票。ここで投票における空気が変わっていく。

結局、最多投票は、劇団ひとり2票、やましげ2票、六角精児2票となり、3人の決選投票となった。最終的に、決選投票で劇団ひとりが処刑されることになった。

劇団ひとりは大仰な演技で処刑されるのを拒もうとする。この辺りで観るのに耐えられなくてチャンネルを変えてしまった人、気持ちは分かるが少しもったいなかった。実はこの後、憑き物が落ちたようにゲームは人狼らしくなっていく。

処刑後、劇団ひとりの正体が明かされる。彼は人狼だった。参加者の顔に笑顔が戻る。全員が人狼を退治できたことを喜びあい、やましげは「あともう一人の人狼も分かった!」と興奮気味に語る。なんというか、このリラックスした感じが自然なんじゃないか。劇団ひとりの罪は重いように思う。(ちなみに僕は劇団ひとりのファンです)

2日目の夜。濱田マリが襲撃されて消えた。

3日目(人狼1、人間4)。議論を始める前に、「一番信頼できる人はだれか」をみんなで投票。なるほど、ちょっと面白い投票内容だ。ここで六角と浅見れいなが票を稼ぐ。浅見れいなは冷静な振る舞い、六角は劇団ひとりと対立していた事実。それぞれの理由で人間であると信頼された。

ここでやましげが冷静に前日の投票結果を分析する。決選投票で山本美月と浅見れいなは劇団ひとりに投票しなかった。その事実を改めて指摘したのだ。つまり「そのどちらかは人狼"劇団ひとり"を守ったのではないか」と、定番の人狼ロジック。面白くなってきた。

一方、六角はやましげに対して疑いをかける。やましげは六角を最も信頼する人間だと言っている。そのことに六角は感謝しつつも「なぜ前日の最後に、『もう一人の人狼が分かった』などと言ったのか?そんなことを言ったのに、今生き延びているのは怪しいのではないか」とやましげを非難する。

六角の冷静な分析。一応、理はある。やましげはそれに対して「あれは人狼への挑発だった。あんなことを言って殺されないのは、人狼に絶対に疑われないという自信があったからだ。つまり最も今信頼されている人、浅見れいなさん、あたなが人狼です」と宣言。

うーむ。そういう考え方もあるかも。確かに決選投票で浅見は劇団ひとりに入れなかったのは確かだしなあと、見ている僕も迷う。

突然水を向けられた浅見。しかし浅見は糾弾してくるやましげを疑っていないと言う。むしろ千葉雄大を疑っていると発言。ここで浅見は「ゲーム最初の役職決定時に、カードを見た千葉の耳が真っ赤だったのが疑わしい」と新事実を提示する。

それを受けてやましげは「場をかく乱しようとしている。特に疑われていなかった千葉の名前を出して、この急場を凌ごうとしているじゃないか」と更に糾弾する。これは一理ある。なにより千葉は人狼である劇団ひとりに決選投票で投票している。つまり、浅見の理屈は狼ラインを疑われないように千葉がわざと劇団ひとりに投票した、と言っていることにもなってしまう。千葉のいかにも人狼ゲームに慣れていない感じからも、その線は薄いようにも思えてしまう。おー、ようやく疑心暗鬼になってきた。人狼らしい展開。

本ゲームであまりしゃべらない山本美月はやましげに疑いを向ける。やましげは信頼する六角に意見を求める。六角曰く「やましげの発言に対する、浅見の反応を見ていると、あんたかもしれない」と浅見を疑う発言。やましげは信頼を勝ち取り、「よしっ!」とガッツポーズ。

各人の疑いが交錯する中で、3日目の処刑投票の時間となる。票を集めたのは2人。一人は浅見れいな。そしてもう一人が何と千葉雄大。六角と浅見が千葉に投票した結果だった。六角は浅見への疑いを持ちつつも、最後に浅見を信じた格好になった(浅見は千葉を疑っているので)。

浅見と千葉の決選投票。結局山本美月とやましげの2人が浅見に投票して2票。六角は千葉に投票して1票。処刑は浅見れいなに決まった。

処刑後、浅見の正体が明かされる。浅見は人間だった。崩れ落ちるやましげ。

3日目の夜。ここで千葉雄大が襲撃を受ける。

4日目(人狼1、人間2)。最終日。処刑対象によって勝敗が決定する。やましげは前日に浅見を間違って処刑してしまったことで放心状態。意外に誰が人狼か確信を持てない。やましげは過剰に落ち込む様子が逆に怪しく見える。六角は、なんだかんだ言って生き残ってきた。実は狼の劇団ひとりと喧嘩していたのも演技だったかもしれない。そしてひたすら冷静寡黙な山本美月。慣れない人狼は寡黙になりがち。三者三様で、誰もが人狼にも思える。視聴者としてはとても面白い。

「分からない」「疑わしい」の応酬の中で、処刑のための投票時間が来る。最初、山本美月が最初の投票をしようとするが、「もう少し考えたい」と投票を譲る。結局六角が最初に投票。投票先はやましげ。

二人目の投票はやましげ。「まだ終わりじゃない」と言って、彼は山本に投票する。やましげ曰く「山本美月さん、もしあなたが人間ならば、六角さんに投票して、3人1票ずつの状態にすべき。それしか生き残る道はない」

なかなか面白い発言。そして最後の投票、山本美月。彼女は、結局、やましげに投票した。投票が2票集まったやましげが処刑された。

そして4日目の夜が訪れる。最後に生き残ったのは、山本美月1人のみ。彼女は人狼だった。六角が最後まで人狼に騙された格好になった。

結果: 人狼勝利

感想: 終盤は、予想想以上に面白かった。番組の最初の方は劇団ひとりの過剰な演技がとても鼻についてしまい「なんか裏設定でもあるのかな?笑っちゃいけない、とか」と無駄に勘繰ってしまった。ああいう芸だったんだなあ、と今思えば思うのだけど、人狼をゲームとして楽しみたい人にはとても評判が悪かっただろうと思う。参加者も劇団ひとりに呑まれるように芝居がかった演技をしていたのは閉口した。しかし、劇団ひとりがいなくなってから番組が俄然人狼ぽくなった。そして、とても面白いゲームになった。

役職がない人狼、と聞いて経験者は嫌な予感しかしなかったと思う。しかし、3/27のフジテレビの「人狼~嘘つきは誰だ?~」よりも、ある意味、人狼的な醍醐味に満ちていたのではないかと思う。当初、このダイジェストはあまり書くつもりがなかったのだが、最初の予想を良い意味で裏切り、とても面白かったので記事にしてしまった。視聴者もかなり一緒になって疑心暗鬼になれたんではないかと思う。

特に、番組最後のネタばらし(夜の人狼の会話)の部分がとても良かった。普通に振る舞う劇団ひとりを見ているだけでホッとするなんて、少し複雑な気分だが。



最後に、この人狼番組ラッシュの中で感じたことを少し。

これまで3本の人狼番組のダイジェストを書いたが、正直言うと、今後の人狼番組に対しては期待よりも不安を感じている。今後の人狼番組がどう発展していくのか、どのような新鮮な試合を見せてくれるのか全く想像できない。

最初、「将棋棋士の人狼」のダイジェスト記事を書いた時、人狼観戦は新しい娯楽の1つになるんじゃないかと、期待に胸が膨らんだ。しかし、今回のジンロリアンを見て一切役職なしというシンプルなゲームでありながら、十分人狼として面白かった点が、逆に少しショックだった。

今、僕の中で『人狼観戦』は「忘れたころに、時々見たら面白い見世物」ぐらいに考えている。正直言えば、芸人さんの喋りや放送作家や構成作家がゴリゴリに考えた企画の面白さの方が、単純に娯楽として「強そう」だなと思ってしまった。頭脳バトル的なヘキサゴンがいつの間にか紳介による「バカをいじる番組」になってしまったように、広く浸透していくには、人狼というゲームは少し定番としての「強度」が足りないように思った。

それこそ、ニコ生や深夜番組で、時々たしなむように人狼観戦を楽しめれば、それでいいのかもしれない。そうした「こじんまりとした楽しみ方」の方が、人狼好きにとって幸せなのかもしれない。

人狼の普及や浸透ということにおいては、むしろドロッセルマイヤーズさんの「超・嘘つき村の人狼」などのリアルなイベントの方が、ずっと人狼としての魅力を維持しつつ、広まっていく原動力になるように思った。

もちろん、テレビの影響力はとても大きい。人狼という名前も、テレビで放映されたことで、これまで以上に普及したと思う。そして、もちろん今後放映される人狼は僕のつまらない予想を凌駕して面白いものになるかもしれない。もし、そうした予想を裏切る面白い人狼番組が見れたときに、改めて感想を書いてみようと思う。

2013年4月 4日 (木)

【ボードゲームレビュー】日本の城 ★☆☆☆

Japanese_castle_02

評価:★☆☆☆[1/4](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:1~4人(やりようによってはそれ以上でもプレイ可能)

プレイ時間:10分~30分ぐらい


ダメすぎていとおしい。

簡単なゲームの流れ

  • ①各プレイヤーは、壁と床を何枚か持つ。
  • ②床を置く。
  • ③床の上に壁を置く。
  • ④その上にまた床を置く。
  • ⑤以上を繰り返し、規定段数以上積み上げたら勝ち。

Japanese_castle_01

↑たったこれだけ積み上げるのに悪戦苦闘。


ゲームの総評

質がそれほど良くないトランプを渡されて、「はい、トランプタワー作って」というゲーム。「え?作るの?」という戸惑いもなんのその。みな黙々とお城を作る。インタラクション?何それ?食えんの?てなもんである。

これがまた、全然組み立てられない。すぐ崩れる。2段、3段積み上げてから難しくなるのではなくて、いきなり1段目から難しい。

なんかルール間違ってない?と思うわけだが、間違っているも何もない。「一人賽の河原」をやるのだ。

しかし、このゲーム、僕は一番で3段まで組み立ててしまった。(今回は3段まで組み上げるルールだった)。自慢。凄い。みんなが苦労している中、最速で規定段数を組み上げた。コツをたまたま掴んだからだ。(コツと言っても大したことなくて、屋根と壁を同時に置くと積み上げやすいのだ。上から押さえつけることでトランプタワーも安定する。)

このコツをつかむと異様にいとおしくなるのが、このゲームの不思議なところだ。まあそれでもダメすぎるのはフォローしようがない。しかしこの未完成感がたまらない。ついその先に何かがあるような気がしてしまう。

もちろん、それは勘違いにすぎないだろう。やたら難しいトランプタワーを組み立てた、その満足感に目が眩んでいるだけなのだと思う。

しかしなぜかあまり憎む気になれない。それはきっと、このゲームが全然こちらを騙そうとしていないからだと思う。この、小さすぎて少し扱いづらいコンポーネント、何となく日本の城っぽい形や見た目、不安定なのに懸命に立ち続けるその姿。小さい子供の無邪気な姿に、ハッと胸を衝かれるような、そんな飾らない姿勢についつい顔がほころんでしまう。そんなゲームだ。

突っ込みどころは無数にある。だいたいがパッケージ絵からして城じゃないし(ページトップを参照)。ゲーム自体はとても無邪気でも、そのタイトルと雰囲気にこそ騙されたよ!と思う人も多いかもしれない。

でもね、僕はやっぱり憎めない。


評価★☆☆☆とした理由……面白いけど、ダメな部分もあります。まあ、でも、それがいい。

2013年4月 1日 (月)

【ボードゲームレビュー】ボイン星人襲来!! ★★☆☆

Boin_seijin_01


評価:★★☆☆[2/4](4~7人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~081人

プレイ時間:0.81分ぐらい


洗練された面白さ。

簡単なゲームの流れ

  • ①カードの表面には、母音「あいうえお」と「ん」の6文字のいずれかが書かれている。カードの裏面には、2~4の数字が書かれている。。
  • ②山札を作り、一番上のカードの数字分の枚数のカードをめくり、表にして母音の文字列を作るように並べる。
  • ③並んだ母音を持つ言葉を思い付いた人は、手を挙げて発表する。「ういあ」と並んでいた場合なら、例えば「すいか」という言葉が正解になる。辞書にあるような言葉やみんながOKとする言葉なら正解。
  • ④正解した人は並んだカードの1枚を取り、また山札からカードを補充して母音の文字列を作る。
  • ⑤山札がなくなるまで繰り返し、最も正解した人が勝ち。

Boin_seijin_02

↑この時プレイした中でも最難関問題。今だに正解を思いつけていない。「ディケンズ」?とか。


ゲームの総評

見た目のキワモノっぽさとは違い、とても堅実なゲーム。どこかに既にあった遊びではないかと思うほどにシンプルかつ洗練されていて、しかも楽しい。

最初は4人ぐらいで始めたのに、いつのまにかみんなが集まって大勢で遊んでいる。とてもオープンで肩の凝らないゲーム。いつ参加しても、いつ抜けてもOKだ。それって凄いことじゃないかと思う。

個人的に面白いと思ったのが、正解を思いついているにも関わらず、その正解を口にしない場合があることだ。例えば、「あい」とカードが並んでいて、これなんかはすぐに正解が思いつく。「かい(貝)」とか「あし(足)」とかだ。

でもこんなすぐに思いつくような、しかも母音をそのまま使っている言葉より「もっと変な言葉はないだろうか」と勝手に探ってしまったりする。

もちろんちゃんと勝負することも楽しいのだけど、みんなで妙な空気の読み合いをして、独特のゲーム空間が形成されていくのが面白い。よく考えれば、しりとりをやっている時も、単に思いついた言葉を言うだけでなくて、面白い言葉を探ろうとすることはよくある。

一方で、思いついた言葉を不用意にパッと口にして、「おー、正解ー。いいねー」とみんなから祝福されたりもする。直接的な相手との掛け合いでなくとも、言葉遊びは自然とコミュニケーションゲームになる。

気持ちまで手ぶらで参加できる、そんな「場」を作るゲームというのはとても素敵だ。


評価★★☆☆とした理由……このゲームはシンプルさがいいのだけど、プレイしている内にもう少しギトっとした濃いものが欲しくなってくる。そして、もう少しスパイスを加えられないかと考えてみたりする。単なる無いものねだりであり、場が温まったところで、他のゲームをやればいいということなんだろう。

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