テレビでこんなにも連続して人狼が放送されるなんて、1年前には予想もしていませんでした。前回、フジテレビ系で放映された「
人狼~嘘つきは誰だ?~」に引き続き、4/4深夜にTBS系で「
ジンロリアン~人狼~」という番組が放映されました。この記事は、ダイジェスト第3弾と銘打ち4/4に放映された
ジンロリアンという番組の内容をまとめたものになります。
記事本文の前に一言!番宣で流れていた劇団ひとりさんの大げさな演技に"嫌なモノ"を感じて観なかった人!もし録画しているなら、我慢して最後まで観てみるのもいいと思います。僕はいい意味で裏切られました。
今回のテレビ放送の人狼で使われた役職は以下の2つ。
人間 :
人間。いわゆる村人。
人狼 :
毎夜人間を襲撃。お互いに誰が人狼か知っている。
※占い師などの役職は一切なし!潔い構成。
出演者は以下の9名。人間7、人狼2の構成。以下、敬称略で書かせていただきます。
浅見れいな
綾部祐二
(ピース)
劇団ひとり
鈴木 拓
(ドランクドラゴン)
千葉雄大
濱田マリ
山崎樹範
山本美月
六角精児
(五十音順)
ダイジェストは、僕自身の印象によって省略しながら書いているため、重要なシーンが抜けているかもしれません。その点はご容赦願います。また、誤りがあれば、ぜひ指摘いただければと。なお、本放送を録画している方は、できれば先に番組を見ていただいた方がいいと思います。あくまで振り返りとして読んでいただければ幸いです。以下の記事はネタばれ満載です。
※関連リンク
試合開始前に、誰が人狼か、誰が人間かは視聴者に知らされなかった。番組の公式Webサイトから視聴者もゲームに参加が可能で、最も人狼と疑わしい人を回答することができる。もし正解していれば番組の最後に名前が発表されるという番組構成であった。
ゲームの流れ:
1日目(人狼2、人間7)。ゲーム開幕当初、ピース綾部により、会話の口火が切られる。それに乗るように、ドランクドラゴン鈴木が、劇団ひとりが役職決めの時、カードを手で覆い隠すようにしていて怪しかったと発言する。
押し黙る劇団ひとり。黙っていることが怪しい、と山崎樹範(やましげ)からも劇団ひとりは突っ込みを受ける。「言い訳をしても無駄だから、黙ったのだ」と切り返す劇団ひとり。
議論は「しゃべると不利になる」という意見に満ちる。ここで沈黙を守ってきた千葉雄大が「鈴木の劇団ひとりへの疑い発言によって、場が乱れた」という意見を述べる。それに悪乗りするように、劇団ひとりが鈴木に「犠牲になってくれ」と求める。
話が変な方向に向かうのを必死に留めようとする鈴木に、業を煮やすような態度で劇団ひとりが「じゃあ、俺が犠牲になりますよ」とよく分からない発言。それを捉えて綾部が「そんなこと言い出すなんて、やっぱりひとりさん怪しい」と話を戻す。
1日目はどうしても情報が少ないため、ゲームをするというよりも、どうやって"しゃべくり"を見せるか、という観点でできあがってしまった感じ。劇団ひとりの激情型演技も視聴者を置いてけぼりにする。※と言うか、出演者のみんなはもっと、劇団ひとりのギャグ(激情型演技)をちゃんと笑うべきだったと思うんだけどなー。
議論があまり進まないまま、1日目の処刑のための投票時間が来る。劇団ひとりは綾部に投票し、「冷静すぎて怪しい」とコメント。このコメントが効いたのか、残りのほぼ全員が綾部に投票してしまう。場があまりにも偏るのもいささか不思議。しかし、結局、ピース綾部が処刑される。
そして、このゲームの特徴は、この処刑後にある。なんと処刑された瞬間、その人が人間だったか狼だったか参加者全員に明らかになるのだ。
絶対に死なない確定霊媒師がいるようなゲームと言えるかもしれない。結局、綾部は人間だった。
そして、1日目の夜、ドランクドラゴン鈴木が襲撃される。
2日目(人狼2、人間5)。怪しいと思う人を全員で投票。最も票を集めたのが六角精児。2日目も劇団ひとりが饒舌に語る。「昨日とても怪しかった俺をかばった六角が怪しい」と言う。うーん、よく分からない論理だけど、いつまでその強気キャラを続けるのだろうと、村人よりも視聴者を不安に陥れる劇団ひとり。
そして山崎樹範ことやましげが「六角さんは昨日、綾部さんが人間か狼かの判断が下るときに、目をつぶってそちらを見ていなかった。だから怪しい」という意見を表明する。新たな事実の提示に場が動く。
妙な説得力を持つやましげの指摘に対して、六角は「自分が(処刑に)選ばれなくてホッとしていただけ」と返答。代わりに六角は発言数の少ない山本美月へ疑いを向ける。
劇団ひとりに代わって、場をしきりはじめたやましげに突然話を振られた濱田マリ。これまた彼女も口数が少ない。濱田は千葉への疑いを口にする。しかし、特に根拠らしい根拠はない。
みんながそれぞれ別の人を疑っている。事態を打開していく道筋が見えない。人狼らしい展開もなく、観ている方としても不安になる。言い掛かりも人狼の面白みだが、一体どう進むのか分からない。ドラマ的演出がしたいのかしたくないのか、番組意図が分からず、ある意味怖くなってくる。
そして、ヒートアップする議論が観ているものの心をクールダウンさせる。しかし同じ熱い演技をしてても、六角精児の演技はなぜかほっとする。不思議なものだ。一方劇団ひとりの熱い演技がうざい。
2日目の処刑投票の時間が来る。六角に票が入っていく中で、濱田マリが「六角さんに票が入るたびに安心している人が2人いる」と言って、その一人として劇団ひとりに処刑を投票する。妥当な投票。ここで投票における空気が変わっていく。
結局、最多投票は、劇団ひとり2票、やましげ2票、六角精児2票となり、3人の決選投票となった。最終的に、決選投票で劇団ひとりが処刑されることになった。
劇団ひとりは大仰な演技で処刑されるのを拒もうとする。この辺りで観るのに耐えられなくてチャンネルを変えてしまった人、気持ちは分かるが少しもったいなかった。実はこの後、憑き物が落ちたようにゲームは人狼らしくなっていく。
処刑後、劇団ひとりの正体が明かされる。彼は人狼だった。参加者の顔に笑顔が戻る。全員が人狼を退治できたことを喜びあい、やましげは「あともう一人の人狼も分かった!」と興奮気味に語る。なんというか、このリラックスした感じが自然なんじゃないか。劇団ひとりの罪は重いように思う。(ちなみに僕は劇団ひとりのファンです)
2日目の夜。濱田マリが襲撃されて消えた。
3日目(人狼1、人間4)。議論を始める前に、「一番信頼できる人はだれか」をみんなで投票。なるほど、ちょっと面白い投票内容だ。ここで六角と浅見れいなが票を稼ぐ。浅見れいなは冷静な振る舞い、六角は劇団ひとりと対立していた事実。それぞれの理由で人間であると信頼された。
ここでやましげが冷静に前日の投票結果を分析する。決選投票で山本美月と浅見れいなは劇団ひとりに投票しなかった。その事実を改めて指摘したのだ。つまり「そのどちらかは人狼"劇団ひとり"を守ったのではないか」と、定番の人狼ロジック。面白くなってきた。
一方、六角はやましげに対して疑いをかける。やましげは六角を最も信頼する人間だと言っている。そのことに六角は感謝しつつも「なぜ前日の最後に、『もう一人の人狼が分かった』などと言ったのか?そんなことを言ったのに、今生き延びているのは怪しいのではないか」とやましげを非難する。
六角の冷静な分析。一応、理はある。やましげはそれに対して「あれは人狼への挑発だった。あんなことを言って殺されないのは、人狼に絶対に疑われないという自信があったからだ。つまり最も今信頼されている人、浅見れいなさん、あたなが人狼です」と宣言。
うーむ。そういう考え方もあるかも。確かに決選投票で浅見は劇団ひとりに入れなかったのは確かだしなあと、見ている僕も迷う。
突然水を向けられた浅見。しかし浅見は糾弾してくるやましげを疑っていないと言う。むしろ千葉雄大を疑っていると発言。ここで浅見は「ゲーム最初の役職決定時に、カードを見た千葉の耳が真っ赤だったのが疑わしい」と新事実を提示する。
それを受けてやましげは「場をかく乱しようとしている。特に疑われていなかった千葉の名前を出して、この急場を凌ごうとしているじゃないか」と更に糾弾する。これは一理ある。なにより千葉は人狼である劇団ひとりに決選投票で投票している。つまり、浅見の理屈は狼ラインを疑われないように千葉がわざと劇団ひとりに投票した、と言っていることにもなってしまう。千葉のいかにも人狼ゲームに慣れていない感じからも、その線は薄いようにも思えてしまう。おー、ようやく疑心暗鬼になってきた。人狼らしい展開。
本ゲームであまりしゃべらない山本美月はやましげに疑いを向ける。やましげは信頼する六角に意見を求める。六角曰く「やましげの発言に対する、浅見の反応を見ていると、あんたかもしれない」と浅見を疑う発言。やましげは信頼を勝ち取り、「よしっ!」とガッツポーズ。
各人の疑いが交錯する中で、3日目の処刑投票の時間となる。票を集めたのは2人。一人は浅見れいな。そしてもう一人が何と千葉雄大。六角と浅見が千葉に投票した結果だった。六角は浅見への疑いを持ちつつも、最後に浅見を信じた格好になった(浅見は千葉を疑っているので)。
浅見と千葉の決選投票。結局山本美月とやましげの2人が浅見に投票して2票。六角は千葉に投票して1票。処刑は浅見れいなに決まった。
処刑後、浅見の正体が明かされる。浅見は人間だった。崩れ落ちるやましげ。
3日目の夜。ここで千葉雄大が襲撃を受ける。
4日目(人狼1、人間2)。最終日。処刑対象によって勝敗が決定する。やましげは前日に浅見を間違って処刑してしまったことで放心状態。意外に誰が人狼か確信を持てない。やましげは過剰に落ち込む様子が逆に怪しく見える。六角は、なんだかんだ言って生き残ってきた。実は狼の劇団ひとりと喧嘩していたのも演技だったかもしれない。そしてひたすら冷静寡黙な山本美月。慣れない人狼は寡黙になりがち。三者三様で、誰もが人狼にも思える。視聴者としてはとても面白い。
「分からない」「疑わしい」の応酬の中で、処刑のための投票時間が来る。最初、山本美月が最初の投票をしようとするが、「もう少し考えたい」と投票を譲る。結局六角が最初に投票。投票先はやましげ。
二人目の投票はやましげ。「まだ終わりじゃない」と言って、彼は山本に投票する。やましげ曰く「山本美月さん、もしあなたが人間ならば、六角さんに投票して、3人1票ずつの状態にすべき。それしか生き残る道はない」
なかなか面白い発言。そして最後の投票、山本美月。彼女は、結局、やましげに投票した。投票が2票集まったやましげが処刑された。
そして4日目の夜が訪れる。最後に生き残ったのは、山本美月1人のみ。彼女は人狼だった。六角が最後まで人狼に騙された格好になった。
結果:
人狼勝利
感想: 終盤は、予想想以上に面白かった。番組の最初の方は劇団ひとりの過剰な演技がとても鼻についてしまい「なんか裏設定でもあるのかな?笑っちゃいけない、とか」と無駄に勘繰ってしまった。ああいう芸だったんだなあ、と今思えば思うのだけど、人狼をゲームとして楽しみたい人にはとても評判が悪かっただろうと思う。参加者も劇団ひとりに呑まれるように芝居がかった演技をしていたのは閉口した。しかし、劇団ひとりがいなくなってから番組が俄然人狼ぽくなった。そして、とても面白いゲームになった。
役職がない人狼、と聞いて経験者は嫌な予感しかしなかったと思う。しかし、3/27のフジテレビの「
人狼~嘘つきは誰だ?~」よりも、ある意味、人狼的な醍醐味に満ちていたのではないかと思う。当初、このダイジェストはあまり書くつもりがなかったのだが、最初の予想を良い意味で裏切り、とても面白かったので記事にしてしまった。視聴者もかなり一緒になって疑心暗鬼になれたんではないかと思う。
特に、番組最後のネタばらし(夜の人狼の会話)の部分がとても良かった。普通に振る舞う劇団ひとりを見ているだけでホッとするなんて、少し複雑な気分だが。
最後に、この人狼番組ラッシュの中で感じたことを少し。
これまで3本の人狼番組のダイジェストを書いたが、正直言うと、今後の人狼番組に対しては期待よりも不安を感じている。今後の人狼番組がどう発展していくのか、どのような新鮮な試合を見せてくれるのか全く想像できない。
最初、「
将棋棋士の人狼」の
ダイジェスト記事を書いた時、人狼観戦は新しい娯楽の1つになるんじゃないかと、期待に胸が膨らんだ。しかし、今回のジンロリアンを見て一切役職なしというシンプルなゲームでありながら、十分人狼として面白かった点が、逆に少しショックだった。
今、僕の中で『人狼観戦』は「忘れたころに、時々見たら面白い見世物」ぐらいに考えている。正直言えば、芸人さんの喋りや放送作家や構成作家がゴリゴリに考えた企画の面白さの方が、単純に娯楽として「強そう」だなと思ってしまった。頭脳バトル的なヘキサゴンがいつの間にか紳介による「バカをいじる番組」になってしまったように、広く浸透していくには、人狼というゲームは少し定番としての「強度」が足りないように思った。
それこそ、ニコ生や深夜番組で、時々たしなむように人狼観戦を楽しめれば、それでいいのかもしれない。そうした「こじんまりとした楽しみ方」の方が、人狼好きにとって幸せなのかもしれない。
人狼の普及や浸透ということにおいては、むしろ
ドロッセルマイヤーズさんの「
超・嘘つき村の人狼」などのリアルなイベントの方が、ずっと人狼としての魅力を維持しつつ、広まっていく原動力になるように思った。
もちろん、テレビの影響力はとても大きい。人狼という名前も、テレビで放映されたことで、これまで以上に普及したと思う。そして、もちろん今後放映される人狼は僕のつまらない予想を凌駕して面白いものになるかもしれない。もし、そうした予想を裏切る面白い人狼番組が見れたときに、改めて感想を書いてみようと思う。