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2013年5月 1日 (水)

【日記】ゲームマーケット(GM)2013春-目的を持てない人のためのGMの歩き方-

ゲームマーケット2013春。何か新鮮なものに出会えるのではないか、そんな期待に胸が膨らむ。

しかし、ふと冷静になると「自分は何のためにゲームマーケットに行くのだろう」と疑問に思う。実はあまり明確な目的はない。ゲームマーケットへの参加も、今回がたったの2回目であり、正直言うと、何が注目すべきゲームなのかもあまり分かっていない。カタログを事前に購入した割には、ほとんど目を通すこともなく、このゲームが絶対に欲しいというわけでも、このゲームは必ず試遊してみるぞ、なんて思うわけでもない。

気づくと、目的らしい目的を一つも持たないままに僕は有明の東京ビッグサイトに向かっている。

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しかし、断言しよう。それでもゲームマーケットは楽しい。行ける機会があり、ボードゲームが好きなら行くべきだ。この記事では、そんな明確な目的を持てない僕がゲームマーケットをどう楽しんだのか、そのためのポイントを紹介しつつ、ゲームマーケットレポートを書いてみたい。


■ポイント1 予算を決めよう

一応、ゲームマーケットはその名が示すように販売会なわけだ。ここにはみんな何かを買おうと思ってやってくる。重要なのは、事前に「○○買うぞ!」とそんなに気張らなくていい、ということだ。そんなのは疲れる。事前に準備や調査がかなり必要になってしまう。もちろんそれをするのに越したことはないけれど、どうしてもしなくていけないわけではない。しかし、予算だけは決めておこう。これを決めておくだけでかなりゲームマーケットを回るのが楽になるはずだ。

ちなみに僕は5000円という予算を決めていた。少ない?確かに少ない。ツイッターなどでボードゲーム好きの会話やツイートを見ていると凄まじい数の戦利品報告があったりする。なんか気が引ける。でも、別にいいのだ、予算が少なくても。とにかく決めておくことが重要だ。ちなみに僕の場合は予算を二段階定額のように決めている。上限が2つあるのだ。1つが5000円。もう一つがその1.5倍である7500円。5000円は超えてもいいけど、7500円は必ず守る。

まあ、端から5000円で収める気はないんじゃないの?と妻からはツッコまれそうだけど、心に少しだけ余裕を持っておくのも大切だと思う。(ちなみに財布には3万円入れておいたことは妻には言ってない。言わなくてもいいこともあるのだ。)


■ポイント2 何の行列か聞こう

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↑サムネイルだと分かりづらいが、ビッグサイト前の橋を埋める長い行列。

国際展示場正門駅に降りたら、凄まじい行列が目に入る。あれがGMの行列なら、帰ろうかと思うほどに並んでいる。聞いてみると、どうやら「COMIC1」という同日開催の別イベントの行列のようで、ホッとする。

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しかし、実際にゲームマーケット会場に入ってすぐ、これまた長い行列が目に飛び込んできた。まさかと思い聞いてみると「カナイ製作所さんの行列です」とのこと。僕はカナイさんが作られたラブレターというゲームが大好きなのだ。ずっと欲しいと思っていた。何より500円だ。けれど、本当にこの列に並ぶの?と一瞬躊躇した。しかし、思い切って並んだ。僕の大好きなラブレターを手に入れる機会をここで取り逃がすのは惜しかったからだ。しかし、並んでみてよかった。というかその前に何の行列か思い切って聞いてよかった。無事、ラブレターを入手することができた。

ゲームマーケットは一般の商業ベースのお店も並んでいるが、スペースを多く取っているのは数多の同人サークルだ。長い行列ができているというだけでも、不案内な僕には大きな指標になる。行列ができていたら、迷わず聞いみて、どんなゲームを扱っているか知るのがいいだろう。少しでも興味を持てたら、あとは並ぶだけだ。

しかし、今回のカナイ製作所さんの並びは異常だった。開始1時間程度で解消されたように思うけれど、カナイ製作所の行列で、隣にあったJapon Brandさんのイベントスペースが機能していなかったのが印象的だった。

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■ポイント3 過度な期待を捨てよう

高円寺のすごろくやさんをはじめ、店舗としてのボードゲーム専門店に行ったとき、無数のボードゲームに囲まれる幸せを感じた人は多いと思う。おいおい、これ全部ボードゲームかよ、まじかよと興奮して、目移りする恍惚感に酔った人もいるだろう。

しかし、ゲームマーケットでは無数のインディーズゲームがその場所を多く占めている。普段目にするような「ちゃんとした」商品でないことも多い。見た目も明らかだ。当然ながら素人くさいものも多い。もちろん中には普通に商品として売られるゲームより遥かに面白いゲームがあることもある。しかし、パッと見、大半の同人ゲームは普通の商品には勝てない。

だからと言って、これら同人ゲームを、偉そうに遠くから眺めるだけではもったいない。そして、全てのサークルを公平に見てまわる必要もない。それこそ足の向くまま、気の向くまま。たまたま足を止めたところに気になったものがあればいい。過度な期待に勝手に失望するのではなく、また全部を見ようとする必要もなく、ふらふらと藻のように漂うのが良いと思う。

そんなことをしているとこういう珍妙なサークルに出会うこともある。


この「フランケンデリバリー」というカードゲーム。売り子さんを含め、売り場スペースから漂う圧倒的な「やる気のなさ」臭。とにかくもうやる気が感じられない。チラシも長方形に切られておらずデコボコしている。イラストも完全に気が抜けている。素敵。やる気のなさが素敵すぎる。買うのを忘れて帰ってきてしまい、今、とても後悔している。


■ポイント4 三つ買おう

予算を決めたはいいが、なかなか欲しいものが見つからない。目的を持たない僕のような人間にはそういうこともあるかと思う。しかし、せっかく来たのだから、3つ買おう。なんでもいいから3つだ。3つだと、家に帰った後の満足度が大きく違う気がする。2つ買うより3つ買うことで、1.5倍以上の大きな満足感が得られる。

同人ゲームで欲しいものがない。ならば、いわゆる商業店舗ブースから買えばいい。テンデイズゲームズさん、ニューゲームズオーダーさん、すごろくやさん。素晴らしいお店がいくつも軒を並べている。こういうお店で買えばいいのだ。

『でも、駿河屋やAmazonで買えばもっと安く買えるかも?わざわざゲームマーケットで買わなくてもいいのでは?その方がお得じゃない?その方が賢いのではないか?』

ついつい少ない小遣いでやりくりしている大人は、そういうチンケなことを考えてしまう。その気持ちは痛いほど分かる。しかし考えてみてほしい。本当にあなたはそれをAmazonで買うだろうか。断言するけれど、絶対に買わない。いくら安いとは言え、家に帰ってAmazonで同じものを買うだろうか?昨日は買わなかったのに?家に帰った後の冷静な頭でそれを買う理由がない。

目の前に、とても素晴らしいゲームがあるなら、今そこで買うべきなのだ。
その馬鹿でかいパッケージがその魅力を如何なく発揮しているなら、その今こそが買い時だ。そうでないと、そのゲームは2度と手に入らない。買う、買わないが自分自身の意思だと思っているなら、それは傲慢でしかない。ゲームマーケットの熱に背中を押されるようにして買ってしまうことは恥ではない。それはとても自然なことなのだ。決断はいつだって効率や公平さを欠いている(キリッ(と僕は自らに言い聞かせて買った)。

ちなみに、それでもなかなか買えない時はあるかもしれない。そういう時は書籍を買ってみてはどうだろうか。同人サークルも本を売っているところもある。また、ゲームマーケットにはブックストアの書泉さんが出展している。1つのゲームを手に入れなくても、数十のゲームが紹介されている本をカタログのようにして買うのも、また一興だろうと思う。


■ポイント5 長居しない

だいたい見て回ったなあーと思ったら帰ろう。無理して長居する必要はない。せっかく来たんだから夜までココにいようなどと頑張らなくてもいい。たとえ帰宅の途についても、ゲームマーケットはまだ終わっていない。帰宅しても終わらない。買ってきたゲームや本をパラパラと見るという、大切な最後のイベントが待っている。

会場で十分に楽しみ、疲れ果てて帰ってきて泥のように眠るのもいいだろう。しかし、ゲームマーケットの勢いをそのままに、戦利品を眺める時間と心の余裕を持っておくのも、大人の楽しみ方の1つだろう。そこまでゆったりと楽しむことができたなら、きっと次のゲームマーケットもまた行こうと思えるのではないだろうか。


■最後に

今回僕がゲームマーケットで購入したのは以下のものだ。

  • ラブレター

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↑ずっと欲しかった一品。今回手に入って満足。


  • ロストレガシー

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↑抑制の効いたテーマ。ワクワクする想像力を少しだけ膨らませる楽しさに満ちている。


  • 酔いどれ猫のブルース

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↑面白い。とても素敵な競りゲーム。ブルースに関する知識がなくて、パロディを理解できてないのは、もったいないのかも。でもクニツィア先生、さすがだなあと思った。


  • ウントチュース

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↑まだ未プレイ。でもきっと面白いに違いないと、説明書を読んで確信している。


  • 紙製ダイスタワー(A4)

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↑紙製のダイスタワー。なかなか出来がいい。「ねことねずみの大レース」のサイコロだと途中で一瞬つまるけど、ツンツンするとちゃんと落ちてくる。娘とプレイする時に今度使おう。


  • テーブルゲームデザインの本 2号
↑惨劇RoopeRの記事が大変面白かった。真摯な記事がいつも通り素敵。


締めて、6800円也。僕は家で戦利品を眺めてニマニマしていた。いいもの選んだなあー、などとひとりごちては、その余韻を反芻する。こうして、目的を持たない僕にも十分に楽しめたゲームマーケットになった。

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