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2013年6月

2013年6月24日 (月)

【ボードゲームレビュー】街コロ ★★☆☆

Machikoro_01

評価:★★☆☆[2/4](4人プレイの評価です)

プレイ人数:2~4人

プレイ時間:30分ぐらい


冷静と情熱の間。

簡単なゲームの流れ

  • ①各プレイヤーは、手元の場に麦畑1つと牧場1つを持ってスタート。
  • ②手番ではサイコロを振り、出目の数字と同じ番号の施設から収入を得る。
  • ③施設によっては、出目によって特殊な効果がある場合もある。
  • ④収入により資金を増やして、施設をどんどん建てて、収入をさらに増やす。
  • ⑤特殊な建物(駅、ショッピングセンターなど)が4つあり、その4つの施設を一番早く建てた人が勝ち。

Machikoro_02



ゲームの総評


魅力的なイラスト。キャッチ―なコンセプト。親しみやすいテーマ。なんとも手に取りたくなるゲームであり、以前からずっとプレイしたいと思っていた。ここまで第一印象だけで「欲しくなる」ゲームというのも中々ないのではないかと思う。

ただ、周りから聞こえてくるゲームとしての評判は今一つだ。運に依り過ぎている、勝つための手順が固定化しがち、戦略の幅が狭い。そんな話をプレイする前から耳にしていた。実際にこれらがどうだったのか。結論としては、その通りかもしれないなあと思う。

しかし、今回初めて街コロをプレイして「とにかく快感度が高いゲームだ」と思ったのも本当だ。適度にサイコロが振れて、適度に拡大再生産が感じられて、適度に選択を迷うこともできる。結構、ゲームプレイ全体が軽やかな快感に満ちていて、プレイ自体は文句なく楽しい。

意外だったのは、自分が独自に作り上げてきた町並みを見ても、箱庭的な所有している感覚が薄いところ。段々とサイコロを振って自分の街から収入を得ることに興奮を感じなくなる。収入が得られることが当たり前すぎて、ゲーム開始当初に感じていた興奮もすぐにフラットになり、冷静にゲーム展開を追う格好になる。デカい金額が時々得られるので、その瞬間は、ビクン!と楽しさが増幅するのだけど、すぐにサイコロを振る簡単なお仕事に回帰していく。

こんなにもカラフルでバラエティに富んだ街が形成されているのに、不思議と平べったい印象だ。

それでも、このゲーム、手にする度、目にする度にやっぱり欲しい気持ちがムクムクと湧いてくる。できれば拡張セットも含めてほしい。手に入れたい欲求をクリクリと刺激してくる、そんな商品として手を出したくなる魅力に溢れていることも確かだ。

これだけ欲しくなる理由の一つとして、これが遊ばれているシーンというのが、とてもイメージしやすいということがあるだろう。家族と、親戚と、友人と、あらゆる場面で活躍してくれそうな街コロ。なんかそばにいて欲しいゲームなのだ。街コロの持っている可愛らしいイメージとは少し違う、骨太な魅力はその有用性にこそあるように思う。日本人が抱くボードゲームに期待すること、それに応える便利さを持っているのではないか。

冷静なゲームプレイと所有したくなる情熱。どこか不思議な感覚だ。


評価★★☆☆とした理由……面白いし、欲しくなるゲーム。でも、ちょっと値段が高いかな、という印象。もう少しゲームとしての奥行きが欲しい感じ。(ただし拡張入りを未プレイなので、拡張入れたら印象が変わるかもしれません)

2013年6月20日 (木)

【ボードゲームレビュー】あやつり人形 ★★☆☆

Citadels_01

評価:★★☆☆[2/4](7人プレイの評価です)

プレイ人数:2~7人

プレイ時間:90分ぐらい


難しくないのに、難しい。

簡単なゲームの流れ

  • ①各自最初にカードとお金が配られる。カードには様々な施設(建築物)が描かれている。
  • ②毎ターン、異なる特殊能力を持つ役職カードを、ドラフトで1人1枚選択していく。
  • ③手番の順序は自分が選んだ役職カードにより決まる。手番が来たら、お金かカードを受け取り、役職固有の特殊能力を使いながら、施設を自分の場に建築していく。
  • ④施設ごとに勝利点が決まっている。また特殊効果を持つ施設もある。
  • ⑤誰かが最初に8つの施設を立てたら終了。勝利点が最も高い人が勝ち。

Citadels_02



ゲームの総評


あやつり人形がリリースされた当初というのはどういう受け止め方だったのだろう。好きな人には強烈に魅力的に見える作品だったのではないか。現在、数多ある名作の1つとして、比較的冷静にこのあやつり人形を受け止めることになった僕としては、この作品の熱狂というものがあったのならば、それを体感したかった。

1回のゲームで用いる役職カードの組み合わせを変えることで、ゲームに多様性が出る。そんなところをはじめ、ドミニオンの持つ雰囲気に色々と似ている。

とはいえ、ゲームの仕組みは全然違う。あやつり人形が面白いのは、やはり役職カードの存在。毎ターン、誰が何の役職カードを選択するかを考えながらプレイする。人狼とは違うけれど、誰がどんな役職を持っているかということが、とても重要になる。あやつり人形はプレイ人数が5人以上の方がいい、というのはプレイする前から聞いた話だった。なるほど。この役職カードの存在があると、確かに人数が多い方が楽しそうだ。

この役職は毎ターン変わる。何枚かの役職カードから1枚選択して、残りを隣の人に渡す。これを繰り返すいわゆるドラフトと呼ばれるやり方だ。いずれにしろ、あやつり人形は、1人のプレイヤーが1つの役職を極めていったり、その役職としての経験値を蓄積していったりはしない。職を転々とする。

あやつり人形をプレイして、最初、違和感を感じたのは、1人のプレイヤーがずっとその役職でいられないという点だ。1人のプレイヤーとしての同一性は、建築した施設によって維持されていき、役職は変わっていってしまう。本来、役職と人格はセットで考えがちな属性なので、最初この部分に違和感を持った。

しかし、こう考えればいいのか。「自分の領地には将軍、盗賊、暗殺者、建築士、魔法使いなど様々な役職のキャラクターがいる。そのキャラクターの中から毎ターン、誰に仕事をさせるか決めているゲームだ」と。つまり自分は盟主か何かであり、自分の領土の様々なワーカーに順番に仕事をさせているという考え方だ。というかルールブックを読んでないので恥ずかしいのだが、ルールブックに既にそう書いてあるかもしれない。いずれにせよ、そう考えると、あやつり人形は、少し変わったワーカープレイスメントのようにも思えてくる。(こちらの『遊星からのフリーキック』の記事に少し似た話がありました)

ワーカープレイスメントと言っても、何のアクション(役職)を選択したかをプレイヤー間で隠蔽したワーカープレイスメント。この何の役職を選択したかが隠蔽されているというところが、個人的にはもやもやするなあと感じた。それはワーカープレイスメントで他プレイヤーの選択が見えなかった嫌だなあという、他のゲーム経験に基づく素朴な感覚に原因があるのかもしれない。

プレイ時間は思ったよりも長かった。じっくりと進んでいく手堅い印象がある反面、1つの建物や役職の効果で大きく展開が変わったりする。それはとてもゲームとして面白いのだけど、この翻弄され具合に初プレイで相当戸惑った。長い時間を翻弄されながら着実に勝利点を積み重ねていく感じが、とてもゲーマーズゲーム的だった。ゲーマーズゲームとは何か、というのはとても興味のあるテーマなので、そのことを考える時に、あやつり人形は重要なゲームになりそうだ。


評価★★☆☆とした理由……経験値を貯めていくことを楽しめる環境が欲しいゲーム。人数がそれなりに必要なのも善し悪しだろう。お互いにガチガチにやりあってこそ楽しめる印象。

2013年6月15日 (土)

【ボードゲームレビュー】ぴっぐテン ★★★☆

Pigten_01

評価:★★★☆[3/4](4人プレイの評価です)

プレイ人数:2~8人

プレイ時間:15分ぐらい


なに、この楽しさ、気持ちよさ。

簡単なゲームの流れ

  • ①各自手札は3枚。カードには0から10の数字が書かれている。
  • ②順番にプレイヤーが手札を1枚ずつ出していくが、既に出されているカードの合計値を宣言しながらカードを出す。出したら山札から1枚手札を補充する。
  • ③カードを出した時に、ちょうど合計値が10になれば、「ピッグテン!」と言って、そこに出ているカード全部を獲得できる。
  • ④合計値が10を超えるとバースト。手番が1つ前の人が場に出ているカード全部を獲得できる。
  • ⑤山札を含め、全てのカードが出された時点で、最も多くの枚数のカードを持っている人が勝ち。

Pigten_02



ゲームの総評


豚である。なぜ豚なのか、よく分からない。別にこれゾンビでもいいだろうな、と思う。デッド10とか言って。でも、豚であるのは製作者の陰謀だと思う。豚だと思って油断したところを突く!みたいな。不意を突かれたからか、めちゃくちゃ面白かった。

ノイというゲームにとても似ている。でも僕はノイより楽しかった。ノイの特殊カードはバリエーションがあるように見えて、そのどれもが攻撃を100%防ぐ盾という点において同じだ。もちろん、ノイノイで面白いが、「どれでもいいから特殊カード持ってれば強い」という大味なところが、少し不満だった。

一方、ピッグ10における特殊カードには派手な効果は一切なく、妙に品がいい。特殊効果のカードには、それを出したプレイヤーにメリットがあるだけでなく、全員の得点源を増加させる効果がある。特殊効果カードが出ることで、より高得点で射幸心を煽るゲーム展開になる。

何より素晴らしいのが、ちょうど合計が10になる気持ちよさとその気持ちよさに報いるように得点が得られるこの流れだ。こちらの海外レビューでも書かれているが、ちょうど10になった時、「ピッグテン!」と叫んで得点する気持ちよさは圧倒的。語呂もいい。

いずれにしろ、こんなに楽しいゲームだったとは。豚だと思って完全に舐めていた。やられた。まったく。

ピッグ10は運ゲーだと思う。考えどころや戦略はそれほどない。常々、ボードゲームは大人のための思考・戦略ゲームだと思っていて、ボードゲームの魅力を語る際はその戦略性こそ声を大にして伝えたいと思っている。しかし、このゲームは2011年の日本ボードゲーム大賞を受賞していて、とても評価されている。僕は、日本でピッグ10が高く評価されていることが、変な言い方だが、少し誇らしいような気さえする。普段はボードゲームの持つ戦略性を貴びたい僕も、なぜかこのゲームが評価されているのを聞くと嬉しくなる。先のレビューを信じれば、北米アマゾンでは購入できなかったことが象徴的なように、アメリカではさほどこのゲームは普及していない(現時点では、マケプレで購入可能な模様。しかし、レビューは未だ1つも付いていない[2013.06.15現在])。BGGでも特に目立っていないからこそ、余計にそう思うのかもしれない。

ピッグ10はみんなでワイワイと楽しむパーティゲームであるのはもちろんだが、単にそうではなく、このゲーム自体が優れて楽しませてくれる構造を持つ傑作であることも事実なのではないかと思う。まさしくあの「ピッグテン!」の掛け声を含めて。


評価★★★☆とした理由……ホント豚のくせに、面白い。傑作。

2013年6月13日 (木)

【ボードゲームレビュー】ストリームス ★★☆☆

Streams_01

評価:★★☆☆[2/4](6人プレイの評価です)

プレイ人数:1~99人

プレイ時間:10分ぐらい


ゲーム自体のストリームが美しい。

簡単なゲームの流れ

  • ①空欄のマスが20個並んだ用紙を各自1枚受け取る。
  • ②1~30までの数字が書かれたカードをシャッフルして山札としておく。
  • ③山札からカードを1枚ずつめくっていき、出た数字を20個のマスの任意の場所に全員が1つずつ書いていく。
  • ④数字が昇順に多く並べば、並ぶほど多くの得点が入る。
  • ⑤点数の一番高い人が勝利。

Streams_02



ゲームの総評


ゲーム展開の美しさにほれぼれとしてしまうゲーム。パッケージも素敵。好きな数字をどこにでも入れていい、というのはとても分かりやすいのに悩ましい。

日本発の良ゲームを見ると、その親近感からか「こんな素敵なゲームが作れたらとても幸せだろうな」と夢想してしまう。このストリームス(STREAMS)はまさしくそんなゲームだ。

とても素晴らしいゲームだとは思うのだけど、僕にはすごく最適解が意識されてしまったゲームでもあった。「どの数字が出たら、どの場所に書くのが最適なのか、きっと"正解"があるのだろうなあ」という意識に囚われてしまった。

もちろん他のボードゲームであっても、確率計算をした上での最適解があるのは当たり前だろう。なぜこのゲームに限って、そんなツマラナイことを考えてしまったのか。1つの理由として、プレイヤー間のインタラクションが全然ない、という点は挙げられるだろう。他のプレイヤーの選択が一切自分の選択に関わってこない。私の選択が全てであるため、最適解の存在が意識されやすい。

最適解を意識するあまり、僕は今回初めてプレイするにあたって、2つの大きなストリームを作ることを最初から目指してプレイした。これが良くない遊び方だったように思う。つまり最初から20個全部の数字をキレイに並べようとせず、10個ぐらいのストリームが2つできるように配置してしまった。最初から安全地帯を増やしながら遊んでしまった感じだ。

まあ、おかげでトップにもなれず、ドベにもならず、という結果だったのだが、内心「失敗したなあ」と思った。これは20個全部の数字をつなげる気持ちで遊んだ方が断然楽しいし、そうすべきなんだろう。

順位を付けるよりも、みんなで1位になることを狙って遊んだ方が盛り上がる。まあ、そういう意味では他のボードゲームと同じなのかもしれない。妙にゲームの遊び方ということについて、考えるところの多かったゲームになってしまった。


評価★★☆☆とした理由……気軽にプレイできる点は本当に偉大。思考や戦略よりも、カードがめくられる度にみんなで一喜一憂することが楽しさのキモ。趣味の問題だが、用紙のレイアウトが少し機能的すぎる感じがした。

2013年6月 8日 (土)

【ボードゲームレビュー】ヘックメック ★★★☆

Heckmeck_01

評価:★★★☆[3/4](3人プレイの評価です)

プレイ人数:2~7人

プレイ時間:30分ぐらい


虫をグリルで焼くという発想が分からない。

簡単なゲームの流れ

  • ①手番では8個のサイコロを振る。
  • ②同じ出目を1グループとし、任意の出目のグループを確定する。残りのサイコロは振りなおす。
  • ③何回か振りなおして、確定させた出目の合計値がタイルの数字にまで到達していれば、そのタイルを獲得できる。(タイルの数字は21~36まで16種類ある)
  • ④場にあるタイルだけでなく、他プレイヤーが持っているタイルの数字と同じ合計値になれば、そのタイルを奪うこともできる。
  • ⑤獲得したタイルに描かれる虫の数を足して、最も多くの虫を得た人が勝利。

Heckmeck_02



ゲームの総評


なんでドイツゲームには、あんなにもニワトリが出てくるのだろう。みんなだいたい同じ顔をしている。ニワトリというモチーフは何か特別なのだろうか?ドイツ人にとって最も身近な動物なんだろうか?

まあ、そういう異国でのニワトリの話は置いておいて、このゲーム、コンポーネントが素敵だ。触っているだけで満足してしまう。タイル。物として「持っておきたい」と思わせることはとても重要だ。

そして、シンプルな割に意外に悩ませてくれる。8個のサイコロのうち、どの出目を確定させるのか。「ベガス」なんかも同じような悩みだったが、こっちの方がより悩ましい。そしてその出目の選択を手番以外のみんながじっくりと見守ってしまう。

シンプルであるため、最初はものすごく単調な気がした。しかし獲得できるタイルが減少していくと、今度は別の面からゲームが盛り上がってくる。

ヘックメックでは、終盤になると高得点タイルは少なくなってしまう。最初、これでは一発逆転の目が摘まれてしまうように思った。それこそ「イノベーション」みたく終盤こそ大逆転を許すようなインフレを期待したくなる。

しかしヘックメックは逆。終盤に行くほど、場から高得点タイルが無くなってくる。しかし、だからこそ、一層相手からタイルを奪う行為の重要度が増してくる。1点を奪えば2点差縮まり、2点を奪えば4点差縮まる。一人で高得点を狙う展開から、急速に殴り合いのインタラクションが強い展開になる。

終盤は、激しいタイルの奪い合いになる。収束性が悪いのは確かだけど、このダラダラとプレイする感じが好きだ。「まだ終わらせんぞー」としぶとく粘るゾンビのようなプレイヤーの必死さを楽しむのが良い。追うものと追われるものが、和気あいあいと叩き合う。相手の得点を奪うというとても攻撃的な行為なのに、不思議と嫌な感じがしない。サイコロという「どうしようもないもの」だからこそ、許せるのだろう。

そういえば、あまり戦略など理解していないのに、我が家の6歳の娘は、えらくヘックメックを気に入っている。ダイスを振るのが楽しいらしく、あのタイルが貰えるのも嬉しいようだ。そう考えると、このゲームは、かなりプリミティブな喜びに満ちているのだろうと思う。



ちなみに最初、僕はルールを誤解していた。振り直しの際に既に確定している目と同じ目しか出ないと、失敗となりタイルを失う。この失敗条件を僕は見落としていた。自発的にダイスを振るのを止めることがとても重要なのだ。この条件がないと、ゲームにおける緊張感が薄くなる。

しかし、ハウスルールとして、わが家で気軽にプレイしたい時や娘に対しては、既に確定した目しか出なかった場合、即失敗とならないルールを採用している。単なる失敗とはしないで、それまでに確定した目で到達しているタイルがあれば、そのタイルを取れるルールだ。

(ハウスルール例:虫、虫、5、4、3、3(合計25)の6個のダイスを確定している時に、振りなおした残りの2個のダイス目が3、4だった場合。正式ルールでは失敗となりタイルを失う。上記のハウスルールでは、25の虫タイルがあれば、それを獲得して手番を終わる。)

この方が気軽に8個全部のサイコロを振りやすく、高い数字のタイルにも挑戦しやすい。できるだけたくさんタイルを取ってワイワイやる感じ。もちろん緊張感も戦略性も低くなってしまうルールだけれど、個人的には結構気に入っている。


評価★★★☆とした理由……気軽にできる。お酒が入っていてもOK。汎用性が高いうえに、2人でやっても面白い。負けてもそんなに悔しくなり過ぎない。ちょっと素敵な暇つぶしができるゲームだと思う。紙を使っていないから水に強いのも、使い勝手の面からポイントが高い。

2013年6月 4日 (火)

【ボードゲームレビュー】バトルライン ★★★★

Battleline_01

評価:★★★★[4/4満点!](2人専用ゲームです)

プレイ人数:2人

プレイ時間:30分ぐらい


「なぜあなたは私に勝てないか」を証明する。

簡単なゲームの流れ

  • ①手番では、9つのフラッグ(戦場)の中から任意の場所を選択して、手札の1枚を置く。
  • ②1つのフラッグ(戦場)に対して3枚までカードを出して役を作る。
  • ③出来た役が強い方がそのフラッグ(戦場)を確保できる。
  • ④役は数字が連番のストレートや、スートが同じフラッシュなど、ポーカーの役に似ている。(強さの順番も似てる)
  • ⑤早く5つのフラッグ(戦場)を確保した方が勝利。

Battleline_02



ゲームの総評


2人対戦のゲーム。メビウス20周年、クニツィアフェアというタイミングでこの名作を手にできて、とてもうれしい。(そのフェアの様子はこちら→【日記】ライナー・クニツィアにサインを貰った日

戦場(フラッグのコマで示される)が9つある。戦線は広がっている。1か所の戦場で勝つことだけが重要ではない。この「1つの戦場だけで勝ってもダメ」という要素にワクワクする。多くの戦場で勝たなくては意味がない。

面白いのは、手持ちの部隊カードを捨てることができない、という点だ。「使えないカードだから捨てる」というわけにはいかない。なんとか活用する必要がある。

「できない子」を如何に生かすか。どうやって全体としての力を最大化するか。段々と「できない子」ばかりが手札に溢れる。相手も同じように悩んでいる。それが面白い。次第に、特定の戦場を「捨てる」という選択が必要だと気付き始める。でも、相手にそれを気取られない方がいい。「捨てた」戦場に配置した「できない子」を有能な奴に見せるのも、作戦の1つだ。

2人用ゲームというと、シビアになったり、運まかせになったりと、なかなか「ゲームを愉しむ」ことにしっくり来るゲームに出会えなかった。しかしバトルラインは凄い。ほどよい運要素が、戦場というダイナミズムを表現しているようにも思える。

ローゼンケーニッヒ」もバトルラインと同じ2人専用ゲームの名作だが、大きく違うのはバトルラインにはブラフ的要素があるという点だ。「ローゼンケーニッヒ」は手札が完全公開。だから相手の持っている手札と自分の手札から最適解を常に考えていく形になる。結構シビアなのだ。しかしバトルラインでは自分の手札は非公開。相手に自分は強い(もしくは弱い)と「見せかける」ことができる。

2人用ゲームはどうしても窮屈になりがちだ。自分の行為は主に相手への攻撃となり、影響のベクトルは常に単線的になるからだ。

だからこそ、ブラフ要素の存在は肩の力を抜くきっかけになる。根本的には相手の意図など読み切ることはできない。相手の意図によっては最適解が異なってしまう。この「人読み」の余地があることで、ゲームとしてほどよい手軽さを感じる。激しい戦いでありながら、どこか気軽にできる。

「赤7に続けて赤9を出してきたけど、本当は既に赤8を持ってるんじゃない?」そんな相手の気持ちを探るような会話を繰り広げてプレイすると、一層楽しい。

そして「自分が勝っていることを証明する」というアクション。これが面白い。「なぜあなたはこの戦場において私に逆転できないか」これを他の戦場に配置されているカードを使ったりして論理的に説明する。そうすることで1つ1つの戦場での勝敗が決定する。証明のためのフローを頭に思い描くのがとても楽しい。全く別の場所に配置したカードが、別の戦場での勝敗を決定する要素になる。離れた戦場が互いに関連性を持って、1つの戦争(ゲーム)の勝敗が決する。それってテーマ的にも素敵じゃないだろうか。

えらく気に入ってしまった。大好きな名作ゲームだ。

ルールについて……アドバンスルールというのがある。他のブログでも言われていたが、是非このルールを入れて初回からプレイしてほしい。「ゲームに慣れてきたら」と説明書に書いてあるが、初回から導入した方が絶対いいと思う。(ちなみにiPhone版のバトルラインでは「戦術カード」を使えるルールに『アドバンスルール』という名前が付いている模様。アドバンスルールと一言にいっても、もしかしたら想定しているものが違う可能性がある点は留意が必要だ)



評価★★★★とした理由……夫婦でお互いが楽しめた、という体験は、やはり代えがたいものがある。気軽にできるし、面白い。戦略カードという特殊効果カードもあって、アブストラクトさを軽減している。色々な点が自分好みな傑作。

2013年6月 1日 (土)

【ボードゲームレビュー】くるりんパニック ★★★☆

Looping_louie_01_2

評価:★★★☆[3/4](4人プレイでの評価です)

プレイ人数:2~4人

プレイ時間:15分ぐらい


数フレームのタイミングを見極める本格対戦ゲーム。

簡単なゲームの流れ

  • ①各プレイヤーは中心の塔を囲むように座り、自分の手元に3枚のコインを並べる。
  • ②塔を中心に飛行機がぐるぐるとプレイヤーの前を周る(電動)。
  • ③飛行機は、各プレイヤーの手元にあるコインを下に落とすような軌道を描いて周る。
  • ④飛行機が自分の目の前に来たとき、タイミング良くボタンを押して、飛行機をジャンプさせることで、自分のコインが落とされないように防ぐことができる。
  • ⑤最後までコインを落とされなかった人の勝ち。

Looping_louie_02


ゲームの総評


このゲームは完全にアクションゲームだ。ニクいのは、ボタンがたった一つであること。このボタンが防御にも攻撃にもなる。

ボタンを押して目の前を飛ぶ飛行機をジャンプさせ、自分のコインを落とさないようにする。タイミングよくボタンを押すと飛行機は大きく飛びあがり、そして周りながらまたするりと落ちてくる。タイミングによっては、他プレイヤーのコインが置いてある場所に、ちょうどクリティカルヒットするように落ちてくる。こうなると中々防ぐことが難しい。たまに起こる奇跡のようなクリティカルヒット。この気持よさがたまらない。

スト2のような格闘ゲームで、わずか数フレームを競って戦うように、くるりんパニックも非常に短いタイミングを狙うゲームだ。少しのズレと力加減で全く異なる動きを見せる。動きが多様で飽きない。しかし、ちゃんと上達を感じられる。しばらくやっていると本当に上手くなってくる。

しかもこのゲーム。ハードモードが付いている。もしスキルレベルが異なるプレイヤー同士で遊ぶ場合、上級者にはハードモードでプレイしてもらうのがいいだろう。ハードモードは更にクリティカルヒットが出にくくなっていて、異なる操作感を味わうことができる。

1994年にドイツ年間こどもゲーム大賞を受賞。今なお、ドイツアマゾンの玩具カテゴリーで上位にランクインしている。素敵な定番ゲームだと思う。唯一欠点と言っていいのは、できれば4人で遊びたい、というところだろう。2人だと少しさびしい。3人でも面白さがそれほど低下するわけではないが、やはり4人で遊ぶと盛り上がり方が違う。

テクニカルな一撃がクリーンヒットした経験を一度味わうと、何度もやりたくなる。棚の奥に仕舞い込んでも、時々取り出してはやりたくなる。とても健康的な中毒性をもったゲームだ。

Looping_louie_03
↑全く造形にかわいげのないパイロット・ルーイー。ヨーロッパのかほりがする。


評価★★★☆とした理由……単純に楽しい。子供にプレゼントしたくなるゲーム。甥っ子や姪っ子にプレゼントして、ついでに自分ん家用に買ってしまったり。そんな光景が容易に思い浮かぶ。傑作。

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