【ボードゲームレビュー】あやつり人形 ★★☆☆
評価:★★☆☆[2/4](7人プレイの評価です)
プレイ人数:2~7人
プレイ時間:90分ぐらい
難しくないのに、難しい。
簡単なゲームの流れ
- ①各自最初にカードとお金が配られる。カードには様々な施設(建築物)が描かれている。
- ②毎ターン、異なる特殊能力を持つ役職カードを、ドラフトで1人1枚選択していく。
- ③手番の順序は自分が選んだ役職カードにより決まる。手番が来たら、お金かカードを受け取り、役職固有の特殊能力を使いながら、施設を自分の場に建築していく。
- ④施設ごとに勝利点が決まっている。また特殊効果を持つ施設もある。
- ⑤誰かが最初に8つの施設を立てたら終了。勝利点が最も高い人が勝ち。
ゲームの総評
あやつり人形がリリースされた当初というのはどういう受け止め方だったのだろう。好きな人には強烈に魅力的に見える作品だったのではないか。現在、数多ある名作の1つとして、比較的冷静にこのあやつり人形を受け止めることになった僕としては、この作品の熱狂というものがあったのならば、それを体感したかった。
1回のゲームで用いる役職カードの組み合わせを変えることで、ゲームに多様性が出る。そんなところをはじめ、ドミニオンの持つ雰囲気に色々と似ている。
とはいえ、ゲームの仕組みは全然違う。あやつり人形が面白いのは、やはり役職カードの存在。毎ターン、誰が何の役職カードを選択するかを考えながらプレイする。人狼とは違うけれど、誰がどんな役職を持っているかということが、とても重要になる。あやつり人形はプレイ人数が5人以上の方がいい、というのはプレイする前から聞いた話だった。なるほど。この役職カードの存在があると、確かに人数が多い方が楽しそうだ。
この役職は毎ターン変わる。何枚かの役職カードから1枚選択して、残りを隣の人に渡す。これを繰り返すいわゆるドラフトと呼ばれるやり方だ。いずれにしろ、あやつり人形は、1人のプレイヤーが1つの役職を極めていったり、その役職としての経験値を蓄積していったりはしない。職を転々とする。
あやつり人形をプレイして、最初、違和感を感じたのは、1人のプレイヤーがずっとその役職でいられないという点だ。1人のプレイヤーとしての同一性は、建築した施設によって維持されていき、役職は変わっていってしまう。本来、役職と人格はセットで考えがちな属性なので、最初この部分に違和感を持った。
しかし、こう考えればいいのか。「自分の領地には将軍、盗賊、暗殺者、建築士、魔法使いなど様々な役職のキャラクターがいる。そのキャラクターの中から毎ターン、誰に仕事をさせるか決めているゲームだ」と。つまり自分は盟主か何かであり、自分の領土の様々なワーカーに順番に仕事をさせているという考え方だ。というかルールブックを読んでないので恥ずかしいのだが、ルールブックに既にそう書いてあるかもしれない。いずれにせよ、そう考えると、あやつり人形は、少し変わったワーカープレイスメントのようにも思えてくる。(こちらの『遊星からのフリーキック』の記事に少し似た話がありました)
ワーカープレイスメントと言っても、何のアクション(役職)を選択したかをプレイヤー間で隠蔽したワーカープレイスメント。この何の役職を選択したかが隠蔽されているというところが、個人的にはもやもやするなあと感じた。それはワーカープレイスメントで他プレイヤーの選択が見えなかった嫌だなあという、他のゲーム経験に基づく素朴な感覚に原因があるのかもしれない。
プレイ時間は思ったよりも長かった。じっくりと進んでいく手堅い印象がある反面、1つの建物や役職の効果で大きく展開が変わったりする。それはとてもゲームとして面白いのだけど、この翻弄され具合に初プレイで相当戸惑った。長い時間を翻弄されながら着実に勝利点を積み重ねていく感じが、とてもゲーマーズゲーム的だった。ゲーマーズゲームとは何か、というのはとても興味のあるテーマなので、そのことを考える時に、あやつり人形は重要なゲームになりそうだ。
評価★★☆☆とした理由……経験値を貯めていくことを楽しめる環境が欲しいゲーム。人数がそれなりに必要なのも善し悪しだろう。お互いにガチガチにやりあってこそ楽しめる印象。
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