« 【コラム】放課後さいころ倶楽部に見る「ゲームからの逸脱と回帰」 | トップページ | 【ボードゲームレビュー】ムガル ★★☆☆ »

2013年10月 7日 (月)

【ボードゲームレビュー】テラミスティカ ★★★☆

Terra_mystica_01

評価:★★★☆[3/4](5人プレイの評価です)

プレイ人数:2~5人

プレイ時間:150分


ツンデラミスティカ。

簡単なゲームの流れ

  • ①プレイヤーはそれぞれファンタジー世界に出てくるような14の種族(魔女、巨人、マーメイドなど)の中から1つを選択する。
  • ②自分の手番でアクションを1つ実行する。領土を開拓するとか、魔力を使うとか、建物を発展させるとか、特定の宗教に司祭を派遣するとか。
  • ③何回か手番を回し、これ以上何もすることがなくなったら、パスを宣言する。全プレイヤーがパスを宣言したら、1ラウンド終了。全6ラウンド繰り返す。
  • ④ラウンドの開始には、自分の領土などに応じて資源やお金などの収入を得る。
  • ⑤6ラウンド終了して、得点計算の結果、最も勝利点が多い人が勝ち。

Terra_mystica_02


Terra_mystica_03


ゲームの総評


初心者多めの5人プレイ。インスト含めて4時間。長すぎる。今回、トイレ休憩とらなかったけど、凄まじく長い時間をぶっ続けで集中して過ごした。疲れた。

ルールはこれでもかと詰め込んである。複雑だ。どこからどこまでが1アクションなのか、最初は少し戸惑ったりする。やれることはいっぱいあるように見えても、ラウンド開始当初はリソースも限られている。だから「とりあえず、これやるか」みたいにアクションを意外に簡単に決められる。導入部、開拓をサクサク進めていく展開になんだかワクワクする。

……などと、ちょっと褒めたみたいな書き方を思わずしてしまうと、少し「くそっ!」と思う。というのも、テラミスティカを体験する前は、こんな「残念な」ゲームは、悪口言いまくってやりたいと思っていたからだ。バカにして、コケにしてやりたいと。淫靡な眼差しで、テーマからシステムから、あらゆる要素で僕を誘惑するテラミスティカに、言いようのないムカつきを感じていた。

「何が種族だよ。何が宗教だよ。どうせ色んな要素を詰め込みまくって、それぞれのアクションにメリット・デメリットがあって、きっと、悩むようにウマいことできてるんでしょ。わかってんだから。もう!」と、ずっと乙女のようにアンビヴァレントな気持ちを抱いてきた。プレイするまでに随分と間が空いてしまい、どうやら何かをこじらせてしまったようで、簡単に褒めてたまるか、という気持ちになっていた。

で、実際やってみたら4時間である。ほらみろ、馬鹿じゃないか。とんでもないゲームだ。インストする人の気持ちにもなれ。だいたいこんな長いインスト、好きな奴しか付き合ってくれないじゃないか。陣取り?交易所を立てる?隣接するメリットがよく分からんぞ?お、隣接していると資源もらえるの?

お金が足りない、労働力も足りない。パワーってなんだ。それは少ない方がいいの?へぇー、廃棄した方が効率よく循環させられる?あら、なんかドミニオンみたい。なるほど、そういうやり方もあるのか。

え、すごいじゃん、この種族の能力。まじでタダで陣地増やしていいの?うほー、開拓していくの楽しいな。なるほどねー。こうやって自分の領土を繋げて増やしていくのか。

お、こんなに領土広がったよ。街?領土が広がると発展して街になるの?すごい!勝利点とか色々手に入る。ひー、そうか、宗教の力、重要じゃん。今頃こっちのボード見る余裕ができてきたよ。

…………。
…………。
…………。
…………。

なぜかこのゲーム、言葉を紡ぐのもじれったく、そして無性に楽しい。政治的に正しくない言い方をすれば「男はみんなこれ好きだろうな」って感じだ。ワクワクが止まらない。『主に泣いてます。』という漫画の名ゼリフ「男はみんな隙があれば(映画の)ダークナイトのことを話してやろうと思ってるんだ」を思い出した。

そう、男はみんな隙があればテラミスティカのことを話してやろうとウズウズしているのだ。まぁ要はバカだってことだ。

プレイする前は「こういうややこしいゲームはもういいよ」という気持ちもあった。けれど、テラミスティカが楽しいのは事実なのだから困る。どのくらい困るかというと、複雑でヘビーな他の重量級ゲームを「まあ、このゲームも重ゲーだけど、テラミスティカよりは軽いかな。あー、テラミスティカやれないなら、これでもいいから何かガッツリやりたいわ」とテラミスティカのおかげで取り出して始めたくなるくらいだ。重ゲーに対するロマンというか楽しかった記憶が不死鳥の如く蘇生して、そういう世界に改めて浸りたくなる。

もちろん、そうした興奮を脇に置いて、冷静に考えれば「このゲームは一緒にやる人を選ぶよな」とか「周囲と隔絶して、こういうゲームばっかりに夢中になるのもどうなのかな?」と思わなくはない。しかしだ。テラミスティカがいい大人の男を妙な興奮に陥れる力を持っていることは確かだ。ゲームが終わった後、しばらくテラミスティカのことばかり考えていたくなる。

テラミスティカは、プレイしないで批判するべきだったとつくづく反省した。ミイラ取りがミイラになる。罪つくりなゲームとはこういうゲームを言うのだろう。


評価★★★☆とした理由……複雑だけど面白い。いいじゃないかそれで。

« 【コラム】放課後さいころ倶楽部に見る「ゲームからの逸脱と回帰」 | トップページ | 【ボードゲームレビュー】ムガル ★★☆☆ »

ボードゲームレビュー」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【ボードゲームレビュー】テラミスティカ ★★★☆:

« 【コラム】放課後さいころ倶楽部に見る「ゲームからの逸脱と回帰」 | トップページ | 【ボードゲームレビュー】ムガル ★★☆☆ »