【ボードゲームレビュー】クー ★★☆☆
評価:★★☆☆[2/4](6人プレイの評価です)
プレイ人数:2~6人
プレイ時間:15分
簡単なゲームの流れ
- ①各自2枚の手札でスタート。
- ②カードには職業が描かれている。(領主、大使、暗殺者、女伯など)
- ③自分の手番でカードの能力を発動するか、金貨を1枚獲得するかのアクションを行う。
- ④金貨を7枚集めると任意の誰かのカードを一枚ゲームから除外できる。
- ⑤自分のカードが2枚ともゲームから除外されると負け。最後まで残った人が勝利。
ゲームの総評
このゲームが素晴らしいのは、勝利条件が「対戦相手を全員殺す」という点にあるところだ。ゲームが始まってしばらくは、金貨を7枚集めることが目下の目標になる。しかし、その金貨を7枚集めた結果、得られる報酬はつまるところ「誰かを任意に殺せる権利」なのだ。
よく言われることだが、(ドイツ?)ボードゲームの特徴の一つに「相手プレイヤーを直接攻撃しない」というものがある。間接的な影響を与え合いつつ、それでいて競争をちゃんと成立させる。こうしたゲームシステムには感心することも多く、時にはそこに美学さえ感じる。「直接攻撃しない仕組み」をボードゲームの大きな魅力の1つだと感じている人も多いかもしれない。しかし、だからこそ、このゲームは相手を直接殺すことを目指したのだろうと思う。
クーは、全体のプレイ時間が短く、脱落させられたとしてもそれほど手持ち無沙汰にはならない。また、たとえ殺されたとしても、なんとなく笑えて終われる雰囲気がある。評判どおり、コンセプトや仕組みがトータルでとても上手く噛み合ったゲームだと感じた。
しかし、このクーというゲーム。初回プレイではピンとこない人も多いだろう。各カードの能力を理解し、ブラフを仕掛けるための準備を行ない、嘘を見破るための勇気を持つ。毎手番ごとに思いのほか強い緊張にさらされる印象がある。クーには、嘘をつかせるまでの助走距離がほとんどない。
ゲームに慣れている人であれば、なんとなくこのゲームが目指す先の景色がすぐに理解できるかもしれない。しかしブラフゲームに慣れない人にとっては、この「嘘が悪ではない世界」にいきなり放り込まれる感覚に少し戸惑うだろう。他のブラフゲームと同様に、「上手い嘘」が必要なのではなく、「適切な嘘」が必要とされている。ここを掴みきれないと、ゲームを楽しむスタートラインにさえ、なかなか立てない。
ライトなくせにマニア向け。クーというのは嘘をパズルのように用いる、なかなかハードなゲームだ。