【ボードゲームレビュー】犯人は踊る ★★☆☆
評価:★★☆☆[2/4](5人、7人、8人プレイの評価です)
プレイ人数:3~8人
プレイ時間:10分
簡単なゲームの流れ
- ①手札に配られたカードから各プレイヤーは一枚ずつカードを出す。
- ②出したカードに書かれたアクションを実行する。(左隣の人にカードを渡す、とか、右隣の人に一枚任意にカードを取ってもらうとか)
- ③探偵カードを出した人は、プレイヤーの誰が犯人カードを持っているか当てたら勝ち。
- ④一方、犯人カードを持っている人は最後の一枚として犯人カードを出せたら、勝ち。
- ⑤カードのアクションを駆使しながら、犯人か探偵としての勝利を目指す。
ゲームの総評
自分が犯人カードを持っている時に、それを指摘されると負けてしまう。このコンセプトが実に分かりやすく、そして懐かしい。言ってみれば、犯人カードはエンガチョだ。
このゲームは鬼ごっこという遊びが、なぜあんなにも興奮させてくれたのかを思い出させてくれる。鬼ごっこは追跡や逃走という身体的なアクティビティだけが、その魅力ではない。鬼(エンガチョ)が、特異点となって空間を歪ませる。その歪みに翻弄されることもまた面白いのだ。鬼の周辺に生じる「空間の捩じれ」のようなものが「犯人は踊る」にも通じる楽しさであるように思う。
「あのヘンで犯人カードがまわされているぞ……」という空気が、なぜか伝わる不思議。そこに人は「捩じれ」のようなものを見る。それはとても主観的だったり、思い込みでしかなかったりするかもしれない。しかしそれでもいい。単なるカンが当たれば楽しい。カンが外れれば、また別の場所が「捩じれ」となって現れる。しかも、それはすぐ隣かもしれない。
自分に犯人カードが回ってきた瞬間に、自分も犯人になりうるという当たり前の事実に気づく。ついさっきまで犯人を見つける側であり、優位な立場にいたはずの自分が一転、逃げる側になる。この落差が面白い。
このゲームは大人数でプレイすることで真価を発揮する。少人数では相対的に「捩じれ」が小さくなってしまう。対岸の火事を見るような余裕と、気づくと自分の尻に火がついていたような緊張感との落差を感じるには、それなりの人数が必要だ。
もう一つ、人数が多い方がいいなと思った理由は、手番の順番についてだ。アナログゲームでは、手番の順番が結構シビアな問題になる。最初に手番を行なう人と、一巡の最後に手番を実行する人との間で、理不尽に差が付いてはいけない。しかし、少人数でプレイすると、場合によっては、とても手番の順番に理不尽さを感じるゲーム展開になってしまうことがある。あまり勝ち負けに拘らないエンガチョゲームとしてなら、ぜひとも大人数でプレイすべきだろう。
正体隠匿系の中でも、とてもライトなゲームとして遊ぶこともできるが、「犯人は踊る」は、まさにそのタイトルが示すように、「踊らにゃ損」なパーティゲームとして本領を発揮するのではないかと思う。
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