【ボードゲームレビュー】ホームステッダーズ ★★☆☆
評価:★★☆☆[2/4](4人プレイの評価です)
プレイ人数:2~4人
プレイ時間:90分
競りと拡大再生産の素直なカップリング。
簡単なゲームの流れ
- ①ラウンドの最初は、全員で施設購入のための権利を競りあう。
- ②獲得した権利ごとに建てられる施設の種類が異なる。
- ③建設した施設によって、資源、特殊な効果、勝利点を得られる。
- ④数回のラウンド繰り返すと時代が進み、建てられる施設が変わる。
- ⑤全10ラウンドで、最後に最も勝利点を獲得した人が勝利。
ゲームの総評
建設、拡大再生産、競り、鉄道。男の子が好きそうな要素が満載。コンポーネントを見ているだけでワクワクするゲームだ。昔、トム・クルーズとニコール・キッドマンが出演した「遥かなる大地へ」という映画があった。あまり面白かったという印象はないのだが、映画の中に自分の土地を探すために大草原を駆ける、ランドラッシュのシーンがある(ランドラッシュ - Wikipedia)。みんなで集まって「いっせーのーせ」でオクラホマの大地に一斉に飛び出すレース。西部開拓時代の後、フロンティアが消滅したアメリカで、自分の土地を自分たちで決めるために、大草原を駆け、自分で杭を打ち、早い者勝ちで「ここが俺の土地だ!」と叫ぶ。なんともアメリカンな殖民政策。そのあまりに豪快で奔放なやり方に衝撃を受けた。
なぜそんな話をするかというと、一見地味で物静かな装いのこのゲームは、そうした野卑な時代のテーマに結構ちゃんと合致しているように思えたからだ。例えば、競りというのはレースゲームみたいなところがある。競りは早いもの勝ちだ。アクセル全開で、高値を付ければ、より望んだモノを手に入れることができる。しかし、ランドラッシュのように、凄まじいスピードで先を争えば争うほどに、ひとたび躓いたときに手痛いしっぺ返しをくらう。そして、競りというレースに勝ったからと言って、それがすぐさまバラ色の未来になるわけではない。このホームステッダーズにおいて競るのは具体的な物資や施設ではなく、その施設を建設するための権利だ。権利がすぐさま資源や資金を算出するわけではない。競りの後に実際に建設する施設こそが具体的な富を産む。過酷なレースに勝ったとしても、その後、どのような町を建設するかという冷静で計画的な戦略が必要になる。それはランドラッシュという激しいレースの後、そこで手に入れたものが土地でしかなく、その上にどのような生活を築いていくかは、また別の話であるという事態にも似ている気がした。
どこで息継ぎをするのか、どこで全力を出すのか。釣り上がっていく値段を見ていると、ランナーズハイに近い興奮を覚える。そういう競りの後、どんな施設を建てるかに頭をひねり、建設した施設から収入を得て、次の競りや建設に望む。このサイクルがとにかく気持ちよく、わかりやすい。ホットとクールのバランスがとても良いゲームだと感じた。
しかもこうした繰り返しだけで、このゲームは終わらない。なんとラウンドごとに時代の概念があって、時代が進むごとに建設できる施設がより強力になっていく。分かりやすい仕組みだが、この時代が区切られていることで、思考をリセットしたり、整理しなおしたりができる。初プレイの人間にとっても、それは戦略を切り替えるキッカケになり、ゲームを続けていく上で、いいモチベーションにもなる。
ホームステッダーズは、シンプルながらテーマの魅力を受け止めるだけの力強さを持った懐の深いゲームだ。最初はシステムが色々と組み合わさった無骨なゲームにも見えるが、プレイしてみると、とても見通しがいい素直な気持ちよさがある作品だ。
評価★★☆☆とした理由……コンポーネントは色々とあるが、実は物凄くシンプルなゲーム。どんどん生産能力が拡大していくところは素直に楽しい。ただ資源の種類が多く、収支を細々と出し入れする作業は結構煩雑。そういう作業は、各自が黙々とやることになりがちだ。どうでもいい話だが、資源を細かく出し入れしていると、不正をするつもりは全くなくても、自分がなにかミスをしているのでは?とちょっと不安になったりした。
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