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2014年7月13日 (日)

【ボードゲームレビュー】ビッグシティ ★★★☆

Big_city_01

評価:★★★☆[3/4](5人プレイの評価です)

プレイ人数:2~5人

プレイ時間:60分


シムシティ系の傑作。


簡単なゲームの流れ


  • ①4×5のマス目のあるボードが5枚ある。この5枚を組み合わせて1つの街を作る。
  • ②各自が持つ数字カードは、マス目の数字に対応する。同じ数字のカードを出せば、その数字の土地に建物を建設できる。
  • ③カードの中には公園や工場など特殊な建物を任意の場所に建てられるカードもある。
  • ④建物の種類、立地、隣接した建物に応じて、建設時に得点を獲得できる。
  • ⑤建物を建てたり、カードを獲得するなどのアクションを全ての人ができなくなったらゲーム終了。最も得点の多い人が勝ち。

Big_city_02


ゲームの総評


めちゃ面白い。これはびっくりした。ビッグシティというタイトルは以前から聞いていた。住宅やオフィスビルなど、建築物のコマが特徴的だなとは思っていた。しかし、その程度の感想しか抱いていなかった。あー、よくある街建設ゲームね、と。


偶然プレイする機会に恵まれたわけだが、これが抜群に面白かった。何が面白いのか。最初は、ただ広く、なんの起伏も感じられない街。しかしそんな平坦な町並みの各区画に、自然と差異が生まれてくる。ここはオフィス街。ここは住宅街。街の顔が自然と特徴付けられる。そのうち、ここは高級住宅街、ここはビジネスの中心地、ここは住みづらい工場地帯で土地の値段は安そうだな、なんて価値付けがされていく。さっきまで何もないただの平地だった場所が、形として様々な様相を見せるだけでなく、価値的なばらつきも帯びるようになる。単なる土地でしかないものが「不動産の魔力」を帯びるようになる。


当然、ゲームであるので勝つためにプレイしているわけだが、プレイしているうちに勝ちたい気持ちとは別の欲望の存在に気が付く。「ここに住宅を建てたい!」「ここに映画館を建てたい!」「ここに百貨店を建てたい!」という素直で素朴な欲望に気づく。人間の基本的な欲求に「建築欲」なんてものあるのではないかと思ってしまうほどだ。ただ建てることが楽しい。勝負の行方も大事だが、自分の都市計画がうまく進んで行く時の喜びもまた掛け替えのない楽しさになる。


とはいえ、このゲームだけが持つ固有の魅力がそれほどあるわけではない。得点計算も比較的シンプルだがサマリシートは必要だし、ルールやメカニクスが特筆すべきほど美しいわけでもない。カードを集めて土地を確保するか、カードを消費して早めに建築物を建てて得点を稼ぐか。戦略的な思考がモノを言う幅は結構小さい感じもするのだけど、本能に訴えかけるような魅力がゲーム進行をぐいぐいと駆動していく感じがある。ルールのシンプルさや分かりやすさなど、丁寧なゲームとしての作りが、プレイヤーが満たしたい欲求を全然妨げていないのが素晴らしい。


ビッグシティはシティ・ビルダー(Suburbia)や街コロと違って、各プレイヤーが自分だけの街を作るわけではない。1つの大きな街をプレイヤー全員で作る。このゲームの魅力はこの「1つの街」「みんなの街」であることに集約されているように思う。カルカソンヌのようにプレイヤー全員で一つの大きな街を共有する。まさにビッグシティ。みんなの意識が1つの場所に集中するため、ソロプレイ感がなく、みんなでワイワイする楽しみが自然と味わえる。これぞボードゲームの醍醐味と素直に思う。


ビッグシティは包容力のあるゲームだ。再版を強く望みたい。



評価★★★☆とした理由……結構、無骨な作品で、バランスがなぜこんなにもちゃんと取れているのか、不思議なほど。ミニチュアを与えられて、それを自由にがちゃがちゃと組み合わせる楽しさが素朴に届いてくる。しかもゲームとしてもそれなりにバランスが良く面白い。実に贅沢な作品。正直、ちょっと欲しい。再販しても、これ売れるでしょう、マジで。

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