【ボードゲームレビュー】キャメルアップ ★★☆☆
評価:★★☆☆[2/4](5人プレイの評価です)
プレイ人数:2~8人
プレイ時間:30分
2014年ドイツ年間ゲーム大賞作品。
簡単なゲームの流れ
- ①ピラミッド型の箱に5個のサイコロを入れて、1つずつ取り出す。サイコロの色に応じて、同じ色のラクダがトラック上を進む。
- ②プレイヤーは、トラック上に「一マス進む」や「一マス戻る」カードを置いて、レース展開に影響を与えることができる。
- ③ラクダが同じマスに重なったら、ラクダのコマ同士を重ねる。下になったラクダが進むときは上に重なったラクダも一緒に動く。
- ④プレイヤーは、ラクダレース全体の順位予想と各区間ごとの順位予想を行う。当たると点数を獲得。
- ⑤順位予想の投票権は早い者勝ち。最後にもっとも点数を獲得したプレイヤーが勝ち。
ゲームの総評
どの色のラクダが1位になって、どのラクダが最下位になるか。それを予想するゲーム。しかしゲーム途中で、逆転に次ぐ逆転が起きるような仕掛けが施してある。予想は殊のほか、当たらない。読めないレース展開が最後まで続く。
予想はレース前に行うわけでない。レースの経過をしばらく見た後に予想する。しかし、予想のための投票権は早い者勝ち。早く予想した人ほど、高い点数を獲得できる。レースの展開はほとんど運だ。予想を正しくしようと思えば思うほど、決断は遅くなる。遅いと、貰える点数も小さくなってしまう。つまり予想すること自体がちょっとしたチキンレースにもなっているわけで、文字通りのレースをしているラクダと、予想のためのチキンレースをしている人間がいる。この2つの異なるレースの共存は、どこか転倒しているようで、面白い。考えようによっては、人間がラクダ(のコマ)にレースをさせられているようにも見える。
このゲーム、実は、レースの最終結果だけではなく、レース途中の順位も予想する。この部分に、本ゲームの「思考を巡らす部分」がある。まあ、慣れれば、ほとんどの場合「こう考えるしかない」というところに落ち着いてしまうかもしれない。しかし、この途中結果の予想という要素が非常にいいアクセントになっている。頭の中で少し考えて、「あ、ここはこう予想するべきなんだな!そうかっ!」という体験ができるようになっている。この「分かる」体験は、誰にとっても楽しい。そういう「少し考えるパズル」が適度に織り込まれているところが、本作の地味に凄い実力なのではないかと思う。
ピラミッドのギミックもあり、子供などと遊ぶ典型的なファミリーゲームだが、意外にその実力は懐が深い。ボードゲームでは大人と子供が一緒になって遊ぶ場合、どうしても手加減や演技が必要なこともある。しかし、キャメルアップであれば、大人も子供も比較的「そのままの姿勢」で遊ぶことができるのではないかと思う。子供に「キャメルアップやりたい!」などとせがまれれば、ボードゲーマーの親などは、つい顔がほころんでしまうかもしれない。そんな「たらし」な色気も併せ持つ名作。個人的には2014年ドイツ年間ゲーム大賞として本作が選ばれたことは英断だと思う。
評価★★☆☆とした理由……ラクダのレースが実に楽しい。背中に乗ったり、乗られたり。これだけで子供は大喜びだろう。予想外なレース展開を眺めるのは素朴に楽しいが、大人としてはもう少し歯ごたえが欲しい感じはあるかもしれない。
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