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2015年8月10日 (月)

【ボードゲームレビュー】モダンアート ★★★★

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評価:★★★★[4/4](5人プレイの評価です)

プレイ人数:3~5人

プレイ時間:60分


競りゲームの傑作。


簡単なゲームの流れ


  • ①手番プレイヤーは、手札の絵画カードから1枚を出して、他のみんなでその絵画を競り落とす。
  • ②カードには、どのような競り方をするか指定するマークがある。
  • ③絵画カードには5人の画家の作品がそれぞれ複数あり、1人の作家の絵画が5枚競りに掛けられると1ラウンドが終了する。全部で4ラウンド行う。
  • ④1ラウンドが終了する度に、競り落とした絵画をお金に換金する。オークションに掛けられた数が多い画家の作品ほど、換金する時に高値になる。また、ラウンドを重ね画家の価値も蓄積していく。
  • ⑤人気の画家の作品を多く競り落とし、最終的に最もお金を稼いだ人の勝ち。

Modern_art02



ゲームの総評

なんと楽しいのだろう。競り行為がこんなに面白いなんて。競りに参加すると言っても、落とす側の楽しさだけではない。競りにかける側の出品者としてのプレイがまた面白い。


出品者はいい絵画だと売り込み、価値がある絵だとみんなに喧伝する。しかし、それはお金のための売り込み行為であり、このウラハラな感じがゲームを盛り上げる。アートを扱う者として、どこか気取っていなければならない感じが楽しく、そこが下品さをわずかに抑制する。ルールを読んだだけだと、『モダンアート』はとてもシステマチックで渋い印象があるが、実際にプレイすると意外にもロールプレイも楽しいゲームであった。素朴にテーマに触れる楽しさがある。


もちろんシステムも面白い。畳みかけるようにルールの意味が把握されていく。「ラウンドを終了させる最後の1枚はオークションに掛けられない」とか、「同じ枚数の絵画でも総数の少ない画家の絵の方が価値が高い」とか、ゲームが進むと、なぜルールがそうなっているのかが自然と納得できる。これは気持ちいい。


競りゲームは値段を付けるのが難しいとよく言われる。『モダンアート』ももちろん値付けは難しいのだけど、初心者は意外に悩まないで値段を付けることも多いように感じた。「場の空気」や「自分の趣味」で値段を付けるため、「勝つために」頑張って値付けをする人よりも、スッと値段をつける。対象が絵画であることも手伝って、「いや、その絵好きじゃないし」とゲームとしては全く意味を持たないレベルでの値付けも許容してくれるところがある。本作は意外と初めて競りゲームに参加するプレイヤーにも優しいのではないかと感じた。


それでもゲームが進めば、初心者プレイヤーも段々と競りの感覚を掴んでくる。そんな初めて競りゲームをプレイする人の変貌ぶりが実に面白い。最初はおずおずと入札する。「9,000ぐらいかな……」といかにも自信がなさそうに値段をつける。しかし、ぐいぐいと高値を付ける他プレイヤーを観察するうちに、次第に大胆になっていく。思い切った値段をつけたくなり、それが更に自分を追い込んでいく。ラウンドを重ねるごとに、絵画の価値は乱高下する。更に値を上げることもあれば、いきなり紙切れになってしまうリスクもある。そんな中で「人が変わる」場面というのは面白い。人が変わるというのは、何も性質や性格や人格が変わるわけではない。行為が変わるのだ。同じ人格なのに、さっきと違う行為や行動を取り始める瞬間が面白い。各プレイヤーの行為の変化がゲームプレイを豊かにして、ゲーム自体も面白くさせる。誰かが悪どい人間になるのでも、強欲な性格になるのでもない。様々に変化する行為の"フリ"を『モダンアート』というゲームが演出する。


ゲームが終わり、同席していたあるプレイヤーが放った言葉が印象に残っている。「これ、みんなの持っているお金がゲーム開始時点より全員増えているんですよね……」。そうなのだ。なぜかお金が増えている。「みんなが持っている絵画をみんなで売り買いするだけ」、見方によっては『モダンアート』はとても非生産的なゲームだ。しかしなぜかお金は増えている。もちろんこれはゲーム途中の絵画売却フェーズにより、お金は自然と増える仕組みだからである。しかしどこか不思議な気持ちになる。その不思議さは、絵画が単に即物的なモノではないというロマンとどこかでつながっているからだろう。モダンアートというテーマの妙であると思う。



評価★★★★とした理由……4人以上でプレイする方がいいのかなという気はする。多いほうが楽しい。競りゲームでここまで盛り上がれたのは初めてだったので、大変楽しかった。ルールの分かりやすさと納得感も凄い。また初プレイの人が楽しんでくれたのが印象的だった。「どういう値段つけていいか分からない」と言っていた人が、「落札できなくて悔しい!!」と感じるまでになる流れはとてもドラマチック。傑作。

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